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女を黙らせるにはこうするんだろ? 前編 朝乃宮千春SIDE
2/7 その二
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「それではお願いします」
「はい、任せてください、朝乃宮姫。朝乃宮家には多大な『寄付金』をいただいております。これくらいのこと、造作もないことです」
ウチは咲と男子二人と登校後、すぐに校長室へ向かい、『子』を通じて頼んでいたことの経由を聞き出していた。
三小、秋脇、清洲は退学処分。
成翔はクビ。
それだけやない。
秋脇は今までに用意した証拠で強姦罪として警察に逮捕させ、それを理由にして、おととい付けで退学処分。彼の両親は海外転勤で青島から消えてもらう。
成翔は女子生徒に手を出した淫行教師として朝乃宮家の子飼いのマスコミにリーク、大々的に報道させ、社会的にも抹消。
清洲はんの融資は打ち切り。どうなるかは分からへんけど、多分倒産。
三小はんも今までに犯した軽犯罪で少し警察でお灸を据えてもらう。ウチの事を訴えるやろうけど、無駄。手は打ってある。
彼女の両親も海外赴任でもう日本にはいられへんようにした。
これでおしまい。
朝乃宮家にたてついて、この程度で済んだのは僥倖や。『子』が処理したからで、もし本家が関わったら、もっと酷いことになった。
見せしめで死人が出ていてもおかしくない事態になっとった。
ほんま、朝乃宮家ってヤクザや追い出し屋よりも卑劣で外道。
その血を引いているウチもド外道。
それを自覚していても、ウチは止められへん……。
なあ、藤堂はん……ウチの事、相棒って言ってたけど……ほんまにええの?
そう尋ねたかったけど、出来へんかった……嫌われるのが怖いから……。
決心したのに……現実に戻されると否応なく自覚させられる。
骨の髄まで朝乃宮に染まっていることを。
「それでは失礼します」
「御館様に是非、よろしくお願いします。それと御館様にお伝えください。青島の都市開発計画は順調だと」
「……はい」
ウチは黙ったまま会釈し、校長室を出た。
ふぅっとため息をつき、次の目的地へ移動する。
この時期の廊下はとても冷える。はよう、暖かい場所へ行きたい。
青島高校の校長は、世間では知られてへんけど、朝乃宮家の息のかかったモノが就任する。
その理由は不明。それを調べるのは御館様が禁じてるから。
夏しか観光地として機能しない、知名度の低い青島。それを朝乃宮家はかなり重宝している。
一隕石が落ちたことはあったらしいけど、それが何?
まあ、余計な事をして、御館様のご機嫌を損ねるのは下手したら命に関わるし、考えるのはやめとこ。
ウチは目的地につき、そのドアをノックして入る。
「おはようございます」
「……おはよう」
風紀委員室には不機嫌そうな顔をした橘はんがいた。
原因は……。
「朝乃宮さんも驚いたよな! テレビ! テレビが来てるし!」
そう、この田舎の高校、青島にテレビ局が来ていること。
それが橘はんが怒っている原因。
「須藤はん、おはようございます。確かにテレビ局が来るやなんて、驚きですね」
「しらばっくれないでよ、朝乃宮。キミの差し金でしょ?」
ウチがこの茶番を橘はんに黙って用意したことが気にくわなくて怒っている。
「えっ? どういうことなん?」
風紀委員室には須藤はんだけやなくて、長尾はんもいた。
それに……。
「……」
御堂はんが椅子に座ったまま、ウチを睨み付けてくる。
ウチはその視線をさらっと流し、笑顔で挨拶するけど、無視された。ほんま、ガキか。
「お姉様、流石に無視するのは……おはようございます、朝乃宮先輩」
「おはようございます、黒井さん」
全く、失礼な姉を持つと苦労しますな、黒井はん。余計なお世話と言われるのは分かってるので黙っておくことにした。
「そ、それよりさ、スルーできないワードが出てきたんだけど……朝乃宮さん……」
「須藤はん、その説明はあと一人、藤堂はんが来てからでもええです? もう少しで来ますので」
「あ、ああ、いいけど……」
どうせなら、まとめて話した方が二度手間にならずに済む。
校門の前にいるテレビ局のスタッフはカメラマンや音響全てウチが用意したスタッフ。
そのスタッフに登校中の生徒へ、あるインタビューをしてもらうのが目的。
たった、一つの質問をぶつけるだけ。
青島高校に在職している成翔先生は女子生徒に手を出したとは本当ですか?
