僕と先生との物語

中学校

中学2年生【先生の家から登校11日目】

11日目金曜日の朝。
市川君はお礼を言って、荷物を持って出た。
もう既に浩二君は出発していていなかった。

学校に着いて僕は授業をがんばった。
怒られる事もなく6時間が終わり、掃除の時間になった。



僕の掃除場所はトイレ。
トイレ掃除に行くと先生は居なかった。

トイレ掃除のメンバーは僕と坂本君と松田君。

先ずはホースで水を撒いてタイルを濡らす。
水撒きは坂本君がしてた。
僕と松田君はデッキブラシで床を磨いていた。

すると、坂本君が「うわ、手滑った。」
と言って僕たち2人にわざと水をかけてきた。
僕たちは水道の水を手に取り、坂本君に
かけ返した。

気が付いた時には、3人ともびしょびしょになってた。
トイレの扉も壁も、トイレ前の廊下もびしょびしょだった。



せっかく今日我慢して授業を受けたのに、最後にやってしまった。
また怒られる。



僕たちは濡れたまま教室に戻った。

先生は濡れている僕たちを見て驚いてた。

「何があったんや？とりあえず風邪ひかんように体操服に着替えといで。」と言われた。

言われた通り着替えて、終礼に出た。



終礼後、僕たちは残された。
再び何があったか聞かれた。

松田君が「トイレ掃除一生懸命してたら、濡れました。」と言った。

坂本君も頷いていた。

僕は何の反応もできなかった。



「トイレ掃除がんばったなら、トイレめっちゃ綺麗になってるんやろ。良くそんなびしょびしょなるぐらいがんばったな。トイレ掃除の成果見に行こう。」

僕たちはトイレまで連れて行かれる事になった。

もう絶対バレてる。
先生の目、笑ってない。



結局何も言い出せずトイレまで来た。

先生はびしょびしょに濡れているトイレを見て「これががんばった成果か？」と言った。

僕はすぐ謝った。

「ごめん。初めはちゃんとしてたけど、最後水掛け合って遊んでしまった。」

坂本君も松田君も謝った。

「何で最初から言わんねん。」と言った後、「げんき！」と大きな声で名前を呼ばれた。

「何かやってしまったんやったらどうしなアカンかった？」

「嘘つかんと自分からちゃんと報告しなアカンかった。」

「何でわかってんのに、やらんねん。」

「言い出すタイミング逃した。ごめん。」

「それは理由にならん。まだ何もわかってないな。」



そう言われてその場で往復ビンタをされた。

坂本君と松田君にも「嘘つくな。」と言ってビンタをしていた。



その後、僕たちは掃除をやり直すように言われ掃除した。

掃除が終わって報告をすると、僕は残された。
頭にはあの太い木の棒が浮かんだ。

「先生ホンマ許して。ちゃんと掃除もこれからするから。」

「当たり前や。先生は今のげんきならあの2人に注意して、止めてあげれると思ったんやけどな。まさか一緒になってやるとは思わんかった。残念やわ。」

僕どう反応していいのかわからなかったので黙っていた。

「次はちゃんと間違った行動してる人いれば止めたってや。」

「うん。間違えた。はい。」

「わかったらクラブ行っといで。」

「えっ。いいの？」

「先生の気が変わらん内に行っといで。」

そう言われて全力で走って行った。



クラブに行くと井上先生が「遅かったやん。また何かあったんか？」と聞かれたので、正直に報告した。

「いつまでそんな事してんねん。市川はまたがんばってるで。げんきもがんばっといで。」

そう言ってクラブに入れてくれた。



クラブの後、僕は宿題をした。
今日から市川君はいない。
今日からは別の部屋ではなく、職員室の高橋先生の隣の席で勉強するように言われた。

初めは「嫌や。相談室でする。」と言ってみたが、「1人で宿題できへんやろ？」と言われて聞き入れてもらえなかった。

結局、高橋先生の隣で勉強することになった。

高橋先生も近くにいてる先生もみんな教えてくれたので、いつもより早く終わった。



そして、僕は高橋先生の車の助手席に座り帰った。