267 / 544
二十三章
二十三話 ヒヤシンス -悲しみを超えた愛- その一
しおりを挟む
「さっそくで悪いんだけど、新聞部の件について話をしようか」
橘先輩の言葉に、私と先輩は頷く。私と先輩、橘先輩の三人で新聞部の同性愛者の暴露について真相究明する為。
せっかく同性愛の一件が落ち着いてきたのに、また騒がれて問題が起きたらたまったものではない。
獅子王さんも古見君も傷ついた。もうこれ以上、傷ついてほしくない。同性愛だからって苦しんでほしくない。
誰がなぜこんなことをしているのか分からないけど、今度こそ私が護ってみせる。
「新聞部の記事はおさえることができたけど、問題は解決していない。新聞部に馬淵先輩達の情報をタレコミした人物がいる。その人物から新聞部宛てにメールが送られてきて、内容は馬淵先輩達のことだった。ここまではいい?」
私と先輩は頷く。
「問題なのは、このタレコミをした人物は何者なのか? 目的は何なのか? タレコミの情報は正しいのか? これらを僕らで調査して解決する。僕はタレコミの人物を突き止める。正道たちはタレコミの情報が正しいのかどうか調査してくれる?」
「分かった」
「あ、あの……昨日、私が言った推測については……」
私はおずおずと口をはさむ。
馬淵先輩達が同性愛者でないことを確信している。だから、信じてほしい。
でも、橘先輩はため息をつき、肩をすくめている。
「その件なんだけどね、伊藤さんの推測が正しくても正しくなくてもややこしいことになりそうなんだ」
どういうこと?
馬淵先輩が同性愛者でなかった場合は、あきらかに私を騙すために近づいてきたことになるけど、同性愛者なら私の事を頼ってきてくれたことになる。
その場合って問題なの?
「私の考えが間違っていて、馬淵先輩達が同性愛者なら、この学園には同性愛者が百人以上いることになります。でも、それって問題なんでしょうか? 私はやっぱり、同性であっても真剣な恋は認められるべきだと思うんですけど……」
「伊藤、勘違いしているぞ。左近が問題視しているのは、なぜ伊藤に嘘をついてまで近づいたのかってことだ」
「? どういうことですか?」
もし、馬淵先輩が同性愛者で私に助けを求めてきた場合は問題にならないと思うんだけど……んん?
自分で言っておいて何かが引っかかる。何に対して引っかかっているの? 何か矛盾があるような?
矛盾? それは……。
「あっ! 理由!」
「そうだ。もし、馬淵先輩が同性愛者で、自分達が同性愛者だとバラされたくないという理由で伊藤に近寄ってきた場合、矛盾がうまれる。同性愛者である事実を、左近は掴んでいなかったからだ。つまり、馬淵先輩が同性愛者だったとしても、伊藤に嘘をついていることになる。何か思惑があると思っていいだろう」
だよね。馬淵先輩が私をだまそうとしていた。それが少し悲しい。
スターフィッシュはどうなるの? 知らなかったとはいえ、宣伝しまくって、予測ランキング第一位までのぼりつめたのに。
みんなの笑顔が、フレンドリーな態度が嘘だったって結構キツい。
「馬淵先輩の思惑と同性愛者かどうか、この二点を調べる。もし、伊藤に危害を加える気なら未然に防ぐ。これでいいか?」
「いいんじゃない。正道がメインで伊藤さんがサポート。これでいこうか」
「ちょっと待ってください! 今回は私がメインをさせてもらえませんか?」
うわ~先輩、睨んでるよ。橘先輩は戸惑っているし。
でも、今回は譲れない。譲りたくない。
「ダメだ。今回は伊藤が狙われている可能性が高いんだ。危険がある以上、俺がメインになって対応する。これ以上、伊藤に傷ついてほしくないんだ。分かってくれ」
思わず感激して頷いてしまいそうになる。でも、この案には致命的な欠陥がある。それは……。
「だからって先輩が傷ついていい理由にはなりませんよ。私だって先輩に傷ついてほしくないんです。それに、気になることがあるんです」
「伊藤さん、心当たりがあるの?」
橘先輩の問いに、私は頷く。
「心当たりはあるんですが、すみません。まだ確認をとっていないので言えません。でも、私の考えが正しかったら、逃げちゃいけないって思うんです。ちゃんと向き合いたいんです。お願いします!」
私は先輩達に深く頭を下げた。
心配してくれている先輩達には悪いと思っている。迷惑ばかりかけていると自覚している。それでも、譲りたくない。
私の考えが正しかったら、きっとこれは私がとるべき責任。その責任から今度こそ逃げたくない、向き合いたい。
先輩の視線から目をそらさずに見つめ合う。
先に目をそらしたのは先輩だった。
「はあ……分かった。だが、危険だと感じたらすぐに交代するからな」
「あ、ありがとうございます!」
「……正道がいいんならそれでいいけど、しっかりと見張ってね」
見張りって人聞きが悪い。橘先輩、私の事、問題児って思っていない?
