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第13章 受け継ぐもの
第139話 神への反抗1
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「この星の生きとし生けるものを全て消し去るのだよ」
そう言って高笑いしながら、周りに集まった信者達を無差別にレーザーで殺害していく。会場一帯が血に染まり、まさしく血の海となる。なおもレーザーの照射は続き、血が蒸発し鉄のような臭いが辺り一面に充満していく。
「姉様! 一体どうなっているんですか」
「まずはここから脱出するよ。イコルティもしっかりと防壁を張るんだ」
黒い翼を広げて、式典会場から脱出を計る。それにしても真の人類復興計画だなんて、マイヤドベガは何を考えているんだ。
会場から遠ざかるリビティナに向かってビームが発射される。イコルティと共に五重に張った防壁で防ぎ、回避行動を取りつつ急ぎ首都へと戻って来た。
「ネイトス。すぐにこの国から脱出するよ!」
「一体どうしたんですかい」
「あのマイヤドベガが信者達を虐殺している」
「えっ、あの神様がですかい!」
「神だって!! あいつは悪魔だよ」
ただならぬ怒りの表情を見せるリビティナを見て、ネイトスが事の重大性を認識する。すぐに兵士達を乗せた爆撃機を発艦させて、空に飛び立った。
「高度は低く飛んでくれ。あの男に攻撃される」
「はい、了解しました。ブースターを使用しますか」
「街中で被害が出るかもしれないけど、緊急事態だからね」
機体の両脇に取り付けられたミサイルに点火して一気に速度を上げる。後方に防壁を張りつつ教国を脱出する。
「あの男は最初からこれを狙っていたんだよ。邪魔なステーションを排除して、その後にボク達を抹殺するつもりだったんだ」
「俺達は奴の策略にはまったと……」
とはいえ、ナノマシンの放出が続けられると、この世界の大部分の人が死んでいた。ステーションの破壊は仕方のない事ではあるんだけど……。
「とにかくあの男を止めない事には、今度は大陸中の人達が滅亡させられてしまうよ」
全世界が滅亡。考えたくもないけど、無補給で稼働し続けられるあの機動兵器があればそれも可能だ。
その後もマイヤドベガは暴れ続け、聖地を火の海に変えたと報告を受けた。
魔国の首都で対策会議が開かれる。
「真の人類復興計画。その事を察知して、軌道ステーションでもマイヤドベガを追放する事が決定されたんだろうね」
管理者と呼ばれる空の住人達。精神的寿命を迎え、おかしな思想に捕らわれ変な行動を取れば、排除されて代替わりしてきたんだろう。軌道ステーション内で秘密裏にあんな機動兵器を製造していた段階で、管理者として失格だよ。
「すると空の女神様が正しかったと」
「そうとも言えないさ。あの女も人類復興計画を遂行しようとしていたんだから」
結局はこの世界の人々を殺して人間だけを生き残らせようとしている。自分達のためには、どんな残酷な事でもしようとする者達だからね。
「しかし、あの巨大な人型の兵器。倒せるのでしょうか」
ミサイルをぶつけたぐらいじゃ破壊できないだろうね。それこそ軌道ステーションに配備されていたビーム砲を使わない限りは。
「魔国だけじゃ全く歯が立たないよ。アルメイヤ王国とキノノサト国に協力を求めよう」
あの国々には宮廷魔導士クラスの魔術師がいる。その者達ならあの男を倒せるかもしれない。魔国での戦闘準備を行ないつつ、各国に事の詳細を記した書簡を送る。その上でリビティナがアルメイヤ王国へと飛んだ。
「神が反乱を起こしたと……次に狙われるのは、我が国であると言われるのか」
「人が多く住んでいる所を狙ってきている。その方が殺すのに効率がいいからね。ヘブンズ教国の次はアルメイヤ王国だろうね」
「確かに魔王殿の言われる通りかと。既に教国の首都が壊滅し、第二の都市が襲撃を受けたと聞いております、国王陛下」
「相手は神と称された者だ。戦うのであれば全力を持って戦わねばな。それで勝算はありますかな、魔王殿」
「王国だけでは無理そうだね。魔国とキノノサト国の宮廷魔導士を総動員する必要があるよ」
「そ、それほどか……」
王国貴族が息を呑むのも分かる。国を守る最後の砦である宮廷魔導士。王国に五人、キノノサト国に四人居るとされているけど、その詳細は極秘とされ人数すら正確ではない。リビティナは国王の友人とされ、魔王が賢者である事も知っている。緊急時でもあり、そんなリビティナには戦力の詳細を教えてくれた。
「魔国からは一人の宮廷魔導士を出す。もちろんボクを含め魔国の総力で対抗するつもりさ」
「我らには五人の宮廷魔導士が居るが一人は高齢。戦えるのは四人だな」
「敵の動きにもよるけど、王都決戦になると思うよ。今のうちに住民の避難をしておいてくれるかい」
「承知した。魔王殿はどちらに」
