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ひとでなしと『兄』
しおりを挟む紫苑とセルヴァンスは『兄』に心当たりがあると言う。20年前に逃亡した兄だぞ?
そして兄はあっさり見つかった。
「いや~、だからさあ、悪かったと思ってるよ」
20年前と同じ姿で、同じ声で、同じ顔で兄は言った。逃亡防止に縛られたまま。
兄はあの後、このエルドラドに流れ着いて住み着いたらしい。エルフの美少年でも誰も何も詮索しない干渉してこないで心地よかったんだろう。最初は食事処で働き始め、賄い料理が人気になっていつのまにか領主館の料理長になっていたそうだ。
「ぜんっぜん悪かったって思ってないだろアル」
「思うわけないじゃん、俺、そいつを助けてやったんだぜ?」
全く悪びれない。迷惑を被ったわけじゃない。見捨てられただけだ。それなのに何故セルが兄を責めているんだろう。
「セルはハルさんが気に入ったんだね」
ニコニコ笑って紫苑が言う。
「ねえアルトリウス?君、なんでこんなことしたの?」
………?
「《カルマ交換》なんて、ただのエルフがやったら弊害が出るに決まってるじゃない」
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