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第二章 穢れた二本の肉棒
13 セックスの匂い
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◇
ふと目が覚める。
いつの間にしっかりと寝ていたらしい。隣を見るとベッドには俺しかいない。
「……おい?」
部屋を見渡してもどこにもいない。俺は一人だ。シーツに触れてみると冷たい。魔王はかなり前に起き上がったのだろう。
目が冴えてしまって寝られない。
俺は起き上がって気配を殺して廊下へと出る。
先程までなかったモンスターの気配が所々からする。そしてこの廊下を真っ直ぐ進んだ部屋からは激しく肉のぶつかり合う音と濡れた音、激しく悶える声がする。
そしてたまに聞こえる彼の低く残忍な笑い声。
一瞬気が緩んで消していた気配が出てしまった。その瞬間聞こえていた秘め事の音が静かになる。俺は静かに部屋の方へと戻っていくとまたすぐに肉と肉のぶつかる音、そして人間のではない喘ぎ声が聞こえてくる。
それに少しむかつきながらドアを閉める。
不快なのは今この瞬間でも魔王は俺のいないところで別の誰かと、別の何かと、楽しんでいるからだろうか。
それとも――――。
俺は急いで思考を止めて再び横になる。
――――長い夜になりそうだ
暫くすると魔王が部屋に戻ってくるのが聞こえて目を開ける。
「どこ行っていたんだ」
「城の見回り」
「魔王自ら見回りか?」
彼はそれには何も言わずに無言で笑う。
「……お前、エロい匂いついているぞ。ザーメンと甘ったるい……体液みたいな匂い」
「ふっ、私の匂いが気になる?」
「うるせぇ。そうじゃねぇ」
「じゃあ……匂いよりも私が誰に、どのように突っ込んできたのか、という事実の方が気になるのか?」
魔王はまるで冗談を言っているかのように軽く囁く。だが彼の顔を見た俺の目と合わせた彼の目は何かを確かめるように、何かを煽るように熱を持つ。その目が俺の表情を見てスッと細まる。
「……何言ってやがる」
俺は大袈裟に溜息を吐いて彼に背を向ける。
魔王は無言でベッドに横たわるとすぐに規則正しい寝息を立て始める。彼の体が撒き散らすその事後の匂いがずっと鼻に付いてなかなか寝られなかった。
◇
再び目覚めると世界は完全に変わっていた。
「……おい。おい、おい、おい、おい!」
夜中一度起きた時にモンスターは増えていたが、まさか朝にこうなるとは思っていなかった。この部屋を除く全ての空間にモンスターがいる。床や壁を這い、廊下を歩き、広い空間には大勢で佇んでいる。
俺は今、紛れもなく魔王城のど真ん中に、いる。
彼が言っていた通りこの部屋には入ってきていない。だが寝室のすぐ前にも敵意はなくとも佇んでいるモンスターが何匹もいる。
「おい、魔王……!」
俺は剣を掴み、モンスターにぶつからないように歩きながら大広間へと急いでいく。モンスター達は俺を見るが手を出してこない。ただ、じぃっと無数の目が俺を追う。
ギィィイイイ
広間の重いドアを押し開けると、彼はいた。
王座に座っていた。
魔王が。
俺と目を合わせる彼は息を飲むほどの美形だ。濡れたような瞳や唇のエロさは前日の比ではない。
彼は怠そうに足を投げ出している。彼の周りを男女のモンスターが、性別のないよく知らないモンスターまで、競い合うように彼に触れている。ある者は彼の指を口で愛撫し、ある者は彼の体に沿って手や尻尾を滑らせ、露骨な奴は彼の股間を愛おしそうに撫でてキスをしている。
「遅かったな、勇者」
「これ、なんなんだよ⁉︎」
「私の気配を察して戻ってきたモンスター達」
「はぁ⁉︎」
見ている間にも彼の股間に張り付いていたモンスターが服に侵入しようと手を滑り込ませている。彼はその細い腕を掴むと目の前の床へと投げ飛ばす。
「鬱陶しい」
だが空いたその場所にはすぐに別のモンスターが滑り込んで彼の体に手を伸ばす。
「……何……してんだ?」
「こいつらは私が帰宅したから盛っているんだよ」
見てみれば確かに魔王の腕や足に自らの性器を擦り付けたりもしている。あまりにも邪魔になると彼はまたそいつを投げ飛ばしている。
「邪魔だ」
「お前……すげぇモテるな」
「鬱陶しくってかなわん」
