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第5章
潜入捜査もできる漢です
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捕らえた敵は最初の者だけで、ヨハネス達の方は予想通り生け捕りはできなかった。
それでも皆深い傷を負うことなく敵を退けたのだから結果は上々と言っていいだろう。
孤児院に残るシスター達と孤児院を守る為にノヴァを残し、僕は安全性と尋問に優れた者のいるアーバスノイヤー家へと帰還した。
先に連絡をしていたから捕縛者の引き渡しはスムーズに行われて、今はアーバスノイヤー家の地下牢で尋問をしている。
そして出迎えてくれたとーさまと僕は今の孤児院の状況を整理しつつ対策等について話し合った。
「とーさま。僕ちょっと本気だしますので一月ほど行方を眩ませます」
「…分かった。国王陛下には私から伝えておこう」
話し合った結果…僕が本気で動いた方がいい状況なのではないかという結論に至った。
コルダの安否が確認できない今、黒幕への手がかりの欠片でも欲しい状況であるのが正直なところで、子供等も楽しんでいる様子であるしのびのびとしているが魔界に長時間居るのは体に良くない。
孤児院はノヴァが護ってくれているし、王家は部下達含めた影の者が護っている。
国は優秀な騎士団が護ってくれているのだから、此処で一人攻め要因がいてもいいだろうという判断だ。
僕としては今のストレスしかない状況を打破する為、やる気十分なのだけど、とーさまは僕一人で敵陣に足を踏み入れていくことに抵抗があるみたいで最後まで渋っていた。
きっとこの場ににぃ様が居たら絶対に許可されなかったであろうと思う。
でも僕一人で行動した方が良い理由などを述べながら説得をして、とーさまは何とか納得させることが出来た。
そして、僕が行方を眩ませてから一週間。
僕は暗い地下牢で血まみれでボロボロの姿のコルダを発見した。
「コルダ」
「っ…ル…イス…ま」
上手く喋れない様子のコルダの咥内を見れば、舌に熱棒を当てられたのか爛れていた。
きっとこちらの情報を一つも出さなかったから拷問されていたのだろう。
捕らえられて変装しているのがバレたのか服を一切纏っていない。
「乱暴はされた?」
一番の心配ごとを聞いてみたら首を横に。
ふってぎこちなく笑う姿からきっとそういった危機はあったけれど、どうにか回避してきたのだろう。
流石コルダである。
ただ美しいだけの男ではないのだ。
「捕まってからどれくらいか分かる?」
「よ…」
「4日だね?」
意外にも捕らえられたのはつい最近のようで、それまでどうしていたのかと聞きたいところだけどこれ以上喋らせるのは可哀想で、先に治療をすることにした。
しかしまだコルダを救出するには早い。
建物内にコルダの協力者がいると分かれば折角掴めた手がかりを逃がしてしまう。
「コルダ痛いだろうけど、取り合えず一番痛いところだけ治す。どこ?」
そう聞くとコルダは肩を示した。
見れば吊り上げられているため脱臼している状態で、この絶えない鈍痛が大きくコルダの体力を消耗していることが分かったので、両肩に治癒魔法が付与された魔法付与札を貼り付け展開する。
今は治っても今のままではすぐにまた脱臼してしまうのは目に見えているので、定期的に痛みを取りにくるしかない。
「舌は?」
僕的に一番痛そうな舌の治療をっと思ったのだけど、コルダは首を横に振った。
「ば…れ…る」
「そうだね。怪しまれるね」
だけど痛そう。
コルダの綺麗な姿しか今までに見てこなかったから、こんな痛々しい姿をしたコルダはあまり見たくないのだけど…ここまでの僕達の努力が水の泡になるのは嫌だもんね。
コルダにはまた来るっと告げて僕は地下牢を出て、メイドの姿に変わる。
これは幻覚魔法でこの屋敷の持ち主の好みに合った見た目になっている。
あとは強い者に逆らえない弱者の演技。
「おぉ!サン!此処に居ったか!」
「旦那様」
「探しておったぞ。どこに行っておったのだ」
「メイド長を探していたのですが…見つからなくて」
