恋に臆病なままではいられない

pino

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一章 

11.緩んだ警戒モード

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 お洒落なイタリアンカフェでランチをしていたら光ちゃんからメッセージの返事があった。どうやら冬真のカラーをしてもらえる事になったみたい。その事を冬真に伝えると、美容師の時間に合わせてランチを済ませた後に美容室へ行く事になった。


「ここからだと直接行った方が早いから、荷物は俺に任せて行っておいで」

「でも結構買っちゃいましたし、重いですよ。急いで向かうので俺も一回家に帰ります」

「いいって。俺ってこう見えて力はあるんだ♪伊達に光ちゃんのパートナーやってないよ」

「力があるようには見えませんでしたよ?」

「はぁ?てか俺の体を知ってるような言い方するけど……あ」

「……知ってますよ?」


 少し馬鹿にされたような気がして強気に言い返してる途中で昨日の事を思い出して急に恥ずかしくなった。俺ってばガッツリ全裸見せたじゃん……酔ってたとはいえ、シラフの状態で思い返すとかなり恥ずかしいもんだな。
 冬真は気恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに笑っていた。


「て言うか冬真だけ何で服着てたんだよ……どうせなら二人で全裸の方がまだマシだったよ……」

「ごめんなさい。そこまで気が回らなかったです。俺も雪さんに誘われて興奮してしまって」

「あーもうっ恥ずかしいからそういうのこういうとこで言わないでっ」

「はい。あの、雪さん?」

「何?」

「俺、もっと雪さんの事知りたいです。だから、また一緒にお酒飲みたいし、普通に遊んだりもしたいです。昨日、友達って言ってくれましたけど、俺はまた雪さんと……したいと思ってます。今度はお酒無しで……」

「んなっ!!」


 聞いているこっちが恥ずかしくなるような事をよくもまぁ普通に言ってくれるな!しかもお酒無しとかそれって、どういう事だぁ?え?セフレ?だったら俺怒るよ?すぐにでもマンション追い出して塩撒くよ?
 俺の警戒モードのセキュリティレベルがMAXになりかけたその時、冬真の耳が真っ赤になっている事に気付いて一気にセキュリティレベルが30ぐらいまで下がった。

 昨日と今日一緒に過ごして冬真の事が少しだけ分かって来たような気がした。冬真は元ホストだから相手を気持ち良くさせる事が得意なのかと勝手に思っていたけど、どうも冬真は本気で言っているらしい。素直、純粋、従順、それが冬真の元々の性格なんだと俺は思った。
 全て演技だとしたら俺の推測は大ハズレだけど、それでも俺は冬真にまたしたいと言われて嬉しいと思ったのは確かだ。
 俺も冬真の事がもっと知りたい。誰かに対してこんな気持ちになったのは何年振りだろう。
 昨日会ったばかりなのに、名前や前職ぐらいしか知らない男なのに。何故か惹かれてしまうんだ。
 だからこそ同時にこれ以上知りたくないとも思う。このまま仲良くなってもし冬真とそういう関係になったとして、冬真に裏切られでもしたら俺はどうなるか分からない。

 だから警戒モードは常に張っておくんだ。
 裏切られてもいつでも諦められるように。

 
「雪さん?嫌でしたか?」

「え?」


 考え事をしていて冬真の俺を呼ぶ声にハッとして見ると、不安そうに見ていた。
 整った顔で真っ直ぐに見つめて来るその瞳は、まるであの頃のあいつみたいで懐かしくも思えた。


「そうだな、たまにはいいんじゃないか?お互い寂しい者同士だしな!あれ?冬真も恋人とかいないよな?」

「いませんよ。だけど、そんな風に言われると寂しいです」


 俺は何て答えるか迷った挙句、強がるような事を言ってしまった。自分からセフレになるような事を言うなんて、なんたる不覚!
 すると冬真はまた不機嫌そうにムスッとしてそう言った。なんか、可愛いな。


「ま、まぁこの話はまた別の場所でしよう?まだ時間も早いし、変な目で見られるから」

「そうですね。今日帰ったらキチンと話しましょう♪その為にもバッチリかっこよくなって来ますね♪」

「お、おう」


 どういう意味だよそりゃ。まぁ冬真も笑ってくれてるし、今はそれでいいか。
 俺と冬真は美容室の時間ギリギリまで二人で楽しく過ごした。

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