私は自分の胸に手を当て、心当たりを考えてみる。
三股騒動に各部のBLを黙っていた事、橘先輩に逆らって獅子王さん達を応援した事……。
あははっ、立派な問題児だよね、私。どこで道を間違えたんだろう?
とりあえず打ち合わせが終わり、今日は解散。橘先輩は仕事があるからと言われ、先輩と一緒に帰ることになった。
久しぶりに先輩の隣を歩いている。でも、会話がない。気まずい。
下校時刻が近いからか、廊下には誰もいない。話したいのに、言葉が出てこない。
気恥ずかしい……ってだけじゃないんだよね。本当に気まずい。
よくよく考えると、先輩を差し置いて後輩の私がメインで調査したいって、あつかましいよね。先輩の面子をつぶしちゃったよね。
ああっ、自分の気持ちを優先させて人に迷惑をかける癖、全然治っていない。どこまでバカなの、私は。
そう思いつつ、先輩の隣を歩いているこの幸福感……何かむずがゆい。
先輩はどう思っているのかな? うれしいと思ってくれているのかな? それとも迷惑だと思っているの? 知りたい……。
「伊藤、ちょっと用事が出来た。先に帰ってくれ」
迷惑だと思っていたみたい……ううっ、泣きたい。知りたくなかった。
私は無理やり笑顔を作った。
「は、はい。お疲れ様でした」
廊下の角を曲がり、先輩の姿が見えなくなったら、笑顔は泣き顔に変わる。
はあ……嫌われているのかな、私。死にたい……。
もう、今日は最悪。帰ってママのご飯が食べたい……。
下駄箱で靴を履きかえようとしたとき、ふと何か忘れているような感じがした。
何か違和感が……って違和感ばかり感じてるよね、私。名探偵になれるかも……なんてね。
リュックが軽いような気がする。いつもはもっと重いような気がするのに……なんで?
リュックの中身を確認してみると……ない。お弁当箱がない。どうして?
今日のお昼を思い出す。今日のお昼は先輩のお説教をうけていて、お弁当は風紀委員室食べたから……ってああっ! お弁当箱、風紀委員室に忘れた!
本当に今日は厄日。面倒だけど、持って帰らないとママ怒るから。
私はため息をつきながら、元来た道を戻る。
誰もいない校舎って静かで不気味。そう思うと、意味もなく怖くなってきた。早く取りにいかなきゃ。
廊下を歩いていると、先輩の姿が見えた。でも、先輩だけじゃなかった。背広姿の男の人がいる。先生かな?
ちょっと気になって二人に近づいてみる。盗み聞きするのは悪いことだって分かるけど、好奇心に勝てない。どんなことを話しているのかな?
罪悪感とドキドキ感がいりまじり、近づいてみると声が聞こえた。
「……困るんだよ、藤堂君」
「申し訳ありません」
先輩が先生に謝っている? どういうこと? 先輩が先生に何か迷惑をかけたの?
先輩って一応優等生だから、教師に怒られる姿はめずらしい。でも、なんで怒られているの?
し、知りたい……弱みをにぎり……じゃない、好きな人の事はなんでも知りたい。そう、知りたいの。やましいことは何もないはず……。
「早く何とかしたまえ。ただでさえ獅子王財閥とひと悶着があってBL学園の存続が危ぶまれているこの時期に、新たな火種が発生するのは本当に困る。キミ達だよ、同性愛の問題は風紀委員で対応すると言ったのは。ハーレム騒動を解決したからって少し調子に乗ってないか? 言葉にしたんだから結果を残してくれないと」
「申し訳ありません」
な、何なの、あの先生は……。
先生と先輩のやりとりは、私が想像をはるかにこえたものだった。
改めて事の重大さが分かってしまう。獅子王財閥は日本屈指の財閥だ。たかだ田舎の高校一つ、つぶすのは赤子の手をひねるようなもの。
私が強姦されそうになったとき、獅子王さんは古見君を人質に捕られ、不良達に大けがをさせられた。しかも、獅子王さんとひなた君の事もバレた。
そのことで、獅子王財閥と学園がもめてしまった。もう解決済みだと思っていたけど、そうではなかったわけね。
橘先輩と先輩が早期に解決したがっていた理由が分かった。分かったんだけど、納得いかないことがある。
あの先生、ちょっと先輩に嫌味を言い過ぎじゃない?