だがその瞬間、あの匂いに気付く。魔王が深夜戻ってきた時、彼の体に付いていた匂い。そして俺が寝室を抜け出した時に聞いたセックスの音を鮮明に、思い出す。
ふと目が覚める。
いつの間にしっかりと寝ていたらしい。隣を見るとベッドには俺しかいない。
「……おい?」
部屋を見渡してもどこにもいない。俺は一人だ。シーツに触れてみると冷たい。魔王はかなり前に起き上がったのだろう。
目が冴えてしまって寝られない。
俺は起き上がって気配を殺して廊下へと出る。
先程までなかったモンスターの気配が所々からする。そしてこの廊下を真っ直ぐ進んだ部屋からは激しく肉のぶつかり合う音と濡れた音、激しく悶える声がする。
そしてたまに聞こえる彼の低く残忍な笑い声。
一瞬気が緩んで消していた気配が出てしまった。その瞬間聞こえていた秘め事の音が静かになる。俺は静かに部屋の方へと戻っていくとまたすぐに肉と肉のぶつかる音、そして人間のではない喘ぎ声が聞こえてくる。
それに少しむかつきながらドアを閉める。
不快なのは今この瞬間でも魔王は俺のいないところで別の誰かと、別の何かと、楽しんでいるからだろうか。
それとも――――。
俺は急いで思考を止めて再び横になる。
――――長い夜になりそうだ
暫くすると魔王が部屋に戻ってくるのが聞こえて目を開ける。
「どこ行っていたんだ」
「城の見回り」
「魔王自ら見回りか?」
彼はそれには何も言わずに無言で笑う。
「……お前、エロい匂いついているぞ。ザーメンと甘ったるい……体液みたいな匂い」
「ふっ、私の匂いが気になる?」
「うるせぇ。そうじゃねぇ」
「じゃあ……匂いよりも私が誰に、どのように突っ込んできたのか、という事実の方が気になるのか?」
魔王はまるで冗談を言っているかのように軽く囁く。だが彼の顔を見た俺の目と合わせた彼の目は何かを確かめるように、何かを煽るように熱を持つ。その目が俺の表情を見てスッと細まる。
「……何言ってやがる」
俺は大袈裟に溜息を吐いて彼に背を向ける。
魔王は無言でベッドに横たわるとすぐに規則正しい寝息を立て始める。彼の体が撒き散らすその事後の匂いがずっと鼻に付いてなかなか寝られなかった。
◇
再び目覚めると世界は完全に変わっていた。
「……おい。おい、おい、おい、おい!」
夜中一度起きた時にモンスターは増えていたが、まさか朝にこうなるとは思っていなかった。この部屋を除く全ての空間にモンスターがいる。床や壁を這い、廊下を歩き、広い空間には大勢で佇んでいる。
俺は今、紛れもなく魔王城のど真ん中に、いる。
彼が言っていた通りこの部屋には入ってきていない。だが寝室のすぐ前にも敵意はなくとも佇んでいるモンスターが何匹もいる。
「おい、魔王……!」
俺は剣を掴み、モンスターにぶつからないように歩きながら大広間へと急いでいく。モンスター達は俺を見るが手を出してこない。ただ、じぃっと無数の目が俺を追う。
ギィィイイイ
広間の重いドアを押し開けると、彼はいた。
王座に座っていた。
魔王が。
俺と目を合わせる彼は息を飲むほどの美形だ。濡れたような瞳や唇のエロさは前日の比ではない。
彼は怠そうに足を投げ出している。彼の周りを男女のモンスターが、性別のないよく知らないモンスターまで、競い合うように彼に触れている。ある者は彼の指を口で愛撫し、ある者は彼の体に沿って手や尻尾を滑らせ、露骨な奴は彼の股間を愛おしそうに撫でてキスをしている。
「遅かったな、勇者」
「これ、なんなんだよ⁉︎」
「私の気配を察して戻ってきたモンスター達」
「はぁ⁉︎」
見ている間にも彼の股間に張り付いていたモンスターが服に侵入しようと手を滑り込ませている。彼はその細い腕を掴むと目の前の床へと投げ飛ばす。
「鬱陶しい」
だが空いたその場所にはすぐに別のモンスターが滑り込んで彼の体に手を伸ばす。
「……何……してんだ?」
「こいつらは私が帰宅したから盛っているんだよ」
見てみれば確かに魔王の腕や足に自らの性器を擦り付けたりもしている。あまりにも邪魔になると彼はまたそいつを投げ飛ばしている。
「邪魔だ」
「お前……すげぇモテるな」
「鬱陶しくってかなわん」
だがその瞬間、あの匂いに気付く。魔王が深夜戻ってきた時、彼の体に付いていた匂い。そして俺が寝室を抜け出した時に聞いたセックスの音を鮮明に、思い出す。
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