この質問だけで、青島高校の全生徒は知ることになる。
成翔先生の不祥事を。
これで青島だけでなく、全国ネットで成翔の罪が明るみになり、社会的にも教師として抹殺される。
再就職は難しいやろうな。
これで一時間目は全校朝礼になり、保護者会も行われることになる。
学校のイメージダウンにもなるやろうけど、迷惑料はふんだんに払っているし、教師全員ボーナス三倍アップにもなるので目をつぶってもらえるやろ。
ほんま、朝乃宮って人を陥れることにどれだけカネ使うんやろな。自分たちの見栄と権力を見せびらかす為に。
最低や……そんな血が流れて、染まっているウチも……最低や……。
「おい、朝乃宮。なんで藤堂が学校に来ていない事が分かるんだ?」
流石は御堂はん。藤堂はんの事になると勘が鋭い。
がさつやのに、顔立ちは綺麗で恋する乙女並みに女の勘が鋭い。厄介やわ。
「それって、この場にいないからじゃないの?」
長尾はんがもっともらしい理由を言ってくれる。
けど……。
「もう少しで来る、なんてどうして分かる? もう来てて、すぐに来るかもしれねえだろ? それなのに、もう少しと言い切った。まるで分かってるみたいじゃねえか」
そう、凡ミス。
まあ、どうとでも言い訳出来るんやけど。
「分かっていたら、何か問題でも?」
「なんだと?」
「御堂はんは別に藤堂はんの恋人でも何でもありませんし、教える義理もありません」
「……この野郎」
ウチと御堂はんは真正面からにらみ合う。
きっと、ガチで対立する日は近い。同じ男を愛した女同士は修羅場にしかならんわな。
ハーレムとかありえへん。
「えっ? えっ? どういうこと?」
「これって……まさか……女の戦い? いや、ただ、朝乃宮さんがからかっているだけか」
「はぁ……」
長尾はんと須藤はんは戸惑い、黒井はんはため息をついてる。橘はんは頭を抱えていた。
結構、複雑な関係になってもうたな。ウチ、正直風紀委員なんて咲の事がなければ、どうでもええし、関わり合いたくもなかったんやけど、そうもいかんくなった。
だって……。
「おっ! 正道が来たぞ!」
ウチは御堂はんから目をそらし、窓の外を見る。
確かに藤堂はんや……ってか、もう少し、電動ママチャリを隠す努力をしてほしいわ。
怪しまれるやん。いや、別に怪しまれてもええ……かな?
それはそれで、外堀が埋められるし。
「正道、どうするんだろうな?」
「空気読めずに突っ込んでいくか?」
それは流石にない。
あんなテレビカメラがある連中に近寄る人種は、好奇心が強い子だけ。大抵は関わりたくなくて裏門から入ってくるはず。
裏門にはテレビ局が来ないよう指示してる。校長からの要望があったから。
ウチも全生徒に迷惑をかけるつもりはない。抜け道は用意した。
好奇心の強い子は少数やけど、それで問題ない。テレビ局の取材という格好のネタ、話さずにはいられへんやろ。
それで学校中に広まる。関わりたくなくても、何事かは知りたいはず。
学校はおもろいネタに飢えているとこあるし、たとえ、広まらなくても、朝礼で広めればええだけ。
何の問題も……。
「突っ込んでくるぞ!」
「流石は特攻隊長! そこに痺れる! 憧れる!」
なんやて!
藤堂はんは、堂々と正門に向かってる。ほんま、少しは空気読めや!
電動ママチャリのチャイルドシートつけてたら、テレビ局の取材陣も気になって質問しちゃうかもしれへんのに!
全国ネットでバラす気なん!
ウチは速攻、LINEで裏門に入るようメッセージを送る。
藤堂はんはメッセージを見ると、大げさに周りを見渡す。
ふふっ、あの慌てよう、おもろいわ。咲もこんな風にウチの事を見て、笑って……。
ぴろ~~ん♪
「……」
ピッ!
