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四章
45.バイトの面接
しおりを挟む俺と光ちゃんが恋バナをしていると、冬真が厨房から出て来て作り立てのオムライスを持って来てくれた。鮮やかな黄色いフワトロの卵には、シンプルにケチャップでglowと書いてあった。
「お待たせ致しました♪」
「おー!めちゃくちゃ美味そうじゃねぇか♪冬真も腕を上げたなぁ」
「雪さんの教え方が上手なんですよ♪見た目は成功しましたが、味の保障は出来ませんよ♪」
「料理ってのは心が籠ってりゃ味なんて二の次でいいんだよ♪」
「えー、光児さんてそんな風に思いながら客にご飯提供してるんですか~?」
俺と光ちゃんが話してた内容を知らない冬真はいつものように明るく接していて、光ちゃんもいつも通りに笑いながら対応していた。
だけど俺は笑えなかった。せっかく冬真が作ってくれたオムライスも、今は光ちゃんの好きな人の事で頭がいっぱいですぐに手を付けようとは思えなかった。
「光ちゃん!その人って……」
俺が光ちゃんにそのホストの事を聞こうとしたら店に一人の男が入って来た。こんな時にバイト希望の奴か!?空気の読めない奴め!
店のドアのカランカランと言う音を聞いて俺達は揃って出入口の方を見る。
「こんばんはー♪わぁ!美味しそうな匂いがするー♪」
「はぁ?ワタル?」
店に入って来たのはワタルだった。ワタルは慣れたように俺達のいるテーブルまで来て冬真が作ったオムライスを覗き込んでいた。こいつ何しに来たんだ?
「ワタル、良く来たな」
「買い物してたら少し遅くなっちゃった、ごめんね?」
「何その約束でもしてたみたいな言い方。てかお前帰ってなかったのかよ」
「帰る所ないもん。はい光ちゃんこれ」
「お、ちゃんと書いて来たのか。どれどれー?」
ワタルは白い封筒を出して光ちゃんに手渡していた。その中から一枚の紙を取り出して開いて見ていた。
俺もチラッと見てみると、それは思わず二度見してしまう物だった。
「履歴書ー!?」
「え、もしかしてバイト希望の人って……」
光ちゃんの手には証明写真までちゃんと貼ってある立派な履歴書だった。
これには冬真も驚いたようで履歴書を見て目を丸くしていた。
「うわ、ワタルくんの通ってる大学って超頭の良いとこじゃん!意外過ぎ!」
「えへへ~♪辞めちゃうけどね~」
「家の事情なら仕方ねぇよな。まぁうちに関しては学歴は関係ねぇけどな」
「じゃなくて光ちゃん!どういう事!?」
ワタルが良い大学行ってて、そこを中退しそうになってる事なんてどうでも良かった。普通に履歴書を見てる光ちゃんに強めに言うと、光ちゃんは履歴書をテーブルに置いてオムライスをパクッと食べてニッと笑った。
「どういう事ってこういう事だ♪ワタルをバイトとして雇う!お前ら仲良くやれよ~」
「なっ!?」
「高学歴……資格もいっぱい……凄い……」
「わーい♪先輩方よろしくでーす♪」
「ダメだ!バイトなんていらないだろ!何で今更こんなに人を増やそうとしてるんだよ!」
「ゆっきー怖ーい。店長の光ちゃんがオーケーしてくれたんだから良くない?」
「納得いかないんだ!正直冬真が来る前から俺と光ちゃんで何とかやって来れてたんだよ!冬真が来てくれてからは少し余裕も出来て良くはなったけど、どう考えてもこれ以上はいらないだろ!光ちゃんは何を考えてるんだ?良い加減教えてくれよ!」
「まぁまぁ落ち着けって」
あっさりワタルの事を採用してしまった光ちゃんに、俺もとうとう限界だった。普通の顔をしてオムライスを食べ続ける光ちゃんに向かって怒鳴ると、ふぅとため息をついて話し出した。
俺が怒ってるのが分かった冬真とワタルは黙っていた。
「分かったよ。ちゃんと話すから良く聞けよ?冬真、ワタル、お前らにも関係ある事だからちゃんと聞けー?」
光ちゃんはずっと立っていた二人も椅子に座らせた。
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