「あぁ、それなら処分した。旬が過ぎたうえに小うるさいからな」
おっさんの言葉に心の中で知ってると返す。
そのタイミングを狙って僕はコルダの元へ行っていたのだから。
この屋敷の主である子爵は変態野郎で、メイドは自ら採用しているうえにお気に入りのメイドにはシルエットの出る細身の服や丈の短いスカートを履かせたり、寝床に引きずり込んだりと好き放題している。
それでもこの醜聞が露見していないのは、逃げようとしたメイドや使用人を殺したり、先程のように好みでなくなった者を容赦なく処分しているから。
つもりこの屋敷から出て平穏に暮らした人間はいないということ。
今のおっさんのお気に入りは僕(仮名サン)のようで、おっさんはしょっちゅう僕を捜してるし呼び出すからあまり自由に歩き回る時間はなく、思ったよりも捜査が進んでいない。
仕事をしている時間よりも、おっさんの相手をする時間が長くて苦痛だが…今はまだ耐えるしかない。
今回コルダが生きていることが分かっただけでも良かった。
そうだ…
「旦那様。メイド長を探している時に地下牢へ続く道へ入ってしまったのですが…どなたかいらっしゃるのですか?うめき声が…怖かったです」
それとなく情報が引き出せないかと地下牢の話を持ち出すと、途端にスッと子爵の顔から表情が消えた。
まずいと思い、か弱い感じで怖かったと言うと少しばかり表情が緩んだが…少し警戒させてしまったか…
「もう二度とあそこに入ってはいけない。私を騙した下郎に仕置をしているのだ」
「仕置…い、痛いことですか?」
「はははは!!そうだ!とびっきり痛いことだ!…いいか。お前も私を裏切ったと分かったらそうなるから気をつけなさい」
「は…はい」
酷く怯えた様子を見せると子爵は満足した表情で、僕の肩を抱き部屋へと連れ込もうとする。
「だ…旦那様…私今日は……じゅ、準備をしますので…だから」
「…まぁ、良いだろう。2日後だ。それ以上は待たんぞ」
「は…はぃ」
何とか難を逃れたが2日後には再び連れ込まれる宣言をされた。
次に同じ手は通じないし、他の理由も無視される可能性が高いし、怪しまれるリスクが上がる。
この2日の間に捜査を大きく進めなければならない状況に頭をフル回転させ、これからの自分のやるべきことを整理した。
それでも皆深い傷を負うことなく敵を退けたのだから結果は上々と言っていいだろう。
孤児院に残るシスター達と孤児院を守る為にノヴァを残し、僕は安全性と尋問に優れた者のいるアーバスノイヤー家へと帰還した。
先に連絡をしていたから捕縛者の引き渡しはスムーズに行われて、今はアーバスノイヤー家の地下牢で尋問をしている。
そして出迎えてくれたとーさまと僕は今の孤児院の状況を整理しつつ対策等について話し合った。
「とーさま。僕ちょっと本気だしますので一月ほど行方を眩ませます」
「…分かった。国王陛下には私から伝えておこう」
話し合った結果…僕が本気で動いた方がいい状況なのではないかという結論に至った。
コルダの安否が確認できない今、黒幕への手がかりの欠片でも欲しい状況であるのが正直なところで、子供等も楽しんでいる様子であるしのびのびとしているが魔界に長時間居るのは体に良くない。
孤児院はノヴァが護ってくれているし、王家は部下達含めた影の者が護っている。
国は優秀な騎士団が護ってくれているのだから、此処で一人攻め要因がいてもいいだろうという判断だ。
僕としては今のストレスしかない状況を打破する為、やる気十分なのだけど、とーさまは僕一人で敵陣に足を踏み入れていくことに抵抗があるみたいで最後まで渋っていた。
きっとこの場ににぃ様が居たら絶対に許可されなかったであろうと思う。
でも僕一人で行動した方が良い理由などを述べながら説得をして、とーさまは何とか納得させることが出来た。
そして、僕が行方を眩ませてから一週間。
僕は暗い地下牢で血まみれでボロボロの姿のコルダを発見した。
「コルダ」
「っ…ル…イス…ま」
上手く喋れない様子のコルダの咥内を見れば、舌に熱棒を当てられたのか爛れていた。