『私はアナタのことをいつも見ている。千里眼でWWW』
こわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ただのストーカーやああああああああああああああああああああああああああん!
笑えへんで、さきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
えっ? スマホなん?
これになんや盗聴アプリでも入ってるの! 朝乃宮のセキュリティは情報を特に重視しているから国家並みやのにどうやって突破してるん!
「……大丈夫か、朝乃宮?」
「……なんでもありません」
「顔が真っ青だぞ?」
御堂はんにツッこまれるけど、ウチは頭の中で素数を数え、平静を保つ。
ほんま、怖い! ウチの妹、ほんま、人外になってるし!
「何かあったら言えよ」
「……敵対しているウチのこと、どうして助けてくれはるんです?」
「別に……」
御堂はんのそういうとこ、好きやわ。ウチとは真逆。
見返りや打算を考えず、ただ、困っているからという理由で助ける。
それやから、このお人の周りには人が集まる。仁のお人。
ウチは朝乃宮のブランドがあるから、人がよってくる。その利権やカネに惹かれて。
だから、ウチの人望でもなんでもない。
それでも、藤堂はんはウチを選んでくれるんやろか? 御堂はんを選ぶ選択肢はありえるんやろうか?
馬鹿馬鹿しい……。
ウチらしくない。欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる。それが朝乃宮。
ウチが、ウチだけが藤堂はんを護れる。
それを証明する。秋脇を利用して。
もうすぐ、藤堂はんがここに来る。そのとき、ハッキリと証明したる。
待っててな、藤堂はん。朝乃宮の力、見せたる。
計画に抜かりはない。といっても、もう根回しも準備も終え、手遅れの状態になってるし。
秋脇をおとつい退学させ、過去の悪行から刑事告発する準備も終え、警察に捕まるのも時間の問題。
入院が終われば、即逮捕、少年院送り決定。
藤堂はんが犯罪者にならへんよう、口止めもしてる。
余計な事されへんよう、秋脇の父親を海外に転勤させた。
何の問題もなく、つつがなくウチの計画は遂行され、終わる。
そう思ってたのに……そう思ってたのに……あの男は……あの男は!
「はい、任せてください、朝乃宮姫。朝乃宮家には多大な『寄付金』をいただいております。これくらいのこと、造作もないことです」
ウチは咲と男子二人と登校後、すぐに校長室へ向かい、『子』を通じて頼んでいたことの経由を聞き出していた。
三小、秋脇、清洲は退学処分。
成翔はクビ。
それだけやない。
秋脇は今までに用意した証拠で強姦罪として警察に逮捕させ、それを理由にして、おととい付けで退学処分。彼の両親は海外転勤で青島から消えてもらう。
成翔は女子生徒に手を出した淫行教師として朝乃宮家の子飼いのマスコミにリーク、大々的に報道させ、社会的にも抹消。
清洲はんの融資は打ち切り。どうなるかは分からへんけど、多分倒産。
三小はんも今までに犯した軽犯罪で少し警察でお灸を据えてもらう。ウチの事を訴えるやろうけど、無駄。手は打ってある。
彼女の両親も海外赴任でもう日本にはいられへんようにした。
これでおしまい。
朝乃宮家にたてついて、この程度で済んだのは僥倖や。『子』が処理したからで、もし本家が関わったら、もっと酷いことになった。
見せしめで死人が出ていてもおかしくない事態になっとった。
ほんま、朝乃宮家ってヤクザや追い出し屋よりも卑劣で外道。
その血を引いているウチもド外道。
それを自覚していても、ウチは止められへん……。
なあ、藤堂はん……ウチの事、相棒って言ってたけど……ほんまにええの?
