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第56話 ちみっこと水竜の卵 その12
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異世界に転生して水竜のママになりました。
こんなタイトルでラノベが一本書けそうだな。いや書かないけど。そうじゃなくて! 現実逃避してる場合じゃないけど、水竜の円らな赤い瞳に見詰められると...しかも気のせいか期待してるように瞳をウルウルさせている...ように見えなくもない。うぅ...やっぱ可愛いな...
「わ、私があなたのママなの!?」
「キュイキュイ~♪」
どうやら確定らしい...しかもこの水竜、人間の言葉を理解してるようだ。いやマジでどうすんだこれ!? こんなデカイの飼う訳にもいかないし、かと言って放り出す訳にもいかない。アタシが頭を悩ませていると、
「ついに水竜までミナの虜に...」「人外まで虜にするなんて...ミナさん、さすがですわ...」「ミナの魅力は留まるところを知らないということか...」「ほ、本当に大丈夫!? 油断させといてあとからパクッとされたりしない!?」
おい、お前ら。人か悩んでるって時に何勝手なこと言ってんだ! 人をタラシみたいに言うんじゃねぇ! 人聞きの悪い! アタシはなんもしてねぇっつーの! あとシルベスター、さすがにそれはない...と思う...と思いたい...その時だった。一人だけ静かだったアリシアが叫んだ。
「ねぇ、また水が増えて来たみたい! それもかなりの勢いで!」
アリシアの言う通り、減った時の倍以上のスピードで湖の水位が上がり始めた。このまま上がり続けると、今居る浮島も水の底に沈むかも!? まぁ、ウンディーネの加護があるから溺れたりする恐れはないけど。さて、どうしたものか。すると、
「キュイキュイ~!」
水竜が鳴きながら後ろを向いて、自分の体を頭で指し示す。これはもしかして...
「乗れって言うこと?」
「キュイ~♪」
どうやらそうらしい。みんなで顔を見合せる。せっかく乗れって言ってくれてんだから、ここは乗るしかないよね。
「まずはミナから...」
まぁ、そうなるよね...すると水竜が乗りやすいように頭を下げてくれた。アタシは恐る恐る首に掴まりよじ登った。首の根元に抱き付くようにしがみ付く。
「うわぁ...」
水竜がゆっくりと頭を上げる。急に高くなった視界が目の前に広がる。遠くまで見渡せる。思わず感嘆の声が漏れた。その後、みんなも次々に登り始めた。アリシアはアタシのすぐ後ろに陣取り、他の四人は広い背中にそれぞれ位置を決めたようだ。
「キュイ~!」
全員が乗ったことを確認した水竜が一際高く鳴いた。すると、一瞬だけフワッとした浮遊感を感じた。そう、まるで前世のエレベーターに乗った時のよう。
「う、浮いてる!?」「と、飛んでる!?」「うわ!? もうこんな高さまで!?」「た、高いよ~! こ、怖いよ~!」「いえ~い♪ 最高~♪」
まぁ、感想は人それぞれってことで。シルベスターだけは安定の怖がりだけど。しかし空を飛んでるって実感が湧かない。展望エレベーターで急上昇してる気分だ。そう思っていたら、急に横移動を始めた。どこへ向かっているんだろう? ん? あれは?
「もしかして...地上に戻ってくれるの!?」
「キュイ!」
向かっている先はアタシ達が降りて来た、いや、落ちて来た大穴だった。スピードを上げた水竜は、一気に穴を登って地上に降り立った。アタシ達は水竜からゆっくりと降りる。そして首筋を撫でながら労を労う。
「ありがとうね。お陰で助かったよ」
「キュイ~♪」
正直、どうやって地上に戻ろうか? っていうことまで考えてる余裕はなかったから、本当に有り難かったよ。みんなも地上に戻れて安心したみたいだ。口々に水竜を「凄い凄い」と誉め称え「ありがとう」とお礼を言っている。それらが落ち着いてから殿下が一言。
「それでこれからどうする?」
うん、どうしようか...
