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27 シュークリーム美味しい
しおりを挟む「……《唯一》を食った私は異形と成り果てた。だが、力だけは満ちていた。潤沢な魔力で亜空にこの世界を作り、地球世界を模して維持管理システムである《神》を作り、生産の要である《ちいさきもの》を作り、《桜座》の愛したハーレムの要であった《常盤》を転移させた。……その時にはもう、《桜座》は《ちいさきもの》の中に砕いて混じり、もはや私では回収が不可能なほど散ってしまっていた」
「……じゃあ、今の《地球世界》は…」
「私が《唯一》を食ったから、世界の初期化は停止した。だが天上からのエネルギー供給は途絶え、僅かに生き残った《維持管理システム》がやっとで回していると言うのが現状だろう」
「お前が……あの、《物語と愛の守護神》が起こした事件を、仕組んだ…のか?」
「あれは完全にイレギュラーだ。本来ならば私は完成した《桜座》だけをこちらに招くつもりだった。それが何億年、何百億年掛かろうと、私は待つつもりだった」
………うん。ちょっと難しい。
《久遠》と《奈落》のお話に飽きてきた俺に、涼音がオヤツを出してくれる。
ああ、そういや一昨日くらいから何にも食ってねえ。《久遠》の魔力は食ったけど。
フーッと《奈落》が深い溜め息を吐いた。
「わかった。もういい。お前があの事件の仕掛け人だったら本気でぶち殺そうと思ってたけど、どのみち終わる世界だったんだな…。あー…もう!やしろさんになんて言おう!!」
「そう言うことだ。理解したら帰れ」
「サイッテー!お前、そういうとこ改めたほうがいいよ!?」
うん、シュークリーム美味しい。もう塑空のご飯がなかったら生きていけない。
手に付いた粉砂糖を舐める。ここにも付いてるよ、とか言いながら口の端を涼音が舐めてくるから、ついでに口に噛み付いて魔力を貰う。あー、涼音の魔力うまっ。
「んっ、ん……はふ……ちゅっ……」
「ん……ふふ…甘いね、刹那の口の中…」
「……お前ら…そういうのは俺が帰ってからやってくんない?」
「……………《常盤》、その件で後で話がある……」
「……ん…?」
うん?
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