そう尋ねたかったけど、出来へんかった……嫌われるのが怖いから……。
決心したのに……現実に戻されると否応なく自覚させられる。
骨の髄まで朝乃宮に染まっていることを。
「それでは失礼します」
「御館様に是非、よろしくお願いします。それと御館様にお伝えください。青島の都市開発計画は順調だと」
「……はい」
ウチは黙ったまま会釈し、校長室を出た。
ふぅっとため息をつき、次の目的地へ移動する。
この時期の廊下はとても冷える。はよう、暖かい場所へ行きたい。
青島高校の校長は、世間では知られてへんけど、朝乃宮家の息のかかったモノが就任する。
その理由は不明。それを調べるのは御館様が禁じてるから。
夏しか観光地として機能しない、知名度の低い青島。それを朝乃宮家はかなり重宝している。
一隕石が落ちたことはあったらしいけど、それが何?
まあ、余計な事をして、御館様のご機嫌を損ねるのは下手したら命に関わるし、考えるのはやめとこ。
ウチは目的地につき、そのドアをノックして入る。
「おはようございます」
「……おはよう」
風紀委員室には不機嫌そうな顔をした橘はんがいた。
原因は……。
「朝乃宮さんも驚いたよな! テレビ! テレビが来てるし!」
そう、この田舎の高校、青島にテレビ局が来ていること。
それが橘はんが怒っている原因。
「須藤はん、おはようございます。確かにテレビ局が来るやなんて、驚きですね」
「しらばっくれないでよ、朝乃宮。キミの差し金でしょ?」
ウチがこの茶番を橘はんに黙って用意したことが気にくわなくて怒っている。
「えっ? どういうことなん?」
風紀委員室には須藤はんだけやなくて、長尾はんもいた。
それに……。
「……」
御堂はんが椅子に座ったまま、ウチを睨み付けてくる。
ウチはその視線をさらっと流し、笑顔で挨拶するけど、無視された。ほんま、ガキか。
「お姉様、流石に無視するのは……おはようございます、朝乃宮先輩」
「おはようございます、黒井さん」
全く、失礼な姉を持つと苦労しますな、黒井はん。余計なお世話と言われるのは分かってるので黙っておくことにした。
「そ、それよりさ、スルーできないワードが出てきたんだけど……朝乃宮さん……」
「須藤はん、その説明はあと一人、藤堂はんが来てからでもええです? もう少しで来ますので」
「あ、ああ、いいけど……」
どうせなら、まとめて話した方が二度手間にならずに済む。
校門の前にいるテレビ局のスタッフはカメラマンや音響全てウチが用意したスタッフ。
そのスタッフに登校中の生徒へ、あるインタビューをしてもらうのが目的。
たった、一つの質問をぶつけるだけ。
青島高校に在職している成翔先生は女子生徒に手を出したとは本当ですか?
この質問だけで、青島高校の全生徒は知ることになる。
成翔先生の不祥事を。
これで青島だけでなく、全国ネットで成翔の罪が明るみになり、社会的にも教師として抹殺される。
再就職は難しいやろうな。
これで一時間目は全校朝礼になり、保護者会も行われることになる。
学校のイメージダウンにもなるやろうけど、迷惑料はふんだんに払っているし、教師全員ボーナス三倍アップにもなるので目をつぶってもらえるやろ。
ほんま、朝乃宮って人を陥れることにどれだけカネ使うんやろな。自分たちの見栄と権力を見せびらかす為に。
最低や……そんな血が流れて、染まっているウチも……最低や……。
「おい、朝乃宮。なんで藤堂が学校に来ていない事が分かるんだ?」
流石は御堂はん。藤堂はんの事になると勘が鋭い。
がさつやのに、顔立ちは綺麗で恋する乙女並みに女の勘が鋭い。厄介やわ。
「それって、この場にいないからじゃないの?」
長尾はんがもっともらしい理由を言ってくれる。
けど……。
「もう少しで来る、なんてどうして分かる? もう来てて、すぐに来るかもしれねえだろ? それなのに、もう少しと言い切った。まるで分かってるみたいじゃねえか」
そう、凡ミス。
まあ、どうとでも言い訳出来るんやけど。
「分かっていたら、何か問題でも?」
「なんだと?」
「御堂はんは別に藤堂はんの恋人でも何でもありませんし、教える義理もありません」
「……この野郎」
ウチと御堂はんは真正面からにらみ合う。
きっと、ガチで対立する日は近い。同じ男を愛した女同士は修羅場にしかならんわな。
ハーレムとかありえへん。
「えっ? えっ? どういうこと?」
「これって……まさか……女の戦い? いや、ただ、朝乃宮さんがからかっているだけか」
「はぁ……」
長尾はんと須藤はんは戸惑い、黒井はんはため息をついてる。橘はんは頭を抱えていた。
結構、複雑な関係になってもうたな。ウチ、正直風紀委員なんて咲の事がなければ、どうでもええし、関わり合いたくもなかったんやけど、そうもいかんくなった。
だって……。
「おっ! 正道が来たぞ!」
ウチは御堂はんから目をそらし、窓の外を見る。
確かに藤堂はんや……ってか、もう少し、電動ママチャリを隠す努力をしてほしいわ。
怪しまれるやん。いや、別に怪しまれてもええ……かな?