こんなタイトルでラノベが一本書けそうだな。いや書かないけど。そうじゃなくて! 現実逃避してる場合じゃないけど、水竜の円らな赤い瞳に見詰められると...しかも気のせいか期待してるように瞳をウルウルさせている...ように見えなくもない。うぅ...やっぱ可愛いな...
「わ、私があなたのママなの!?」
「キュイキュイ~♪」
どうやら確定らしい...しかもこの水竜、人間の言葉を理解してるようだ。いやマジでどうすんだこれ!? こんなデカイの飼う訳にもいかないし、かと言って放り出す訳にもいかない。アタシが頭を悩ませていると、
「ついに水竜までミナの虜に...」「人外まで虜にするなんて...ミナさん、さすがですわ...」「ミナの魅力は留まるところを知らないということか...」「ほ、本当に大丈夫!? 油断させといてあとからパクッとされたりしない!?」
おい、お前ら。人か悩んでるって時に何勝手なこと言ってんだ! 人をタラシみたいに言うんじゃねぇ! 人聞きの悪い! アタシはなんもしてねぇっつーの! あとシルベスター、さすがにそれはない...と思う...と思いたい...その時だった。一人だけ静かだったアリシアが叫んだ。
「ねぇ、また水が増えて来たみたい! それもかなりの勢いで!」
アリシアの言う通り、減った時の倍以上のスピードで湖の水位が上がり始めた。このまま上がり続けると、今居る浮島も水の底に沈むかも!? まぁ、ウンディーネの加護があるから溺れたりする恐れはないけど。さて、どうしたものか。すると、
「キュイキュイ~!」
水竜が鳴きながら後ろを向いて、自分の体を頭で指し示す。これはもしかして...
「乗れって言うこと?」
「キュイ~♪」
どうやらそうらしい。みんなで顔を見合せる。せっかく乗れって言ってくれてんだから、ここは乗るしかないよね。
「まずはミナから...」
まぁ、そうなるよね...すると水竜が乗りやすいように頭を下げてくれた。アタシは恐る恐る首に掴まりよじ登った。首の根元に抱き付くようにしがみ付く。
「うわぁ...」
水竜がゆっくりと頭を上げる。急に高くなった視界が目の前に広がる。遠くまで見渡せる。思わず感嘆の声が漏れた。その後、みんなも次々に登り始めた。アリシアはアタシのすぐ後ろに陣取り、他の四人は広い背中にそれぞれ位置を決めたようだ。
「キュイ~!」
全員が乗ったことを確認した水竜が一際高く鳴いた。すると、一瞬だけフワッとした浮遊感を感じた。そう、まるで前世のエレベーターに乗った時のよう。
「う、浮いてる!?」「と、飛んでる!?」「うわ!? もうこんな高さまで!?」「た、高いよ~! こ、怖いよ~!」「いえ~い♪ 最高~♪」
まぁ、感想は人それぞれってことで。シルベスターだけは安定の怖がりだけど。しかし空を飛んでるって実感が湧かない。展望エレベーターで急上昇してる気分だ。そう思っていたら、急に横移動を始めた。どこへ向かっているんだろう? ん? あれは?
「もしかして...地上に戻ってくれるの!?」
「キュイ!」
向かっている先はアタシ達が降りて来た、いや、落ちて来た大穴だった。スピードを上げた水竜は、一気に穴を登って地上に降り立った。アタシ達は水竜からゆっくりと降りる。そして首筋を撫でながら労を労う。
「ありがとうね。お陰で助かったよ」
「キュイ~♪」
正直、どうやって地上に戻ろうか? っていうことまで考えてる余裕はなかったから、本当に有り難かったよ。みんなも地上に戻れて安心したみたいだ。口々に水竜を「凄い凄い」と誉め称え「ありがとう」とお礼を言っている。それらが落ち着いてから殿下が一言。
「それでこれからどうする?」
うん、どうしようか...
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