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六章
73.兄の幸せを願う弟
しおりを挟むワタルと空が頼んだのはデリバリーのお寿司。それも一番高いコースで、俺の財布からお札が消えて再び怒りが込み上げる。
あいつら金が無いから俺が強く言えないのを良い事に好き勝手頼みやがって!
まったく!空がせっかく来てくれてるから多めに見てやるけど、これ以上調子に乗ったら許さないからな!
俺は大トロをパクッと口に入れて、堪能した後に日本酒を一口……うまぁ♪
お寿司とか久しぶり~♪やっぱ日本人はお寿司だよなぁ♪
「なぁ兄貴、さっきワタルさんと抱き合ってたけど……」
「空!遠慮してないでもっと食べなさい!どうせ家でろくな物食べさせて貰ってないんだろ?」
「ろくな物……一応ご飯作るのは俺が担当してるけど……」
「そうか!空も料理をするようになったのか!でもお寿司なんて食べないだろ!?しかも高級寿司だぞ!さぁ黙って食べなさい!」
空に何を聞かれるのか分かったから、それを無理矢理遮るように、いろんなお寿司を空の取り皿に乗せて誤魔化した。
それを見てワタルはクスクス楽しそうに笑ってて、冬真は俺と空を見て何かを言いたそうにしていた。
「空くん、お兄さんの彼氏は俺なんだよ。ワタルくんが勝手に手を出してるだけなんだ」
「え!?冬真さんと付き合ってるんですか!?」
「手を出してるだなんて人聞きが悪いなぁ~、僕もゆっきーと両想いだもんね~」
「えー!どう言う事?兄貴、まさか二股!?」
冬真とワタルの言葉に空は信じられないと言うような反応をして見せた。
そりゃそうだよな、実の兄がこんな拗れた恋愛をしてるなんて嫌だよな。実際、空の彼氏にもその事で激怒した事あったし……
仕方ない。こうなったら変に隠しても無駄だから本当の事を話そう。
二人にもキチンと話して分かってもらおう。
「空、驚いたと思うけど、俺は二人共好きなんだ。ここには三人で暮らしていて、元々付き合っていたのは冬真で、後から来たワタルの事も突き離せなかった」
「僕はこのまま三人で生活するの有りだと思ってるよ。ゆっきーとはもう二度と離れたくないからね」
「俺もワタルくんと同じだよ。本当は独り占めしたいけど、雪が俺を好きならそれでいい」
「うわ、二人共受け入れてんじゃん……」
「空の彼氏に対してキツく言った事もあったけど、自分が同じような状況になるとは思わなかった……今なら貴哉の気持ちが分かるよ。どっちも同じぐらい好きで、どっちとも離れたくないんだ」
「……そっか。あの、二人に聞きたいんですけど、兄貴のどこが好きなんですか?」
空の質問に、二人は一瞬固まってから、笑顔で答えた。
「優しい所~♡あとね、ちょっと細かくてうるさいけど真面目な所も好き♡ゆっきーの顔も好き♡」
「しっかりしてる所かな。いろいろ親身になってくれる所とか、料理が上手な所も好きだよ♡もちろん顔も♡一目惚れだったからね♡」
「ふ、二人共……」
俺は恥ずかしくて、お酒を飲んで気を紛らわすけど、二人に言われた事が嬉しかった。
空も二人の言葉をしっかり聞いて微笑んでいた。
「あ、エッチの時のゆっきーも好き!意外と積極的で、トロンってなるとめちゃくちゃ可愛いんだ♡」
「それ分かる!酔うとめちゃくちゃエロくなるんだ。あの雪に甘えられたらヤバい♡」
「コラー!弟の前でなんて事話してんだー!!」
「あはは、二人共本気なんですね♪なら安心しました。兄貴が幸せなら俺は何も言いません。これからも兄貴の事よろしくお願いします♪」
「空……お前ぇ♡」
俺は空が許してくれたようで、感動していた。
二人も空に認められた事でホッとしていた。
そうか、大切な人に後ろめたい事があった時にこう言って貰えると安心するのか。
俺はこれまで空にはちゃんと生きて欲しくて結構キツく躾けて来たけど、こうやって受け入れて貰えると心から安心出来たんだな。
まさか弟に気付かされるなんて、参ったなぁ。
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