恋に臆病なままではいられない

pino

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六章

66.光ちゃんの恋人

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 冬真とワタルを連れて、光ちゃん達との待ち合わせ場所であるカフェに来た。
 ちょっと大人向けの落ち着いたカフェ。洋風な作りで、客層も俺達より上の人が多いように見えた。
 店員さんに待ち合わせと伝えると、店の奥に通され、その先の奥のテーブル席にいた光ちゃんが手を振って待っていた。
 そして光ちゃんの向かいの席、俺達に背を向けて椅子に座る男が一人。男は振り向いて俺達に笑い掛けた。
 この人が光ちゃんの恋人の良平……


「よう!待ってたぜ若者三人衆~」

「ちょっと恥ずかしいから大きな声で言わないで!」


 いつも通りの豪快な光ちゃんに、俺は恥ずかしくなって光ちゃんに近付いて注意する。
 そこで良平と目が合った。

 明るい茶髪で綺麗にセットされたマッシュ。片目が隠れるぐらい前髪が長くて、もう片方の見えてる目はパッチリ二重で、スッと通った鼻筋に、薄い唇、口角の上がった口元。パッと見てとても清潔感のある綺麗な印象だった。

 黒のライダースを着ているワイルドな光ちゃんに対して、良平は黒のトレンチコートに白のニットを着て大人っぽい雰囲気だった。


「こんにちは、初めまして雪ちゃん♪」

「ゆ、雪ちゃん!?」


 いきなりちゃん付けで呼ばれて驚いた声を出してしまった。俺もちゃんと挨拶しなきゃ!


「初めまして、早川雪です」

「俺は五十嵐良平って言います。よろしくね」

「とりあえずお前らも座れって~、ほら何飲むか決めろ」


 俺が立ったまま挨拶をしてるのを見て光ちゃんは自分の隣の椅子を引いて俺を誘導した。
 6人用の席で、俺の隣に冬真、良平の間を一個空けてワタルが座った。

 それぞれ飲み物を頼んだ後、俺は冬真達の紹介もしようと、隣にいる冬真をチラッと見ると、ずっと良平の事を見て、何とも言えない顔をしていた。


「どうした?冬真」

「え、あの、いや……」

だね冬真♪元気そうで良かった」


 ん?久しぶり?
 良平が冬真にニッコリ笑い掛けながら確かにそう言った。
 二人共会った事があるのか?


「やっぱりアヤトさんですか!?」

「はい♪アヤトさんですよー♪」


 冬真が言うアヤトって名前には聞き覚えがあった。確か冬真がホスト時代お世話になった先輩だとか……はっ!まさか冬真と良平って同じホストクラブだったのか!?


「冬真、もしかしてお世話になった人って……」

「うん、前に話した俺の面倒を見てくれてた先輩だよ」

「てか光ちゃんの恋人が誰だか知ってたのか!?」

「それは知らないよ!本当に!アヤ……良平さんが光児さんの知り合いなのは知ってたけど、まさかそう言う仲だとは思わなかったから、俺も驚いてるんだ」

「元々、良平に冬真の事を頼むって言われてたんだ。訳アリだからってよ~」

「そうだったんだ……」


 意外な事が判明して、状況整理にちょっと忙しくなっていると、冬真の向かいに座ったワタルが、身を乗り出して輪に入って来ようとしていた。


「ゆっきー、そろそろ僕の事も紹介してくれない?」

「あ、すみません、もう一人余計なの付いて来ちゃって。東郷ワタルです。一応glowのバイトです」

「こんにちは~♪良平さんってとても綺麗ですね~♪光ちゃんてば面食いだったんだね~」

「俺は顔に惚れた訳じゃねぇよ。俺の好みは醤油顔だから良平ではねぇよ」

「君がワタルくんか~。ワタルくんの話も光児から聞いてたんだよ。とても頭が良くて人懐っこい子犬って♪」

「子犬!光ちゃんてば僕の事子犬だと思ってたの!?面白いんだけど!」

「雪ちゃんは頑固で繊細な子猫ちゃんだよね?」

「良平、それ以上バラすな。雪に角が生えるから」

「もう聞いちゃったよ。別に角なんか生えないしっ」

「でも聞いていた通りかなりの美人だね。失礼だけど、いじってないんだよね?天然でここまで綺麗な人ってなかなかお目にかかれないから」

「天然です!お世辞どーも!さすがホストですね~、口がお上手だ」

「元だけどね。お世話なんかじゃないのに」

「良平さん、ホスト辞めたんですか?」

「うん、この前の土曜日が最後の出勤だったんだけど、何とかやり遂げられたよ♪ね?光児♡」

「そうだな。マジでやるとは思わなかったわ」


 良平に同意を求められて、光ちゃんは少し顔を引き攣らせて答えていた。
 二人のやり取りを見ていると、どうやら良平は光ちゃんの事が本当に好きっぽいな。


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