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三章
30.光ちゃんの好きな人
しおりを挟む残された俺と冬真は隣同士、目を見合わせて微笑み合った。何だろ?冬真の隣は落ち着くんだ。お酒が入ってるからかもだけど、無性に触りたくなる。俺は胡座をかいて座る冬真の膝に手を置く。
冬真は俺の手をギュッと握ってくれた。
「光ちゃん普通だったね」
「なんだか雪さんの親に認めて貰えたみたいで嬉しいです♪」
「そうだね。光ちゃんは俺の親みたいなもんだからな。でもさ、冬真が嘘ついてたの少しは怒るんじゃないかと思ってたんだ。俺ほどじゃないけど光ちゃんも嘘は嫌いなんだよ。客とかその場限りの人には陽気に対応するけど、身内になればなるほど嘘つかれると怒るんだ」
「それじゃあ俺はまだ光児さんの身内には入れてないって事ですね。寂しいですけど、これから頑張ります♪」
「前向きだな。うん、冬真のそう言う所好きだよ♡」
「俺も雪さんの甘えて来る所好きです♡普段はサバサバしてるのに今とかめちゃくちゃ可愛いです♡」
「可愛いって冬真がだろ~?」
「雪さんが可愛いんです♡」
あーもう今すぐ押し倒したーい♡
まだ全然飲んでないけど、こんな風になるなんてもしかしてお酒とか関係ないのかな?俺は普段から冬真に触れたくて、甘えたいだけなのかも。
大人になってそう言う機会がなくなったから気付かなかったけど、俺って誰かとくっ付くの好きなんだな。
俺と冬真が甘い空気を出していると、外から戻った光ちゃんがニヤニヤしながら戻って来た。
「お前ら何イチャついてんだ。あーあやっぱ社内恋愛禁止にしよっかな~?」
「してもいいけど、俺と冬真は禁止になる前に付き合ったんだから関係ないよー?」
「うわっそう言うのはしっかりしてるよなお前は!」
「あの、光児さんは恋人とかいないんですか?モテそうですけど」
「嬉しい事言ってくれるね♪残念だけどいねぇんだわ。仕事もプライベートも忙しくてよ」
「良く言うよ。プライベートなんて寝てるかバイクいじってるかでしょ」
「この歳になるとそんなもんだろ」
「そうかなぁ?光ちゃんの友達見てると恋人と同棲してたりもう家庭を持ってたりする人もいるじゃん」
俺はずっと光ちゃんといたから分かるんだ。店に来る光ちゃんの友達が恋人を連れて来たり、家での話や相談をしてるのを何度も見て来た。それに対して光ちゃんは変わらずに笑って対応してるけど、光ちゃんに恋人がいるのなんて見た事がない。
冬真が言うように光ちゃんはモテない訳じゃない。全般受けする見た目じゃないけど、性格はかなり良いんだ。男らしいし、光ちゃんに言い寄ってる女の人も見て来た。それでも光ちゃんはずっと一人でいた。
もしかして俺に気を使ってるのかとも考えたけど、それはそれでありがたかったかも。冬真が来る前にもし光ちゃんに恋人なんかが出来てたらちょっと寂しかったもんな。
でも光ちゃんもいい歳だし、そろそろ幸せになってもいいんじゃないかな。
「誰かと過ごすっての俺には合わねぇんだよ。お前らの事も見ねぇといけねぇしな」
「それならもう大丈夫だよ♪ね?冬真~?」
「はい。光児さんの恋人も混ぜて4人で飲んだりしたいですよね」
「恋人ね~」
ここで光ちゃんはいつになく一言ボソッと言ってナスの漬物をつついていた。
もしかして、光ちゃんも恋人が欲しくなったとか?
「光ちゃん、好きな人でもいるの?」
「好きな人ってかよ、そんな感じのはいるかな」
「はぁ!?初耳なんだけど!」
かまかけたつもりがまさかの答えに俺が驚いちゃったよ!全くそんな気配を見せなかったし、いつも一緒にいたのに全然気付かなかったよ!
「誰!?俺の知ってる人?」
「会った事ねぇよ。てか俺の話はいいんだよ、今日は冬真が主役だろうが」
「冬真も気になるよな!?」
「はい♪どんな人なんですかぁ?」
「お前まで俺を茶化すのかよ。どんなって、普通だよ普通。まぁ少し頑張り屋かな~」
光ちゃんの好きな人ってどんな人なんだろう。
もっと若い頃は女の人とかと付き合ってるのを何度か見た事があるけど、成人してからは俺が知る限りではいない。隠してたら分からないけど、光ちゃんの事だから俺には言うと思うんだ。
てか言ってくれなきゃなんかやだ。
俺にとって光ちゃんは何でも話せる相方のような存在だから。
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