恋に臆病なままではいられない

pino

文字の大きさ
25 / 76
二章

24.好きな人の嘘

しおりを挟む

 冬真とシャンパンを開けてお祝いした後、自然と俺の寝室へ向かい部屋の電気を暗くしてベッドの上で絡み合う。お互いこの時を待っていたと言わんばかりに、求め合い抱きしめ合った。
 もう20歳になったけど、いつまで経ってもこういう事はドキドキと緊張するものなんだな。冬真とのキスには慣れたつもりだったけど、これからする次の段階の事を考えたらソワソワしっぱなしだった。
 一回冬真の顔が離れて俺を嬉しそうに見て来た。


「やっと雪さんを抱ける♡嬉しいです♡」

「恥ずかしいから言わなくていいって♡」


 今の俺は顔が赤くなってると思う。お酒が入ってるってのもあるけど、冬真とのセックスはまだしっくり来なくて恥じらいもあった。
 実際に俺と冬真は一度体の関係を持っている、らしい。それは俺の記憶が曖昧であの時の俺は飲み過ぎてあまり覚えていないからだ。気付いたら全裸で冬真の隣に寝ていたんだけど、言われてみれば冬真に愛を囁かれたような記憶もあった。
 今はそんな時とは違って意識もハッキリしてるし、冬真に言われた事された事は理解出来ている。だからこそ冬真とこんな風に愛し合う事が恥ずかしいと思うんだろう。

 そしてとうとう冬真の手が俺の服の下に入って来る。俺は少し身構えもしたけど、すぐにその優しい手に慣れて素直に感じる事が出来た。
 気持ち良いなぁ。もっと冬真と触れ合いたいなぁ。


「冬真~♡脱がして~♡」


 俺が甘えると、「はい♡」と言って丁寧に俺が着ていた部屋着を脱がしてくれた。そして上半身裸になった俺の胸元に吸い付いて来る冬真。俺はそんな冬真を大事に抱いて受け入れていた。
 冬真との初めての時もこういう事をしたのかな。あ、あの時は自分から脱ぎ出したんだっけ。今思うと酔ってたとは言えとんでもない事をしたなぁ。


「ん、あっ♡とうまぁ♡」

「敏感ですね♡可愛い♡」


 まだ胸だけだと言うのに恐ろしく感じていた。アルコールで火照った体が更に熱を持つのが分かる。
 俺も冬真にしてやりたい。そう思って冬真の服の下に手を入れて、キスをしながら冬真の部屋着を脱がそうとする。が、思うように出来ずに捲るだけになってしまった。と言うか冬真が脱がされようとしてない気がするけど。


「冬真も脱いでよ♡裸で抱き合いたい♡」

「……俺は、寒がりなんでこのままじゃダメですか?」

「えー、それなら暖房付けようよ。早く言ってよ~」

「暖房は大丈夫です!雪さん、あの……」


 エアコンのリモコンを取ろうとベッドから抜けようとすると、冬真に抱き抱えられて止められた。
 二人にとってずっとしたかった事なのに、どうして服を脱ぐのを嫌がるんだ?そう言えば一緒にお風呂に入る事も断られてるな。それは俺の前で脱ぎたくないって事だったのか。
 明らかに冬真の様子がおかしかった。
 俺は不審に思って上半身を起こして問い詰めるように冬真に問い掛ける。


「冬真、どういう事だよ?」

「……ごめんなさい」

「謝るだけじゃ分からないじゃん。どうして俺の前で服を脱ぎたくないのか教えてよ」

「脱げないんです」

「はぁ?どう言う事だよ?」

「……俺、ここへ来る前に寮に住んでたって言いましたけど、それ、嘘だったんです」

「嘘?」


 まさかあの冬真に嘘をつかれていたなんて。一気に酔いが覚めた気がした。
 いや、まだ出会って間もないし、話してくれてる事が全部本当なんだとは思ってないよ。でもさ、俺と冬真はそんな事ないって心のどこかで思っていたんだ。実際に俺は仕事の事や家の事、ワタルの事だって、初めは隠したりしたけど嘘を言った事はない。
 だからかな、申し訳なさそうに話す冬真の事が少し許せないと思ってしまった。

 俺は一度冬真から離れて、詳しく聞こうと部屋の電気を点けて水を取りに行こうと思った。いつもなら冬真もついて来る所だけど、冬真はガクッと肩を落としたままベッドに座っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...