「キノノサト国に飛んで、どれだけの援軍を出せるか聞いてくるよ」
そう言って屋上に停めていた戦闘機に乗り、巫女様の居る宮廷へと向かう。
そう言って高笑いしながら、周りに集まった信者達を無差別にレーザーで殺害していく。会場一帯が血に染まり、まさしく血の海となる。なおもレーザーの照射は続き、血が蒸発し鉄のような臭いが辺り一面に充満していく。
「姉様! 一体どうなっているんですか」
「まずはここから脱出するよ。イコルティもしっかりと防壁を張るんだ」
黒い翼を広げて、式典会場から脱出を計る。それにしても真の人類復興計画だなんて、マイヤドベガは何を考えているんだ。
会場から遠ざかるリビティナに向かってビームが発射される。イコルティと共に五重に張った防壁で防ぎ、回避行動を取りつつ急ぎ首都へと戻って来た。
「ネイトス。すぐにこの国から脱出するよ!」
「一体どうしたんですかい」
「あのマイヤドベガが信者達を虐殺している」
「えっ、あの神様がですかい!」
「神だって!! あいつは悪魔だよ」
ただならぬ怒りの表情を見せるリビティナを見て、ネイトスが事の重大性を認識する。すぐに兵士達を乗せた爆撃機を発艦させて、空に飛び立った。
「高度は低く飛んでくれ。あの男に攻撃される」
「はい、了解しました。ブースターを使用しますか」
「街中で被害が出るかもしれないけど、緊急事態だからね」
機体の両脇に取り付けられたミサイルに点火して一気に速度を上げる。後方に防壁を張りつつ教国を脱出する。
「あの男は最初からこれを狙っていたんだよ。邪魔なステーションを排除して、その後にボク達を抹殺するつもりだったんだ」
「俺達は奴の策略にはまったと……」
とはいえ、ナノマシンの放出が続けられると、この世界の大部分の人が死んでいた。ステーションの破壊は仕方のない事ではあるんだけど……。
「とにかくあの男を止めない事には、今度は大陸中の人達が滅亡させられてしまうよ」
全世界が滅亡。考えたくもないけど、無補給で稼働し続けられるあの機動兵器があればそれも可能だ。
その後もマイヤドベガは暴れ続け、聖地を火の海に変えたと報告を受けた。
魔国の首都で対策会議が開かれる。
「真の人類復興計画。その事を察知して、軌道ステーションでもマイヤドベガを追放する事が決定されたんだろうね」
管理者と呼ばれる空の住人達。精神的寿命を迎え、おかしな思想に捕らわれ変な行動を取れば、排除されて代替わりしてきたんだろう。軌道ステーション内で秘密裏にあんな機動兵器を製造していた段階で、管理者として失格だよ。
「すると空の女神様が正しかったと」
「そうとも言えないさ。あの女も人類復興計画を遂行しようとしていたんだから」
結局はこの世界の人々を殺して人間だけを生き残らせようとしている。自分達のためには、どんな残酷な事でもしようとする者達だからね。
「しかし、あの巨大な人型の兵器。倒せるのでしょうか」
ミサイルをぶつけたぐらいじゃ破壊できないだろうね。それこそ軌道ステーションに配備されていたビーム砲を使わない限りは。
「魔国だけじゃ全く歯が立たないよ。アルメイヤ王国とキノノサト国に協力を求めよう」
あの国々には宮廷魔導士クラスの魔術師がいる。その者達ならあの男を倒せるかもしれない。魔国での戦闘準備を行ないつつ、各国に事の詳細を記した書簡を送る。その上でリビティナがアルメイヤ王国へと飛んだ。
「神が反乱を起こしたと……次に狙われるのは、我が国であると言われるのか」
「人が多く住んでいる所を狙ってきている。その方が殺すのに効率がいいからね。ヘブンズ教国の次はアルメイヤ王国だろうね」
「確かに魔王殿の言われる通りかと。既に教国の首都が壊滅し、第二の都市が襲撃を受けたと聞いております、国王陛下」
「相手は神と称された者だ。戦うのであれば全力を持って戦わねばな。それで勝算はありますかな、魔王殿」
「王国だけでは無理そうだね。魔国とキノノサト国の宮廷魔導士を総動員する必要があるよ」
「そ、それほどか……」
王国貴族が息を呑むのも分かる。国を守る最後の砦である宮廷魔導士。王国に五人、キノノサト国に四人居るとされているけど、その詳細は極秘とされ人数すら正確ではない。リビティナは国王の友人とされ、魔王が賢者である事も知っている。緊急時でもあり、そんなリビティナには戦力の詳細を教えてくれた。
「魔国からは一人の宮廷魔導士を出す。もちろんボクを含め魔国の総力で対抗するつもりさ」
「我らには五人の宮廷魔導士が居るが一人は高齢。戦えるのは四人だな」
「敵の動きにもよるけど、王都決戦になると思うよ。今のうちに住民の避難をしておいてくれるかい」
「承知した。魔王殿はどちらに」
「キノノサト国に飛んで、どれだけの援軍を出せるか聞いてくるよ」
そう言って屋上に停めていた戦闘機に乗り、巫女様の居る宮廷へと向かう。
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