いくら風紀委員が対応すると言ったからって、あそこまで言うことないじゃない。ふつふつと怒りがわいてくる。
男のくせにグチグチと先輩をせめて……許せない。
「うおっほん!」
私は堂々と二人の前に出た。先輩と先生は驚いた顔をしている。私はわざとらしく先輩に声をかける。
「先輩。もう用事は済みました?」
「……いや、まだだ。早く帰れ」
な、なんですと? なんで?
せっかく私が先生の嫌味なお話を切り上げるために会話に割り込んだのに。なんでナイスフォローを台無しにするの?
先輩ってここまで空気が読めなかったの? ありえないつーの!
「キミは誰だね? 今は大切な話をしている。さっさと……ん? キミは?」
先生がまじまじと私の顔を見つめてくる。そのぶっしつけな視線に一歩下がった。
先輩が私と先生の間に割り込んでくる。も、もしかして、私をかばってくれているとか?
まさかね。私、先生に睨まれるようなことしてないし。
「思いだした……キミは伊藤ほのかか?」
「そうですけど」
なんで名前を知られているの? 私、この先生の授業を受けたことがないんだけど、どこかで見たような……。
「先生。伊藤は今、関係ありません。話を逸らさないでください」
「話を逸らす? 元凶じゃないか、彼女は。全く、キミには言いたいことが山ほどある」
あ、あっれ~。私、地雷を踏んだ? でも、なんで?
悩んでいると、先生が私に文句を言ってきた。
「キミのせいで我が学園がどれだけ迷惑を受けたのか理解できているのか? 同性愛などと異常なものを支援するから問題が起こるんだ。強姦されそうになるのは勝手だが、我が校に迷惑をかけるのはやめてくれたまえ」
は、はあ~? なんでそんなことを言われなきゃいけないの?
先生の視線が私の頭のてっぺんからつま先までじろっと睨んでくる。
その視線がねっとりとしたねばついたもののように感じて、鳥肌が立った。
いやらしい目つきじゃない。忌々しい目つき。
「風紀委員のくせに短いスカートはいて、男受けしそうな格好をして恥ずかしくないのか? もっと学生らしく慎みを持ちなさい。だから、バカな男に襲われるんだ。キミにも問題があることを自覚しろ!」
ぶ、ブチギレしそうなんですけど。男受けしそうな格好? 別に普通でしょ?
私くらいのスカートの短さなんて他の女の子もしているし、シャツも二つしかボタンをはずしていないし、セーターを着こなしているだけなのに。
私は別に男の子を誘惑しているわけじゃない。ただのファッションとしてこの格好をしているだけ。
可愛く見せたいだけなのに、苦情を言われたくない。
「先生、それは少し言い過ぎではありませんか? 強姦されそうになるのは勝手というのは問題発言です。撤回してください。それに格好も風紀委員としては少し不謹慎ですが、目くじらを立てるほどではないかと」
せ、先輩が私の格好をかばってくれた? ちょっとレアだけど感激しちゃう。いつもは注意してくるのに。
「そういった甘やかしが彼女を調子にのらせることをなぜ分からないんだ、藤堂? キミがそんなだらしない生徒とは思わなかった。それとも、その女に籠絡されたのか?」
「……撤回してください」
我慢の限界だった。
私の事で注意されるのは慣れているし、ある程度我慢できる。でも、先輩の暴言をこれ以上言われたくない。
先輩は真面目で融通が利かない。その頑固さは同じ風紀委員の私や橘先輩だって呆れることがある。
でも、それは一生懸命頑張っている証拠。なのに、先輩の事をよく知らない人が先輩の悪口を言うのは許せない。
この先生は一体何なの? 何の権限があってここまで生徒に暴言を吐くの? 絶対に許せない。
「伊藤、いいんだ。おさえてくれ」
「ですが!」
「頼む、黙っていてくれ」
なんで? なんでですか、先輩! いくらなんでも、ここまで言われる筋合いは絶対にないのに。
先輩の態度に怒りと悲しみが混じった気持ちになる。でも、先輩にお願いされた以上、きかないわけにはいかない。
私は歯をかみしめ、黙った。
「すみませんでした、先生」
「はあ……まあ、問題児だから仕方ないか。これ以上は時間の無駄だ。早急に問題を解決するように」
「はい」
先生は去っていった。私は悔しくて涙が出そうになった。
そんな私を先輩は頭を撫でてくれた。
「ありがとな、伊藤。こらえてくれて」
頭を撫でられ、怒りが消えていく。恥ずかしい気持ちを抑え、先輩に気づかれないよう怒ったフリをする。
「……どうしてですか? どうして黙っているんですか? それにあの先生は何なんですか?」
「……前生徒指導主事だった人だ。風紀委員の担任にその座を奪われて、目の敵にしているところはある。少し行き過ぎた態度もあるが、悪い人ではないんだ。気にしないでくれ」
先輩が先生をかばうのって何か意味があるのかな? BL……なわけないよね。
ちょっとせつなそうな顔をしている先輩に、私はなにも言えなくなった。
「それはそうと、伊藤、なんでこんなところにいる?」
「あっ! 忘れてた! 風紀委員室にお弁当を忘れてたんだ!」
ちょっとわざとらしかったかな? でも、本当の事だし。
上目遣いで先輩を見ると、少し呆れたような顔をしている。こ、小言かな?
