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女を黙らせるにはこうするんだろ? 前編 朝乃宮千春SIDE
2/7 その一
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「千春? 千春!」
「……えっ」
咲の声にウチは我に返った。
ウチは今、咲と一緒に学校……やなくて、青島中央神社にいる。
その理由は、咲の一言が始まりやった。
「今日のラッキーアイテムを手に入れるため、青島中央神社に行きます!」
はぁ……。
吐く息が白い……寒い……雲が空を覆ってるから、余計に寒く感じる……。
ウチの心はブルーやった。
それはこの寒空、遠回りして学校に行くことになった事ではなく……。
「千春……どうかしたんですか? 何か心配事ですか?」
「咲……ウチな……今、もの凄く悩んでるんねん」
ウチはため息をついた。
「な、悩み? デジャブを感じるんですけど……桜花ちゃんのことですよね?」
「ウチ……」
「ご、ごくり……」
「藤堂はんからキスして欲しいねん」
「のほぉおおおおおおおおおおお!」
なんやの、咲。奇声上げるとか。
この子の将来が心配やわ。
今日も藤堂はんが元気よくチャリで桜花ちゃんを保育園まで送迎してる。なんや、悩みがあったみたいやけど、自己解決したみたい。
「も、もしかして、また幼稚園児に……」
「そのまさかや! あのお子様! 五歳児でき、キスが当たり前とか、ありえへん!」
今、思い出しただけでもめっちゃ腹立つ!
昨日は……千載一遇のチャンスやったけど、失敗したし……。
もぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「……幼稚園児に嫉妬する高校生女子の方がありえないと思いますけど……」
ウチはオホンと咳をして、咲を真っ直ぐと見つめる。
「そういうわけで咲、頼みます」
「……どういうわけかさっぱり分からないんですけど、一応確認します。何をですか?」
何をって?
そんなん……。
「藤堂はんがウチに……」
「無理! 絶対に無理! あの真面目と堅物が服を着た兄さんが女性にキスとか! 天地かひっくり返っても無理ですから!」
「咲、天地がひっくり返ることなんてありえませんから」
はぁ……咲の将来が心配やわ……。
「知ってます! たとえですから! そんなバカな子を見る目で見ないでください!」
「咲~お願いや~。ウチ、咲しか頼れないんです~。これがうまくいったら、咲が欲しがってた……」
「いえ、私が千春に望んでいることは、動画の……」
「咲! ウチに死ねって言うん!」
「そこまで嫌なの!」
もし、藤堂はんにバレたら……ウチ、恥ずかしくて死ねる……相棒解消されるかもしれへん。
絶対に無理!
「咲~」
「……」
「さきぃ~~」
「……」
「さきぃ~~~~~~~」
「……」
「なあ、あれ? 生徒会副会長じゃねえ?」
「だよな! しかも、キスとか言ってなかったか?」
気づくと、二人の男がこっちを見ている。あの制服は、青島校の生徒。
ウチはよそ行きの顔にスイッチする。
「おはようございます」
「「おはようございまっす!」」
元気な子達や。嫌いやない。
まあ、藤堂はんには負けるけど!
「なにを得意げな顔になってるんすか……」
咲にツッコまれるも、ウチの鉄仮面が剥がれることはない。
背景に花を咲かせるのも忘れない。
「あ、あの! 一緒に登校してもいいですか!」
「お、おい! マジかよ! マジかよ! アッキー! マジで誘っちゃうの!」
ウチと一緒に登校?
そんなの……。
「別にええですよ」
「「よっしゃぁあああああああああああああああああああああ!」」
二人の男子生徒はガッツポーズをとって大喜びしている。
ウチは頭の中で二人の男の子と一緒に登校するメリット、デメリットを即座に分析し、今後の行動を熟慮する。
ウチの人気取りのため……藤堂はんを護るため……。
こういった積み重ねが後々、裏工作するのに役立つ。そうやって、ウチは咲を護ってきた。
これからも、ウチは自分の境界線の内側にいる大事な人たちを護る。
「そういや、アッキー。なんかヤバい話しがあるって言ってなかったか?」
「生徒会副会長と一緒に登校する方がヤバいだろ!」
「ヤバい話し?」
ウチは会話のネタとして聞き返す。
「そうなんです! 聞きたいですか!」
「是非。けど、ここで立ち話ししていたら遅刻してしまいますし、歩きながらでもいいです?」
「勿論! あっ! 実はもっとヤバい話しがあるんですよ! 実は成翔が複数の女子生徒に手を出して……」
ウチはにこやかに男子生徒と会話しながら、学校へ向かった。
ーTo Be Continuedー
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
『Beyond the soul 最強に挑む者たち』の投稿を再開するため、一度掲載は中断致します。
よいお年を!