きっとこちらの情報を一つも出さなかったから拷問されていたのだろう。
捕らえられて変装しているのがバレたのか服を一切纏っていない。
「乱暴はされた?」
一番の心配ごとを聞いてみたら首を横に。
ふってぎこちなく笑う姿からきっとそういった危機はあったけれど、どうにか回避してきたのだろう。
流石コルダである。
ただ美しいだけの男ではないのだ。
「捕まってからどれくらいか分かる?」
「よ…」
「4日だね?」
意外にも捕らえられたのはつい最近のようで、それまでどうしていたのかと聞きたいところだけどこれ以上喋らせるのは可哀想で、先に治療をすることにした。
しかしまだコルダを救出するには早い。
建物内にコルダの協力者がいると分かれば折角掴めた手がかりを逃がしてしまう。
「コルダ痛いだろうけど、取り合えず一番痛いところだけ治す。どこ?」
そう聞くとコルダは肩を示した。
見れば吊り上げられているため脱臼している状態で、この絶えない鈍痛が大きくコルダの体力を消耗していることが分かったので、両肩に治癒魔法が付与された魔法付与札を貼り付け展開する。
今は治っても今のままではすぐにまた脱臼してしまうのは目に見えているので、定期的に痛みを取りにくるしかない。
「舌は?」
僕的に一番痛そうな舌の治療をっと思ったのだけど、コルダは首を横に振った。
「ば…れ…る」
「そうだね。怪しまれるね」
だけど痛そう。
コルダの綺麗な姿しか今までに見てこなかったから、こんな痛々しい姿をしたコルダはあまり見たくないのだけど…ここまでの僕達の努力が水の泡になるのは嫌だもんね。
コルダにはまた来るっと告げて僕は地下牢を出て、メイドの姿に変わる。
これは幻覚魔法でこの屋敷の持ち主の好みに合った見た目になっている。
あとは強い者に逆らえない弱者の演技。
「おぉ!サン!此処に居ったか!」
「旦那様」
「探しておったぞ。どこに行っておったのだ」
「メイド長を探していたのですが…見つからなくて」
「あぁ、それなら処分した。旬が過ぎたうえに小うるさいからな」
おっさんの言葉に心の中で知ってると返す。
そのタイミングを狙って僕はコルダの元へ行っていたのだから。
この屋敷の主である子爵は変態野郎で、メイドは自ら採用しているうえにお気に入りのメイドにはシルエットの出る細身の服や丈の短いスカートを履かせたり、寝床に引きずり込んだりと好き放題している。
それでもこの醜聞が露見していないのは、逃げようとしたメイドや使用人を殺したり、先程のように好みでなくなった者を容赦なく処分しているから。
つもりこの屋敷から出て平穏に暮らした人間はいないということ。
今のおっさんのお気に入りは僕(仮名サン)のようで、おっさんはしょっちゅう僕を捜してるし呼び出すからあまり自由に歩き回る時間はなく、思ったよりも捜査が進んでいない。
仕事をしている時間よりも、おっさんの相手をする時間が長くて苦痛だが…今はまだ耐えるしかない。
今回コルダが生きていることが分かっただけでも良かった。
そうだ…
「旦那様。メイド長を探している時に地下牢へ続く道へ入ってしまったのですが…どなたかいらっしゃるのですか?うめき声が…怖かったです」
それとなく情報が引き出せないかと地下牢の話を持ち出すと、途端にスッと子爵の顔から表情が消えた。
まずいと思い、か弱い感じで怖かったと言うと少しばかり表情が緩んだが…少し警戒させてしまったか…
「もう二度とあそこに入ってはいけない。私を騙した下郎に仕置をしているのだ」
「仕置…い、痛いことですか?」
「はははは!!そうだ!とびっきり痛いことだ!…いいか。お前も私を裏切ったと分かったらそうなるから気をつけなさい」
「は…はい」
酷く怯えた様子を見せると子爵は満足した表情で、僕の肩を抱き部屋へと連れ込もうとする。
「だ…旦那様…私今日は……じゅ、準備をしますので…だから」
「…まぁ、良いだろう。2日後だ。それ以上は待たんぞ」
「は…はぃ」
何とか難を逃れたが2日後には再び連れ込まれる宣言をされた。
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