怒られるのを覚悟したけど……。
「いくか」
「?」
あれ? 怒られないの? 声も穏やかなんですけど……。
私が何も言わないことに、先輩は気にとめず、肩をすくめるだけだった。
「風紀委員室。弁当を忘れたんだろ?」
「一緒に来てくれるんですか?」
「もう暗くなっている。送っていくから早く取りにいくぞ」
先輩が私を家まで送ってくれる? これって夢? 信じられないんですけど。
「伊藤?」
「あっ、はい! いきましょう!」
私はすぐさま、先輩の隣を歩いた。先輩と一緒に歩けることがこんなにうれしいなんて……。
先輩は風紀委員室の前で待ってくれた。お弁当が風紀委員室にちゃんとあるか確認するためについてきたわけじゃないんだ。ちゃんと、私の事が心配でついてきてくれたんだ。
ああ、今日は大安だ。とてもいい日だ。
「あ、あの……先輩」
「なんだ?」
「用事があったんじゃないんですか? 本当に送ってくれるんですか?」
「……いいんだ。もうすんだ」
もしかして、私とあの先生を合わせないように気を配ってくれたのかな? それなら嬉しいな。
またふりかかってきた同性愛の問題があるけど、今はこの幸せをかみしめよう。先輩の隣を歩けるこの幸福がいつまでも続けばいいのに……。
日も暮れて、風が冷たいけど、気持ちはポカポカとあたたかかった。
「……くしゅん」
「風邪ですか、先輩?」
「……なんでもない。伊藤こそ風邪をひくなよ」
このとき、私にはある考えが浮かんだ。それを実行するべきかどうか……。
先輩と距離をつめたい。あの大きな手を……握りたい……握り……たい。
先輩との距離をつめるんだ。
「伊藤?」
「……風邪はひきはじめが肝心なんです。だから、私があたためてあげます」
う、うわ~。勢いつけ過ぎて先輩の腕に抱きついちゃった。先輩の腕、太い。男の人の腕なんだって実感しちゃう。先輩の体温を感じちゃう。
当たり前だけど密着しているから距離が近い。恥ずかしくてうつむいてしまう。ドキドキが先輩に伝わってしまいそうでこわい。
「……歩きにくいんだが」
「この正直者! 後輩の気遣いをそんな一言で片づけないでください!」
先輩のデリカシーのない一言に怒ってみせる。好きな人と腕を組む。あこがれのシチュをやってみたけど、なるほど、歩きにくい。
恋愛初心者の私にはちょっと難易度が高い。
身動きがとりづらいし、歩幅があわせづらい。あわせづらいんだけど、早足になることはなかった。
先輩が私の歩幅にあわせてゆっくり歩いてくれているから。なんだかんだで先輩は私に気遣ってくれている。それが嬉しくてせつなくなる。
今は、私が先輩の腕に抱きついているだけだから独りよがりっぽい。
やっぱり、手をつなぎたかったな……お互いの意志で手はつなぐものだし。でも、先輩の身長高いから、手を握る位置がたかい……。
はあ、恋愛って本当、体験しないと分からないよね。でも、楽しい。あれだけ失恋で苦しんだのに、それでも好きって気持ちがあふれて、幸福感を感じる。
先輩を好きになってよかったって思える。これからも、好きでいたい。そして、両想いになるの。
夜空には月があかるく夜道をてらし、吐く息は白い。寒いけど、こうして好きな人が隣にいるとよりぬくもりを感じることができる。
ときめきとせつなさを感じることができる。寒いって悪いことだけじゃないことを初めて知った。
橘先輩の言葉に、私と先輩は頷く。私と先輩、橘先輩の三人で新聞部の同性愛者の暴露について真相究明する為。
せっかく同性愛の一件が落ち着いてきたのに、また騒がれて問題が起きたらたまったものではない。
獅子王さんも古見君も傷ついた。もうこれ以上、傷ついてほしくない。同性愛だからって苦しんでほしくない。
誰がなぜこんなことをしているのか分からないけど、今度こそ私が護ってみせる。
「新聞部の記事はおさえることができたけど、問題は解決していない。新聞部に馬淵先輩達の情報をタレコミした人物がいる。その人物から新聞部宛てにメールが送られてきて、内容は馬淵先輩達のことだった。ここまではいい?」
