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第121話 ちみっこと土竜討伐 その8

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 祝賀会は盛大なものとなった。

 国内の全ての貴族が招待され、王宮の大広間は人で溢れ返っていた。アタシの両親は二回目ということもあり、まだ緊張はしているものの『精霊の愛し子』騒動の時のようにガチガチになることはなかった。陞爵という言葉を聞かされるまでは...

 田舎者の平凡な子爵が伯爵へ。アタシは今日から伯爵令嬢。それを聞いた両親の顔がまた真っ青通り越して真っ白になっていた。まぁ無理もない。アタシもまだ実感湧かないもんね。

 ロイヤルファミリーが勢揃いしているのを久し振りに見た。国王アレクサンドル二世陛下にカタリーナ王妃、ついこの間立太子したばかりの王太子アインハルト殿下にカサンドラ王太子妃、そしてエリザベス第1王女殿下。

 そんな綺羅びやかな方々に次々と祝福されたウチの両親のライフは既に0だった...そんな中、懲りずにエリザベス王女に近付こうとする愚弟の襟首を掴んで制していると、

「ミナ、おめでとう」

 ライオネル王子が話し掛けて来た。あの日以来、顔を合わすのは初めてなのでちょっと気まずい...

「ありがとうございます...」

「ちょっと話があるんだがいいかな?」

 そう言われては断れないので、愚弟の世話をアリシアに頼んで(押し付けて)ライオネル王子と会場の隅に移動した。

「俺様は国に帰ることにした」

「それはまた...急な話ですね...」

「元々無理を言って国を出たからな。番にフラれた以上、いつまでもこの国に居る訳にもいかない」

「......」

 アタシは何も言えなかった。

「それにな、ミナのお陰で目が覚めた。自分を見つめ直すことが出来た。鍛練して強くなる喜びも知った。この国に来て、そなたらと出会えて良かった。心からそう思う。感謝している。本当にありがとう」  

「勿体ないお言葉です...」

 出会いは最悪だったけど、こうして分かり合えたのに...もうお別れなんて寂しいね...

「俺様は国に帰ってからも鍛練を続ける。一国の英雄となったそなたらに追い付くのは大変だろうが、諦めることなく精進していくつもりだ。良かったら見守っていてくれ」

「分かりました。応援しています。どうかお元気で...」

 こうしてライオネル王子は自国に帰って行った。


◇◇◇


 祝賀パレードは、四頭立ての真っ白な馬が引く真っ白な馬車に乗って、王都の大通りを大勢の観客が集まる中、ゆっくりと進むというものだった。

 ちなみに馬車は屋根が外されてオープン形式になっている。アタシ達は観客にぎこちなく手を振りながら練り歩いた。

 祝賀会に続き祝賀パレードを終えたアタシ達は、王宮の控え室でグッタリしていた。
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