恋に臆病なままではいられない

pino

文字の大きさ
24 / 76
二章

23.記念日にシャンパン

しおりを挟む

 お風呂を沸かしてる間に、冬真に何か作ってあげようとキッチンに立つ。光ちゃんに叱られた事を気にしてるのか冬真は帰って来てからずっとソファに座ったままだった。


「冬真~?チャーハンでもいい?」

「…………」

「おーい?」

「雪さん」

「んー?」

「俺と付き合えない理由ってワタルさんが関係してるんですか?」

「えっどうして!?」

「何となく思っただけです、それとワタルさんだけじゃなくて雪さんも会えて嬉しそうだったから」

「はぁ!?俺があいつと会えて嬉しそうだったぁ!?」

「違うんですか?そう見えましたけど。だから意地悪したくなったんです」

「もういっか~?教えてあげる、ワタルは俺の元彼なんだよ。俺は振られた側。だから会いたくないの」

「元彼……やっぱりそうだったんですね」


 しょんぼりして元気を失くす冬真。やっぱりってそうだと思ってたのかよ。普通に友達だとは思われないのかな。
 俺も冬真の隣に座って肩に頭を乗せると、コツンと頭を付けて来た。


「振られた理由は家の為に異性と婚約するからって。元々この部屋は光ちゃんが俺とワタルの為に借りてくれたんだ。でもワタルは俺よりも家を選んで出て行った。ずっと一緒にいようって約束したのに……」

「…………」


 俺の頭を撫でてくれる冬真。全部本当の事を言おうと思っていた。もうワタルにも会っちゃったんだし、隠す事もないしね。


「それから俺は誰とも付き合わずに仕事だけをして生きて来たんだ。またいなくなられたらもう立ち直れなくなっちゃうから」

「俺はいなくなりません!出て行けと言われても居座りますよ!」

「光ちゃんに叱られて落ち込んでる癖に良く言うよ~。でもありがとう。冬真にそう言ってもらえて嬉しいよ。嬉しいけど、後から不安が押し寄せてくるんだ。冬真と離れて一人になったりすると、とても寂しい気持ちになるよ」

「離れません。一人になんかさせません!雪さん、俺の事信じてっ」

「冬真は本当に可愛いなぁ♪じゃあさ、付き合ってみる?」

「付き合います!お願いします!」

「言葉だけじゃないって思わせてよ。俺にまた誰かと付き合って良かったって思わせて」

「はい!必ずそう思わせます。雪さん大好きです♡」

「うん。俺も好き♡冬真~♡」


 本当はずっと言いたかった好きをやっと言えて、嬉しくて俺から冬真を押し倒すように抱き付くと、ギューって抱き締められてたくさんキスをされた。キスやハグなら日常的にしていたけど、改めて付き合ってからするのとじゃ気持ちが全然違った。今は嬉しさの他に恐れもあった。
 また俺の前からいなくなるんじゃないか。そんな不安が増えて怖くもあった。だけど、俺は冬真と付き合う事にした。それはワタルの事を完全に吹っ切る為でもあった。
 もう二度と会う事はないけど、今日のように偶然会ってしまった場合、俺の気持ちが揺るがないように。


「雪さん、今日一緒に寝たいです♡いいですよね?」

「いいよー♡てか一緒にお風呂入ろうよ♡確か空が置いてった入浴剤があったから」

「あ、お風呂はまた今度にしません?」

「えー、どうしてー?断られると思わなかった~」

「その……雪さんとお風呂に入ったらそこで手を出してしまいそうで。約束しましたよね?付き合ったらエッチするって♡俺、ベッドでしたいです♡」

「そういう事ー?冬真の変態~。それなら別々で入ろうか。あ、ご飯用意しておくから先にお風呂行って来なよ。もう沸いてるよ」

「そうします♪チャーハン楽しみにしてます♡」

「あ、ちゃんと聞いてたんだ」


 すっかり元気になった冬真をお風呂に行かせて俺は張り切ってチャーハンを作る事にした。後ちょっとしたつまみも用意しようかな?だって飲むでしょ?俺と冬真が付き合った記念に♡ 
 俺の好きなワインも良いけど、今日はとっておきのシャンパンでも開けようか♪
 
 俺は気分良くパーティーの準備を始めた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...