私と先輩は頷く。
「問題なのは、このタレコミをした人物は何者なのか? 目的は何なのか? タレコミの情報は正しいのか? これらを僕らで調査して解決する。僕はタレコミの人物を突き止める。正道たちはタレコミの情報が正しいのかどうか調査してくれる?」
「分かった」
「あ、あの……昨日、私が言った推測については……」
私はおずおずと口をはさむ。
馬淵先輩達が同性愛者でないことを確信している。だから、信じてほしい。
でも、橘先輩はため息をつき、肩をすくめている。
「その件なんだけどね、伊藤さんの推測が正しくても正しくなくてもややこしいことになりそうなんだ」
どういうこと?
馬淵先輩が同性愛者でなかった場合は、あきらかに私を騙すために近づいてきたことになるけど、同性愛者なら私の事を頼ってきてくれたことになる。
その場合って問題なの?
「私の考えが間違っていて、馬淵先輩達が同性愛者なら、この学園には同性愛者が百人以上いることになります。でも、それって問題なんでしょうか? 私はやっぱり、同性であっても真剣な恋は認められるべきだと思うんですけど……」
「伊藤、勘違いしているぞ。左近が問題視しているのは、なぜ伊藤に嘘をついてまで近づいたのかってことだ」
「? どういうことですか?」
もし、馬淵先輩が同性愛者で私に助けを求めてきた場合は問題にならないと思うんだけど……んん?
自分で言っておいて何かが引っかかる。何に対して引っかかっているの? 何か矛盾があるような?
矛盾? それは……。
「あっ! 理由!」
「そうだ。もし、馬淵先輩が同性愛者で、自分達が同性愛者だとバラされたくないという理由で伊藤に近寄ってきた場合、矛盾がうまれる。同性愛者である事実を、左近は掴んでいなかったからだ。つまり、馬淵先輩が同性愛者だったとしても、伊藤に嘘をついていることになる。何か思惑があると思っていいだろう」
だよね。馬淵先輩が私をだまそうとしていた。それが少し悲しい。
スターフィッシュはどうなるの? 知らなかったとはいえ、宣伝しまくって、予測ランキング第一位までのぼりつめたのに。
みんなの笑顔が、フレンドリーな態度が嘘だったって結構キツい。
「馬淵先輩の思惑と同性愛者かどうか、この二点を調べる。もし、伊藤に危害を加える気なら未然に防ぐ。これでいいか?」
「いいんじゃない。正道がメインで伊藤さんがサポート。これでいこうか」
「ちょっと待ってください! 今回は私がメインをさせてもらえませんか?」
うわ~先輩、睨んでるよ。橘先輩は戸惑っているし。
でも、今回は譲れない。譲りたくない。
「ダメだ。今回は伊藤が狙われている可能性が高いんだ。危険がある以上、俺がメインになって対応する。これ以上、伊藤に傷ついてほしくないんだ。分かってくれ」
思わず感激して頷いてしまいそうになる。でも、この案には致命的な欠陥がある。それは……。
「だからって先輩が傷ついていい理由にはなりませんよ。私だって先輩に傷ついてほしくないんです。それに、気になることがあるんです」
「伊藤さん、心当たりがあるの?」
橘先輩の問いに、私は頷く。
「心当たりはあるんですが、すみません。まだ確認をとっていないので言えません。でも、私の考えが正しかったら、逃げちゃいけないって思うんです。ちゃんと向き合いたいんです。お願いします!」
私は先輩達に深く頭を下げた。
心配してくれている先輩達には悪いと思っている。迷惑ばかりかけていると自覚している。それでも、譲りたくない。
私の考えが正しかったら、きっとこれは私がとるべき責任。その責任から今度こそ逃げたくない、向き合いたい。
先輩の視線から目をそらさずに見つめ合う。
先に目をそらしたのは先輩だった。
「はあ……分かった。だが、危険だと感じたらすぐに交代するからな」
「あ、ありがとうございます!」
「……正道がいいんならそれでいいけど、しっかりと見張ってね」
見張りって人聞きが悪い。橘先輩、私の事、問題児って思っていない?