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「……えっ」
咲の声にウチは我に返った。
ウチは今、咲と一緒に学校……やなくて、青島中央神社にいる。
その理由は、咲の一言が始まりやった。
「今日のラッキーアイテムを手に入れるため、青島中央神社に行きます!」
はぁ……。
吐く息が白い……寒い……雲が空を覆ってるから、余計に寒く感じる……。
ウチの心はブルーやった。
それはこの寒空、遠回りして学校に行くことになった事ではなく……。
「千春……どうかしたんですか? 何か心配事ですか?」
「咲……ウチな……今、もの凄く悩んでるんねん」
ウチはため息をついた。
「な、悩み? デジャブを感じるんですけど……桜花ちゃんのことですよね?」
「ウチ……」
「ご、ごくり……」
「藤堂はんからキスして欲しいねん」
「のほぉおおおおおおおおおおお!」
なんやの、咲。奇声上げるとか。
この子の将来が心配やわ。
今日も藤堂はんが元気よくチャリで桜花ちゃんを保育園まで送迎してる。なんや、悩みがあったみたいやけど、自己解決したみたい。
「も、もしかして、また幼稚園児に……」
「そのまさかや! あのお子様! 五歳児でき、キスが当たり前とか、ありえへん!」
今、思い出しただけでもめっちゃ腹立つ!
昨日は……千載一遇のチャンスやったけど、失敗したし……。
もぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「……幼稚園児に嫉妬する高校生女子の方がありえないと思いますけど……」
ウチはオホンと咳をして、咲を真っ直ぐと見つめる。
「そういうわけで咲、頼みます」
「……どういうわけかさっぱり分からないんですけど、一応確認します。何をですか?」
何をって?
そんなん……。
「藤堂はんがウチに……」
「無理! 絶対に無理! あの真面目と堅物が服を着た兄さんが女性にキスとか! 天地かひっくり返っても無理ですから!」
「咲、天地がひっくり返ることなんてありえませんから」
はぁ……咲の将来が心配やわ……。
「知ってます! たとえですから! そんなバカな子を見る目で見ないでください!」
「咲~お願いや~。ウチ、咲しか頼れないんです~。これがうまくいったら、咲が欲しがってた……」
「いえ、私が千春に望んでいることは、動画の……」
「咲! ウチに死ねって言うん!」
「そこまで嫌なの!」
もし、藤堂はんにバレたら……ウチ、恥ずかしくて死ねる……相棒解消されるかもしれへん。
絶対に無理!
「咲~」
「……」
「さきぃ~~」
「……」
「さきぃ~~~~~~~」
「……」
「なあ、あれ? 生徒会副会長じゃねえ?」
「だよな! しかも、キスとか言ってなかったか?」
気づくと、二人の男がこっちを見ている。あの制服は、青島校の生徒。
ウチはよそ行きの顔にスイッチする。
「おはようございます」
「「おはようございまっす!」」
元気な子達や。嫌いやない。
まあ、藤堂はんには負けるけど!
「なにを得意げな顔になってるんすか……」
咲にツッコまれるも、ウチの鉄仮面が剥がれることはない。
背景に花を咲かせるのも忘れない。
「あ、あの! 一緒に登校してもいいですか!」
「お、おい! マジかよ! マジかよ! アッキー! マジで誘っちゃうの!」
ウチと一緒に登校?
そんなの……。
「別にええですよ」
「「よっしゃぁあああああああああああああああああああああ!」」
二人の男子生徒はガッツポーズをとって大喜びしている。
ウチは頭の中で二人の男の子と一緒に登校するメリット、デメリットを即座に分析し、今後の行動を熟慮する。
ウチの人気取りのため……藤堂はんを護るため……。
こういった積み重ねが後々、裏工作するのに役立つ。そうやって、ウチは咲を護ってきた。
これからも、ウチは自分の境界線の内側にいる大事な人たちを護る。
「そういや、アッキー。なんかヤバい話しがあるって言ってなかったか?」
「生徒会副会長と一緒に登校する方がヤバいだろ!」
「ヤバい話し?」
ウチは会話のネタとして聞き返す。
「そうなんです! 聞きたいですか!」
「是非。けど、ここで立ち話ししていたら遅刻してしまいますし、歩きながらでもいいです?」
「勿論! あっ! 実はもっとヤバい話しがあるんですよ! 実は成翔が複数の女子生徒に手を出して……」
ウチはにこやかに男子生徒と会話しながら、学校へ向かった。
ーTo Be Continuedー
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よいお年を!
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