【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

羊のフードデリバリーは拒否されました

長い長い回廊を、手を引かれて歩いていく。石造りの柱。豪奢な中庭。屋根瓦が見えるが前世の大日本帝国の瓦屋根とはまた違う。ローマのドムスにも似た建物は迷路のように入り組んでいて広大だった。


「ちょっとした結界も張ってあるから手を離さないでね？」


エヘッと可愛らしく笑う美女はヒロイン属性だ。もうなんでも許しちゃうって気になる。魔王軍だけど。多分幹部だけど。


「陽咲様～！ごはんもってきましたよぉ～」


………はい？

ごはん！？ご飯って言つったかこの女！？マジか！？俺、食料！？確かに羊の獣人だよ！？ラムになっちゃうの！？いやもう幼くないからランクダウンでマトン！？いやいやいや転生初日のハードモード半端ねえ！！


「わかった、そこに置いてお………」


執務室らしい部屋で書類と睨めっこしてた天使は顔を上げ……ポロッとペンを落とした。え…？え？？？なに！？なんか俺の顔を凝視してるんだけどオオオオオオオ！？


「ご…はん？？？」

「はいっ！陽咲様がコレが美味しいって言ったから洗って磨いて盛り付けちゃいました⭐︎」


さすがは魔王軍。ヒロイン属性が邪悪寄りだ。


「えっ…え……い、いや…た、食べない……食べないよ！？」

「ええ～！？そんなこと言わずに一口でも！」

「食べたら減るじゃん！？」


えっ。そういうこと！？


「ええ～！？……むう…まあ…確かに減りますねえ……」

「痛そうだし、そんな……」

「……痛そう………ですもんねえっ？」


にこぉ！と美女が笑う。


「じゃあ食べずに飼いましょう！嫁候補として！」








…………………は？