私は自分の胸に手を当て、心当たりを考えてみる。
三股騒動に各部のBLを黙っていた事、橘先輩に逆らって獅子王さん達を応援した事……。
あははっ、立派な問題児だよね、私。どこで道を間違えたんだろう?
とりあえず打ち合わせが終わり、今日は解散。橘先輩は仕事があるからと言われ、先輩と一緒に帰ることになった。
久しぶりに先輩の隣を歩いている。でも、会話がない。気まずい。
下校時刻が近いからか、廊下には誰もいない。話したいのに、言葉が出てこない。
気恥ずかしい……ってだけじゃないんだよね。本当に気まずい。
よくよく考えると、先輩を差し置いて後輩の私がメインで調査したいって、あつかましいよね。先輩の面子をつぶしちゃったよね。
ああっ、自分の気持ちを優先させて人に迷惑をかける癖、全然治っていない。どこまでバカなの、私は。
そう思いつつ、先輩の隣を歩いているこの幸福感……何かむずがゆい。
先輩はどう思っているのかな? うれしいと思ってくれているのかな? それとも迷惑だと思っているの? 知りたい……。
「伊藤、ちょっと用事が出来た。先に帰ってくれ」
迷惑だと思っていたみたい……ううっ、泣きたい。知りたくなかった。
私は無理やり笑顔を作った。
「は、はい。お疲れ様でした」
廊下の角を曲がり、先輩の姿が見えなくなったら、笑顔は泣き顔に変わる。
はあ……嫌われているのかな、私。死にたい……。
もう、今日は最悪。帰ってママのご飯が食べたい……。
下駄箱で靴を履きかえようとしたとき、ふと何か忘れているような感じがした。
何か違和感が……って違和感ばかり感じてるよね、私。名探偵になれるかも……なんてね。
リュックが軽いような気がする。いつもはもっと重いような気がするのに……なんで?
リュックの中身を確認してみると……ない。お弁当箱がない。どうして?
今日のお昼を思い出す。今日のお昼は先輩のお説教をうけていて、お弁当は風紀委員室食べたから……ってああっ! お弁当箱、風紀委員室に忘れた!
本当に今日は厄日。面倒だけど、持って帰らないとママ怒るから。
私はため息をつきながら、元来た道を戻る。
誰もいない校舎って静かで不気味。そう思うと、意味もなく怖くなってきた。早く取りにいかなきゃ。
廊下を歩いていると、先輩の姿が見えた。でも、先輩だけじゃなかった。背広姿の男の人がいる。先生かな?
ちょっと気になって二人に近づいてみる。盗み聞きするのは悪いことだって分かるけど、好奇心に勝てない。どんなことを話しているのかな?
罪悪感とドキドキ感がいりまじり、近づいてみると声が聞こえた。
「……困るんだよ、藤堂君」
「申し訳ありません」
先輩が先生に謝っている? どういうこと? 先輩が先生に何か迷惑をかけたの?
先輩って一応優等生だから、教師に怒られる姿はめずらしい。でも、なんで怒られているの?
し、知りたい……弱みをにぎり……じゃない、好きな人の事はなんでも知りたい。そう、知りたいの。やましいことは何もないはず……。
「早く何とかしたまえ。ただでさえ獅子王財閥とひと悶着があってBL学園の存続が危ぶまれているこの時期に、新たな火種が発生するのは本当に困る。キミ達だよ、同性愛の問題は風紀委員で対応すると言ったのは。ハーレム騒動を解決したからって少し調子に乗ってないか? 言葉にしたんだから結果を残してくれないと」
「申し訳ありません」
な、何なの、あの先生は……。
先生と先輩のやりとりは、私が想像をはるかにこえたものだった。
改めて事の重大さが分かってしまう。獅子王財閥は日本屈指の財閥だ。たかだ田舎の高校一つ、つぶすのは赤子の手をひねるようなもの。
私が強姦されそうになったとき、獅子王さんは古見君を人質に捕られ、不良達に大けがをさせられた。しかも、獅子王さんとひなた君の事もバレた。
そのことで、獅子王財閥と学園がもめてしまった。もう解決済みだと思っていたけど、そうではなかったわけね。
橘先輩と先輩が早期に解決したがっていた理由が分かった。分かったんだけど、納得いかないことがある。
あの先生、ちょっと先輩に嫌味を言い過ぎじゃない?
いくら風紀委員が対応すると言ったからって、あそこまで言うことないじゃない。ふつふつと怒りがわいてくる。
男のくせにグチグチと先輩をせめて……許せない。
「うおっほん!」
私は堂々と二人の前に出た。先輩と先生は驚いた顔をしている。私はわざとらしく先輩に声をかける。
「先輩。もう用事は済みました?」
「……いや、まだだ。早く帰れ」
な、なんですと? なんで?
せっかく私が先生の嫌味なお話を切り上げるために会話に割り込んだのに。なんでナイスフォローを台無しにするの?
先輩ってここまで空気が読めなかったの? ありえないつーの!
「キミは誰だね? 今は大切な話をしている。さっさと……ん? キミは?」
先生がまじまじと私の顔を見つめてくる。そのぶっしつけな視線に一歩下がった。
先輩が私と先生の間に割り込んでくる。も、もしかして、私をかばってくれているとか?
まさかね。私、先生に睨まれるようなことしてないし。
「思いだした……キミは伊藤ほのかか?」
「そうですけど」
なんで名前を知られているの? 私、この先生の授業を受けたことがないんだけど、どこかで見たような……。
「先生。伊藤は今、関係ありません。話を逸らさないでください」
「話を逸らす? 元凶じゃないか、彼女は。全く、キミには言いたいことが山ほどある」
あ、あっれ~。私、地雷を踏んだ? でも、なんで?
悩んでいると、先生が私に文句を言ってきた。
「キミのせいで我が学園がどれだけ迷惑を受けたのか理解できているのか? 同性愛などと異常なものを支援するから問題が起こるんだ。強姦されそうになるのは勝手だが、我が校に迷惑をかけるのはやめてくれたまえ」
は、はあ~? なんでそんなことを言われなきゃいけないの?
先生の視線が私の頭のてっぺんからつま先までじろっと睨んでくる。
その視線がねっとりとしたねばついたもののように感じて、鳥肌が立った。
いやらしい目つきじゃない。忌々しい目つき。
「風紀委員のくせに短いスカートはいて、男受けしそうな格好をして恥ずかしくないのか? もっと学生らしく慎みを持ちなさい。だから、バカな男に襲われるんだ。キミにも問題があることを自覚しろ!」
ぶ、ブチギレしそうなんですけど。男受けしそうな格好? 別に普通でしょ?
私くらいのスカートの短さなんて他の女の子もしているし、シャツも二つしかボタンをはずしていないし、セーターを着こなしているだけなのに。
私は別に男の子を誘惑しているわけじゃない。ただのファッションとしてこの格好をしているだけ。
可愛く見せたいだけなのに、苦情を言われたくない。
「先生、それは少し言い過ぎではありませんか? 強姦されそうになるのは勝手というのは問題発言です。撤回してください。それに格好も風紀委員としては少し不謹慎ですが、目くじらを立てるほどではないかと」
せ、先輩が私の格好をかばってくれた? ちょっとレアだけど感激しちゃう。いつもは注意してくるのに。
「そういった甘やかしが彼女を調子にのらせることをなぜ分からないんだ、藤堂? キミがそんなだらしない生徒とは思わなかった。それとも、その女に籠絡されたのか?」
「……撤回してください」
我慢の限界だった。
私の事で注意されるのは慣れているし、ある程度我慢できる。でも、先輩の暴言をこれ以上言われたくない。
先輩は真面目で融通が利かない。その頑固さは同じ風紀委員の私や橘先輩だって呆れることがある。
でも、それは一生懸命頑張っている証拠。なのに、先輩の事をよく知らない人が先輩の悪口を言うのは許せない。
この先生は一体何なの? 何の権限があってここまで生徒に暴言を吐くの? 絶対に許せない。
「伊藤、いいんだ。おさえてくれ」
「ですが!」
「頼む、黙っていてくれ」
なんで? なんでですか、先輩! いくらなんでも、ここまで言われる筋合いは絶対にないのに。
先輩の態度に怒りと悲しみが混じった気持ちになる。でも、先輩にお願いされた以上、きかないわけにはいかない。
私は歯をかみしめ、黙った。
「すみませんでした、先生」
「はあ……まあ、問題児だから仕方ないか。これ以上は時間の無駄だ。早急に問題を解決するように」
「はい」
先生は去っていった。私は悔しくて涙が出そうになった。
そんな私を先輩は頭を撫でてくれた。
「ありがとな、伊藤。こらえてくれて」
頭を撫でられ、怒りが消えていく。恥ずかしい気持ちを抑え、先輩に気づかれないよう怒ったフリをする。
「……どうしてですか? どうして黙っているんですか? それにあの先生は何なんですか?」
「……前生徒指導主事だった人だ。風紀委員の担任にその座を奪われて、目の敵にしているところはある。少し行き過ぎた態度もあるが、悪い人ではないんだ。気にしないでくれ」
先輩が先生をかばうのって何か意味があるのかな? BL……なわけないよね。
ちょっとせつなそうな顔をしている先輩に、私はなにも言えなくなった。
「それはそうと、伊藤、なんでこんなところにいる?」
「あっ! 忘れてた! 風紀委員室にお弁当を忘れてたんだ!」
ちょっとわざとらしかったかな? でも、本当の事だし。
上目遣いで先輩を見ると、少し呆れたような顔をしている。こ、小言かな?
怒られるのを覚悟したけど……。
「いくか」
「?」
あれ? 怒られないの? 声も穏やかなんですけど……。
私が何も言わないことに、先輩は気にとめず、肩をすくめるだけだった。
「風紀委員室。弁当を忘れたんだろ?」
「一緒に来てくれるんですか?」
「もう暗くなっている。送っていくから早く取りにいくぞ」
先輩が私を家まで送ってくれる? これって夢? 信じられないんですけど。
「伊藤?」
「あっ、はい! いきましょう!」
私はすぐさま、先輩の隣を歩いた。先輩と一緒に歩けることがこんなにうれしいなんて……。
先輩は風紀委員室の前で待ってくれた。お弁当が風紀委員室にちゃんとあるか確認するためについてきたわけじゃないんだ。ちゃんと、私の事が心配でついてきてくれたんだ。
ああ、今日は大安だ。とてもいい日だ。
「あ、あの……先輩」
「なんだ?」
「用事があったんじゃないんですか? 本当に送ってくれるんですか?」
「……いいんだ。もうすんだ」
もしかして、私とあの先生を合わせないように気を配ってくれたのかな? それなら嬉しいな。
またふりかかってきた同性愛の問題があるけど、今はこの幸せをかみしめよう。先輩の隣を歩けるこの幸福がいつまでも続けばいいのに……。
日も暮れて、風が冷たいけど、気持ちはポカポカとあたたかかった。
「……くしゅん」
「風邪ですか、先輩?」
「……なんでもない。伊藤こそ風邪をひくなよ」
このとき、私にはある考えが浮かんだ。それを実行するべきかどうか……。
先輩と距離をつめたい。あの大きな手を……握りたい……握り……たい。
先輩との距離をつめるんだ。
「伊藤?」
「……風邪はひきはじめが肝心なんです。だから、私があたためてあげます」
う、うわ~。勢いつけ過ぎて先輩の腕に抱きついちゃった。先輩の腕、太い。男の人の腕なんだって実感しちゃう。先輩の体温を感じちゃう。
当たり前だけど密着しているから距離が近い。恥ずかしくてうつむいてしまう。ドキドキが先輩に伝わってしまいそうでこわい。
「……歩きにくいんだが」
「この正直者! 後輩の気遣いをそんな一言で片づけないでください!」
先輩のデリカシーのない一言に怒ってみせる。好きな人と腕を組む。あこがれのシチュをやってみたけど、なるほど、歩きにくい。
恋愛初心者の私にはちょっと難易度が高い。
身動きがとりづらいし、歩幅があわせづらい。あわせづらいんだけど、早足になることはなかった。
先輩が私の歩幅にあわせてゆっくり歩いてくれているから。なんだかんだで先輩は私に気遣ってくれている。それが嬉しくてせつなくなる。
今は、私が先輩の腕に抱きついているだけだから独りよがりっぽい。
やっぱり、手をつなぎたかったな……お互いの意志で手はつなぐものだし。でも、先輩の身長高いから、手を握る位置がたかい……。
はあ、恋愛って本当、体験しないと分からないよね。でも、楽しい。あれだけ失恋で苦しんだのに、それでも好きって気持ちがあふれて、幸福感を感じる。
先輩を好きになってよかったって思える。これからも、好きでいたい。そして、両想いになるの。
夜空には月があかるく夜道をてらし、吐く息は白い。寒いけど、こうして好きな人が隣にいるとよりぬくもりを感じることができる。
ときめきとせつなさを感じることができる。寒いって悪いことだけじゃないことを初めて知った。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる