23 / 49
閑話:涼音02
しおりを挟む「で?涼音はネコとタチどっちやりたい?」
あまりといえばあんまりな言葉に僕は遠い目をした。
新婚旅行を兼ねた家畜の仕入れと《桜座》の食事、一族の者への披露。色々兼ねた遠征から帰って初めての夜。
気を利かせすぎの女官たちが敷いた布団と、並んだ枕を見ながら刹那がけろりと言った。
「…え……」
「だってお前、ぶっちゃけ血塗れの俺見て勃っただろ?でも一応『妻』はお前だし、俺はまあ…うん、どっちでも食えればいいし?」
……そうだった…。《桜座》の本質にばかり目が行きがちだが、桜坂刹那はこういう男だった。
良く言えば性に対して大らか、悪く言えば貞操観念皆無。
確かに僕は、返り血で全身を真っ赤に濡らす刹那を ーーー 《桜座》を見て『抱きたい』と思った。
善人も悪人も、立ち向かってくる者も逃げ惑う者も。老人も子供も女も男も美醜も地位も関係なく。
ただの自然災害のような苛烈で美しい、純粋なる暴力。恍惚と笑いながら分け隔てなく命を屠る姿に、昏い喜びを覚えた。
どうしてこんなに酷い男が、こんなに愛おしいんだろう。
「……じゃあ、今日は僕にさせて?」
「いいよ?」
おいで。
白い闇が笑う。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
688
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる