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最終章
最終話 橘左近のつぶやき
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○○○
はあ……。
これで何度目のため息になるだろう。風紀委員長として、この事態をどう収拾させればいいのか全く分からない。
僕は頭を抱え、今後の対策に頭を悩ませていた。まさか、あんな形で試合が中断させられるとは思わなかった。
獅子王先輩の告白で、場は一気にパニック。試合は中断され、再開の目途は立っていない。
問題は有耶無耶、新たな問題まで発生。
どうしたらいいのかね……。
僕は、元凶である伊藤さんを睨みつける。伊藤さんは、他の女の子と一緒に呑気におやつを食べていた。
はあ……。
何度目のため息になるんだろう。正道は休みだし、誰に愚痴ればいいのやら。
「よう。橘でも悩むことあるのか?」
「あるよ。毎日のように悩んでいるさ、御堂」
話しかけてきた御堂に肩をすくめてみせる。
キミも悩みの種の一つだから。
「伊藤か……まさか、あんな解決方法をとるとは思ってもみなかった」
「偶然の産物でしょ? 伊藤さんは正道の為に行動した結果、ああなっちゃったからね」
正道は、獅子王先輩が古見君をいじめていたことを気にしていた。
だから、伊藤さんは古見君をいじめないよう獅子王先輩を説得しようとしていた。
いじめでないことが分かったのはいいけど、まさか、同性愛とはね。
世の中、本当に分からないことだらけ。
御堂は黙ったまま、伊藤さんを見つめている。御堂が何を想っているのか、僕には分からなかった。
「妬いてるのかい?」
僕の問いに、今度は御堂が肩をすくめている。
「大したヤツだよ。力は弱いくせに、厄介ごとに首を突っ込んで、傷ついて、それでもなんとかしようともがく。私はそういうヤツは好きだ。それに認めている」
「御堂が認めるなんて凄いじゃない。もう、伊藤さんを新米扱いはできないかな?」
御堂の認めた伊藤さんに視線を向けると。
「ああっ! 私のお菓子、食べた!」
「小さいですわね、伊藤さんは」
「そのお菓子はね、私が最後までとっておいた、大切な、大切なお菓子なの! 私の疲れを癒してくれる、大切なエネルギー源をとるなんて! そこに愛はあるんですか! 心にゆとりはないのですか!」
「……新米扱いでいいだろ?」
「……そうだね」
僕と御堂は顔を見合わせて、苦笑する。
伊藤ほのか。
僕達がキミを見つけたとき、どれほど驚いたか、キミに分かるかい?
運命を感じたよ。
これはあの子からの警告なのだろうか? でも、僕達はもう引き返すことは出来ない。
必ず、復讐を果たす。
あの日の誓いは一日たりとも忘れたことはない。だけど、伊藤さんの笑顔を見ていると、決意が鈍りそうになる。僕達の復讐心が和らいでしまいそうで、怖くなる。
このまますべてを忘れて、正道と伊藤さんと僕でコンビを組んで楽しくやっていくのも悪くはないと思う。
そんな未来がふと頭によぎるけど、僕は無理やりその考えを追い出した。
きっと、それは偽りだ。現実から目をそらして、逃げているだけ。現実逃避して見る夢に何の価値があるのだろう。あるわけがない。
僕の心の中にあるのはただ、腸が煮えくり返る想いと殺してしまいたいほどの憎悪だけ。
ああっ、そうだ。この気持ちこそ揺るぎようのない真実だ。ふふっ、僕らしくない。弱気になるなんて……。
本当に厄介な人だよ、キミは。
願わくは、全てが終わったとき、僕を裁いてくれるのが、キミと正道であってほしいと願う。
窓の外に意識を向けると、涼しい風が入り込み、夕日が沈もうとしている。
夏の暑さはもう感じられない。季節は秋から冬に移ろうとしていた。
○○○
-To be continued-
はあ……。
これで何度目のため息になるだろう。風紀委員長として、この事態をどう収拾させればいいのか全く分からない。
僕は頭を抱え、今後の対策に頭を悩ませていた。まさか、あんな形で試合が中断させられるとは思わなかった。
獅子王先輩の告白で、場は一気にパニック。試合は中断され、再開の目途は立っていない。
問題は有耶無耶、新たな問題まで発生。
どうしたらいいのかね……。
僕は、元凶である伊藤さんを睨みつける。伊藤さんは、他の女の子と一緒に呑気におやつを食べていた。
はあ……。
何度目のため息になるんだろう。正道は休みだし、誰に愚痴ればいいのやら。
「よう。橘でも悩むことあるのか?」
「あるよ。毎日のように悩んでいるさ、御堂」
話しかけてきた御堂に肩をすくめてみせる。
キミも悩みの種の一つだから。
「伊藤か……まさか、あんな解決方法をとるとは思ってもみなかった」
「偶然の産物でしょ? 伊藤さんは正道の為に行動した結果、ああなっちゃったからね」
正道は、獅子王先輩が古見君をいじめていたことを気にしていた。
だから、伊藤さんは古見君をいじめないよう獅子王先輩を説得しようとしていた。
いじめでないことが分かったのはいいけど、まさか、同性愛とはね。
世の中、本当に分からないことだらけ。
御堂は黙ったまま、伊藤さんを見つめている。御堂が何を想っているのか、僕には分からなかった。
「妬いてるのかい?」
僕の問いに、今度は御堂が肩をすくめている。
「大したヤツだよ。力は弱いくせに、厄介ごとに首を突っ込んで、傷ついて、それでもなんとかしようともがく。私はそういうヤツは好きだ。それに認めている」
「御堂が認めるなんて凄いじゃない。もう、伊藤さんを新米扱いはできないかな?」
御堂の認めた伊藤さんに視線を向けると。
「ああっ! 私のお菓子、食べた!」
「小さいですわね、伊藤さんは」
「そのお菓子はね、私が最後までとっておいた、大切な、大切なお菓子なの! 私の疲れを癒してくれる、大切なエネルギー源をとるなんて! そこに愛はあるんですか! 心にゆとりはないのですか!」
「……新米扱いでいいだろ?」
「……そうだね」
僕と御堂は顔を見合わせて、苦笑する。
伊藤ほのか。
僕達がキミを見つけたとき、どれほど驚いたか、キミに分かるかい?
運命を感じたよ。
これはあの子からの警告なのだろうか? でも、僕達はもう引き返すことは出来ない。
必ず、復讐を果たす。
あの日の誓いは一日たりとも忘れたことはない。だけど、伊藤さんの笑顔を見ていると、決意が鈍りそうになる。僕達の復讐心が和らいでしまいそうで、怖くなる。
このまますべてを忘れて、正道と伊藤さんと僕でコンビを組んで楽しくやっていくのも悪くはないと思う。
そんな未来がふと頭によぎるけど、僕は無理やりその考えを追い出した。
きっと、それは偽りだ。現実から目をそらして、逃げているだけ。現実逃避して見る夢に何の価値があるのだろう。あるわけがない。
僕の心の中にあるのはただ、腸が煮えくり返る想いと殺してしまいたいほどの憎悪だけ。
ああっ、そうだ。この気持ちこそ揺るぎようのない真実だ。ふふっ、僕らしくない。弱気になるなんて……。
本当に厄介な人だよ、キミは。
願わくは、全てが終わったとき、僕を裁いてくれるのが、キミと正道であってほしいと願う。
窓の外に意識を向けると、涼しい風が入り込み、夕日が沈もうとしている。
夏の暑さはもう感じられない。季節は秋から冬に移ろうとしていた。
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-To be continued-
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