それはそれで、外堀が埋められるし。
「正道、どうするんだろうな?」
「空気読めずに突っ込んでいくか?」
それは流石にない。
あんなテレビカメラがある連中に近寄る人種は、好奇心が強い子だけ。大抵は関わりたくなくて裏門から入ってくるはず。
裏門にはテレビ局が来ないよう指示してる。校長からの要望があったから。
ウチも全生徒に迷惑をかけるつもりはない。抜け道は用意した。
好奇心の強い子は少数やけど、それで問題ない。テレビ局の取材という格好のネタ、話さずにはいられへんやろ。
それで学校中に広まる。関わりたくなくても、何事かは知りたいはず。
学校はおもろいネタに飢えているとこあるし、たとえ、広まらなくても、朝礼で広めればええだけ。
何の問題も……。
「突っ込んでくるぞ!」
「流石は特攻隊長! そこに痺れる! 憧れる!」
なんやて!
藤堂はんは、堂々と正門に向かってる。ほんま、少しは空気読めや!
電動ママチャリのチャイルドシートつけてたら、テレビ局の取材陣も気になって質問しちゃうかもしれへんのに!
全国ネットでバラす気なん!
ウチは速攻、LINEで裏門に入るようメッセージを送る。
藤堂はんはメッセージを見ると、大げさに周りを見渡す。
ふふっ、あの慌てよう、おもろいわ。咲もこんな風にウチの事を見て、笑って……。
ぴろ~~ん♪
「……」
ピッ!
『私はアナタのことをいつも見ている。千里眼でWWW』
こわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ただのストーカーやああああああああああああああああああああああああああん!
笑えへんで、さきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
えっ? スマホなん?
これになんや盗聴アプリでも入ってるの! 朝乃宮のセキュリティは情報を特に重視しているから国家並みやのにどうやって突破してるん!
「……大丈夫か、朝乃宮?」
「……なんでもありません」
「顔が真っ青だぞ?」
御堂はんにツッこまれるけど、ウチは頭の中で素数を数え、平静を保つ。
ほんま、怖い! ウチの妹、ほんま、人外になってるし!
「何かあったら言えよ」
「……敵対しているウチのこと、どうして助けてくれはるんです?」
「別に……」
御堂はんのそういうとこ、好きやわ。ウチとは真逆。
見返りや打算を考えず、ただ、困っているからという理由で助ける。
それやから、このお人の周りには人が集まる。仁のお人。
ウチは朝乃宮のブランドがあるから、人がよってくる。その利権やカネに惹かれて。
だから、ウチの人望でもなんでもない。
それでも、藤堂はんはウチを選んでくれるんやろか? 御堂はんを選ぶ選択肢はありえるんやろうか?
馬鹿馬鹿しい……。
ウチらしくない。欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる。それが朝乃宮。
ウチが、ウチだけが藤堂はんを護れる。
それを証明する。秋脇を利用して。
もうすぐ、藤堂はんがここに来る。そのとき、ハッキリと証明したる。
待っててな、藤堂はん。朝乃宮の力、見せたる。
計画に抜かりはない。といっても、もう根回しも準備も終え、手遅れの状態になってるし。
秋脇をおとつい退学させ、過去の悪行から刑事告発する準備も終え、警察に捕まるのも時間の問題。
入院が終われば、即逮捕、少年院送り決定。
藤堂はんが犯罪者にならへんよう、口止めもしてる。
余計な事されへんよう、秋脇の父親を海外に転勤させた。
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