99 / 521
最終章
最終話 伊藤ほのかの新米卒業
しおりを挟む
先輩のリベンジマッチから一日が過ぎた。
橘先輩は頭を抱え、唸っている。思惑通りにいかなかったことにショックを受けているみたい。
橘先輩には悪いけど、私はこの結果に満足している。
いじめはなかったわけだし、めでたしめでたし。このまま平穏無事に過ごすことができればいいだけど。
テニス、バスケ、水泳、ボクシング……数々のイケメンが私の脳裏を通り過ぎていく。
挫折することもあったけど、最後まで頑張れたと思う。
昔の、先輩に会うまでの私なら裸足で逃げていた。嫌なことは逃げるか、適当に受け入れてやり過ごすかして、本気で対応しなかった。
刹那の楽しみを求め、困難に立ち向かう努力をしなかった。
それが悪いことだとは思わないけど、つまらない毎日だった。
でも、風紀委員に入ってから、先輩と知り合ってから、私の生活は大きく変化した。
笑って、怒って、泣いて……本気で生きてるって思えた。大げさだけど、そう感じたんだ。
それに、漫画の世界に入ったような気がして、楽しかったな。モブの私でも、物語に関わって何かを残せたと思う。
ふふっ、私って成長したよね! 活躍だってしたと思うし、新米卒業だよね!
恋愛も憧れだけじゃなくて、今も継続している。
先輩との仲は良くなったのか、悪くなったのかは微妙だけど、先輩と一緒に過ごせた時間はかけがえのないもの。
恋愛ってやっぱり楽しい。
窓の外を見ると、夕日が沈もうとしている。涼しくて心地よい風に目を細め、一日の終わりを少し惜しむように思いをはせていた。
まだBL学園のままだけど、もうすぐ事態は収まると思う。そう願いつつ、私は最後に残していたチョコマシュマロを口にしようと手を伸ばした。
そこにあったはずのチョコマシュマロが掴めない。
あれ?
私はチョコマシュマロの方を見ると……、
「あっ!」
チョコマシュマロがない!
周りを見渡すと、最後の一個が黒井さんの口の中へ……。
「ああっ! 私のお菓子、食べた!」
「小さいですわね、伊藤さんは」
小さい? 成長した私に対して小さいなんて、黒井さんの目は節穴なの?
私はなぜここまで怒ったのか、黒井さんにジェスチャーしながら伝える。
「そのお菓子はね、私が最後までとっておいた、大切な、大切なお菓子なの! 私の疲れを癒してくれる、大切なエネルギー源をとるなんて! そこに愛はあるんですか! 心にゆとりはないのですか!」
私と黒井さんの取っ組み合いの喧嘩をみんなが呆れたような、生暖かい目で見守っていた。
これが私の日常ですから。何か文句ありますか?
-Normal End-
橘先輩は頭を抱え、唸っている。思惑通りにいかなかったことにショックを受けているみたい。
橘先輩には悪いけど、私はこの結果に満足している。
いじめはなかったわけだし、めでたしめでたし。このまま平穏無事に過ごすことができればいいだけど。
テニス、バスケ、水泳、ボクシング……数々のイケメンが私の脳裏を通り過ぎていく。
挫折することもあったけど、最後まで頑張れたと思う。
昔の、先輩に会うまでの私なら裸足で逃げていた。嫌なことは逃げるか、適当に受け入れてやり過ごすかして、本気で対応しなかった。
刹那の楽しみを求め、困難に立ち向かう努力をしなかった。
それが悪いことだとは思わないけど、つまらない毎日だった。
でも、風紀委員に入ってから、先輩と知り合ってから、私の生活は大きく変化した。
笑って、怒って、泣いて……本気で生きてるって思えた。大げさだけど、そう感じたんだ。
それに、漫画の世界に入ったような気がして、楽しかったな。モブの私でも、物語に関わって何かを残せたと思う。
ふふっ、私って成長したよね! 活躍だってしたと思うし、新米卒業だよね!
恋愛も憧れだけじゃなくて、今も継続している。
先輩との仲は良くなったのか、悪くなったのかは微妙だけど、先輩と一緒に過ごせた時間はかけがえのないもの。
恋愛ってやっぱり楽しい。
窓の外を見ると、夕日が沈もうとしている。涼しくて心地よい風に目を細め、一日の終わりを少し惜しむように思いをはせていた。
まだBL学園のままだけど、もうすぐ事態は収まると思う。そう願いつつ、私は最後に残していたチョコマシュマロを口にしようと手を伸ばした。
そこにあったはずのチョコマシュマロが掴めない。
あれ?
私はチョコマシュマロの方を見ると……、
「あっ!」
チョコマシュマロがない!
周りを見渡すと、最後の一個が黒井さんの口の中へ……。
「ああっ! 私のお菓子、食べた!」
「小さいですわね、伊藤さんは」
小さい? 成長した私に対して小さいなんて、黒井さんの目は節穴なの?
私はなぜここまで怒ったのか、黒井さんにジェスチャーしながら伝える。
「そのお菓子はね、私が最後までとっておいた、大切な、大切なお菓子なの! 私の疲れを癒してくれる、大切なエネルギー源をとるなんて! そこに愛はあるんですか! 心にゆとりはないのですか!」
私と黒井さんの取っ組み合いの喧嘩をみんなが呆れたような、生暖かい目で見守っていた。
これが私の日常ですから。何か文句ありますか?
-Normal End-
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
60
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる