【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

羊の愛情クッキング☆鶏もも肉の味噌焼き編「クソまずいけど俺はお前の料理が食べたい」

「……マズい………」

「やっぱり～？」


日課のように陽咲が顔を顰める。


「今日こそは上手く行くと思ったのに…」

「お前のその自信はどこから来るんだ！？なんで焦がす！？途中まではすげえいい匂いさせてたよな！？」


本日のメニューは鶏肉の味噌焼き。なんか見た目美味しそうだったから作った。漬け込んだ肉を焼くだけって書いてたのに…。おっかしいなあ？


「黒焦げだしなんか塩っぱいし砂糖どこいった！？」

「えー、だって砂糖が入ってると焦げやすいって書いてたから…」

「だからって抜くな！！抜いたくせに焦がすな！！」

「どーんまい⭐︎」

「お前が言うなアアアアアア！！」


口の中に半分炭化した鶏肉を突っ込まれる。

……焦げ臭塩っぱ！！しかも半分生じゃん！？炭のガリッとした食感と生肉のブニョッとした食感がたまりませんね！(悪い意味で)

どこで火加減間違えた俺！？おおう……これはまた飲み込むのに抵抗が……ウッ…

このクッソまずい炭を眉間に皺寄せてジョリジョリ食って、陽咲は水をがぶ飲みした。


「早く食え」

「んん～……(モゴモゴ…)」


眷属の巨大猫が鶏肉の味噌焼き(のような何か)の皿を片付け、俺と陽咲の前に籠いっぱいの丸パンと具沢山野菜スープを置く。スープの器がでかいのは二人で食べるからだ。なんとか異物(自分で作っててなんだが、まさに異物)を飲み込んで水！まずは水！それから丸パンをちぎる。


「あーん？」

「ん」


陽咲が俺の手からパンを食べる。俺もついでに食べる。んまーい！ドライフルーツ入ってるー！陽咲の顔も綻んでる。俺はこの時間が好き。旦那可愛い。もうマジ天使！『天使』は魔王領じゃ蔑称って教えてもらったから心の中で叫ぶけど。


「そういや陽咲？あのさ……こうやって食べさせたら味がするんだろ？そしたらこっちの食べ物の方が美味いし俺の料理とか……」

「クソまずいけど俺はお前の料理が食べたい」

「えっ…(きゅん)」

「一番味覚が戻ってる実感ができる。……マズいけど」

「どういうこと？」

「つっ…つべこべ言わずに作れ！そして早く美味いもん作れるようになれ！！」

「えええ～…」


陽咲ってマゾなの！？

スープの中のジャガイモを掬って差し出すと、陽咲が齧り付く。あー、可愛い可愛い可愛い(エンドレス)


「そういえば身代金どうなったの？」

「ああ…」


前にメルが「王子様以外、どの子が身代金払ってもらえそう？」って聞いてきたから大神官の愛人を教えといた。もうそろそろイアソン兄ちゃんたち帰るのかなあ？


「身代金を払わんどころか、お前を含む全員を引き渡せと要求してきたぞ？」






…………………はあ？