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二章
18.ようこそglowへ
しおりを挟むカウンターの内側に立ってニッコリ笑う冬真はそれはそれは様になっていた。ずっと俺と光ちゃんが作った物を提供したり、接客したり掃除したりしていた冬真がこうしてお酒を自ら作り提供する側になるとまた違って見えた。光ちゃんが立つと厳つい見た目もあって初見の人は怖がる事もあるけど、冬真だと怖い印象は無くなる。フレッシュな感じで若い人達からも気軽に声を掛けられるようなそんな雰囲気だった。
俺が冬真に対して特別な感情があってそう見えるのかも知れないけど、新しい店の雰囲気に悪くないと思っていた。
そして冬真は笑顔のまま俺達に声を掛けて来た。
「お二人の今の気分をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
おお、入りはバッチリ~。言葉使いも敬語だし、冬真の見た目と笑顔なら距離がある感じがしないのが良いな。敬語じゃなくてフレンドリーにして欲しがる客もいるけど、それは話して行く内に変えて行けば問題ない。冬真ならそのスキルはあるだろう。
バーテンダー冬真の質問に先に答えたのは光ちゃんだった。
「俺は仕事終わりに少し一杯やりたい気分だな」
「俺はね、冬真のおまかせで♪」
「かしこまりました♪」
光ちゃんのオーダーは比較的難しくない。結構そういう客も多いから冬真が何を出すのかこれは見どころだ。対して俺のオーダーは純粋にどんなのを作ってくれるのか気になったからだ。おまかせでサッと飲みたいのが出て来たら100点満点でしょう。
冬真は慣れた手つきで作業を始めた。俺と光ちゃんはそれを審査も兼ねて見てみる。元ホストなだけあってお酒には詳しいみたいだし、作り方とかも聞いてくる訳じゃないから期待出来そうだった。
そして少ししてから目の前に出されたカクテルに、俺も光ちゃんも「おお」と声を洩らした。
「シャンディガフとキールか」
光ちゃんの前にはビールベースのシャンディガフ、俺の前には白ワインベースのキール。シャンディガフはビールとジンジャーエールを混ぜたもので、ビールが苦手な人にも飲みやすい味になっているのが特徴。キールは白ワインとカシスリキュールを混ぜたもので、俺はキールが出て来てなるほどと思った。
「仕事終わりにはやっぱりビールが一番♪ですが、せっかくこの場に立たせていただいてるので、ただのビールではつまらないと思いシャンディガフにしてみました♪」
「面白い!洒落てるとこが冬真らしくていいじゃねぇか♪味も……美味い♪」
光ちゃんは若い子にお酒を作ってもらえて上機嫌になって楽しんでいる。さて、俺のキールはどう説明する?
「雪さんのキールはグラタンを食べている途中だったので合う物を選ばさせていただきました。初日にワインを好んで飲んでいたので喜ぶかと♪」
賄いのグラタンに合わせて来たのは分かったけど、まさか俺の好みを覚えていてそれを提供して来たとは。予想を超えていて俺は驚きながらも嬉しく思った。これはもうお手上げだよ。
「相手の気分を聞いてそれに近い物を選べて、尚且つ自分の色も出せて、相手の動向を良く見てさり気なく好みを取り入れる気配りの良さ♪もう冬真は合格でしょ♪」
「おー!あの冷徹で有名な雪がここまで褒めるなんてな!冬真は何より若くてイケメンだ。若い女性客の常連も増えそうで楽しみだわ」
「ありがとうございます!俺、もっともっと頑張ります!」
「改めてよろしくね冬真」
「よし!鬼の副店長からお許しも出たし、来週の木曜は歓迎会な!知り合いの居酒屋押さえとくから2人共空けとけよ~」
普段の俺ならこんなに早く他人を認めたりはしないけどね。早くても一ヶ月は冷たくして様子見るよ。だけど、冬真だから少し甘くなっちゃうんだ。俺は冬真にこれからもこの店で働いて行ってもらいたいと思っている。
あー、これからは冬真に料理を教えなきゃな~。光ちゃん目当てで来る常連客もいるからずっとキッチンにいさせる訳にはいかないからね。
ふふ♪忙しくなりそうだ♪
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