ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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新たな展開

本音と建前 ★

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 豪華客船キャプテンソフィア号とのコラボ企画を何とか成功させてから、数日後。


 私、丸山 柚花は、通常業務に戻り、カレンダホテルで、ウエディングプランナーをしている。


本日の勤務は、遅番なので昼から出社していて、夕方からの婚礼式を担当する。


 因みに、当ホテルのスタッフは、挙式と披露宴を合わせて、婚礼式と呼んでいる。


 さてと、打ち合わせを始めようか。


 腕時計を見て、柚花が集合を掛ける。
  

「本日、3番目に行われる 安堂様婚礼式のミーティングを始めます」


 スタッフルームにある楕円形のテーブルに集まり、それぞれ席に着いた。


「本日は、金曜日の大安ということもあり、ナイトウエディングを行います。


 ゲストは、仕事帰りの方もいらっしゃるということなので、お荷物を預ける方が多いと思われます。

 お帰りの際には、忘れ物が無いように、お声かけをお願いします。

 
 注意事項としては、新郎 安堂さんと新婦 麻里香さんの御両親、身内の方はいらっしゃいません。
 
 ゲストは、御友人の方々と仕事関係の方だそうです。

 
 こじんまりとしたパーティにして、温かいひと時を過ごしたいと、お二人から伺っています、我々は いつも通り、心を込めたおもてなしをしましょうね」


 その後、タイムスケジュールを確認し、各自、それぞれの担当場所に打ち合わせに行った。


 新郎新婦を担当するのは、25歳の女性、軽米さん。

 挙式 担当、23歳の男性、緑川さん。


 披露宴 担当、24歳の男性、外崎さん。


 私は、全体の指揮をしながらヘルプをする。


 「さあ、準備を始めよう!」

 私は、ホテルの横に位置するチャペルへと向かった。


 木々に囲まれた散策路を通る。

 
 ここは、ちょっとした林になっている為、鳥たちが遊びにやって来る。


鳥の声で、季節を感じることができるから、このホテルに泊まる事が楽しみだ!と仰る、お客様もいる。
 

 お客様の心をいやす小道として、カレンダホテルの隠れ人気スポットとなっている。


 散策路を通ってすぐ、途中に枝別れた道を行くと、チャペルがある。


 通常、ここで働くスタッフ達は、この道を通らず、ホテルの宿泊棟にあるスタッフ専用通路から、チャペルの裏側に出るけど。


 私は、ゲストが歩く、この小道の様子を点検しながら、歩いてきたのだった。


 あら、落ち葉が沢山落ちている!

 
 清掃部に連絡しないと!

 そう思いながら、チャペルの周囲も点検する。


 当ホテルのチャペルは、赤茶色の煉瓦れんがの外壁で、屋根は黒のスレート瓦、十字架の代わりに金色の風見鶏が乗っているのだった。


「風見鶏さんも、異常なし!
 点検完了!」


 独り言を言って、チャペルの脇を通り、裏側にあるドアから、中へと入った。


 チャペルの中には、挙式をする礼拝堂と他に2つの部屋と小さな備品倉庫がある。


 柚花は、備品倉庫にあるキャンドルを取りに来たのだった。

 
 お、重い!このキャンドルが入っている箱は、かなり重い!

 
 靴がパンプスだから、重い物はキツイ!


 えっとぉ、台車はどこだ?


 えっ?見当たらない!


 これ、チャペルの前まで、運ぶの?


 最悪だ!

 みかん箱くらいの大きさの箱を 両手で持ち上げヨロヨロとチャペルの脇を歩き出した。

 お、重い……腕がプルプルしてくる。

 く、靴のヒールの部分が悲鳴を上げているかも?折れたらどうしよう……。

 
 ほんの少しの距離なのに、凄く遠く感じる。


「私が持ちますよ」


 突然、声を掛けられ、腕に感じていた重力が消えたのだった。


 誰かが荷物を持ってくれたのだ。


「えっ?あっ、すみません、ありがとう……ございま……す?」


 柚花は、両腕を直角に曲げたままで、上を見上げて、御礼を言った。


「えっ?えっ?あなたは、折原さんの御友人の方!ですよね?どうして、ここに?」


 柚花は、驚きのあまり、腕が直角のままでいる。


 柚花の様子を気にすることもなく、智也が言う。

 
「そうです、私は折原匠海の友人で、西崎 智也と申します。

 先日は、大変、お疲れ様でした。 

 私は、花屋、ガーデンプロデュースの者なので、チャペルにお花を飾りに来ていました」


「えっ、お花屋さんだったんですか?

 あっ、その上着とエプロン、よく見かけます。

 でも、えっと、西崎さん?とは会ったことが無い気がします」


 智也はノーネクタイで、薄ピンクのワイシャツに紺色のソフトデニムエプロンを着けて、花屋さんの灰色のウインドブレーカーを着ていた。

 長身イケメンの彼は、どんな服装でも、見事に着こなしていたのだった。


 そんな智也が答える。

「あっ、私は たまにしか来ないので、会った事が無かったと思います。

 でも、まあ、今日、会えるなんて思ってもいなかったので、何だか嬉しいです」


 えっ?私に会えた事が嬉しい?本当に?

 リップサービスだよね?そうよね?


「この重たい箱は、何ですか?」

 男性が持ってみても、結構な重みがあったので、智也は中身が気になったのだ。


「ああ、持たせてしまって、すみません。

 チャペルの前通路に沿って、キャンドルを両側に並べようと思って、運んでいたんです。

 そこに置いて下さい。

 重かったので、助かりました。

 ありがとうございました」


「では、そこに運んで置きますね。

 チャペルに花を飾り終わったので、よかったら、キャンドルを並べるのを手伝いましょうか?」

 
 わっ、何て親切な方だろう。

 もうすぐ、挙式担当の緑川さんが来るはずだけど、この人と もう少し一緒にいたいな。


 でも、直ぐにお願いしちゃうのも、図々しいかも……。


「えっ?披露宴会場の方のセッティングは大丈夫ですか?」

 
 まあ、一応、礼儀として聞いてみた。


「あっ!そうか、忘れていた!

 会場の方を他のスタッフがやっていたんだ!

 進行具合を見なければ……。

 すみません、仕事中でした。

 あっ、そうだ!先日、身代わり花嫁をしてくれた、お疲れ様会をしませんか?

 折原匠海と前沢和希も一緒に、えーと、あなたと同僚の方々も呼んで、匠海におごらせますから!」


 えー!お疲れ様会?

 この人に、会えるなら賛成!大賛成!

 
 だけど、奢ってもらいたいのか!って、誤解されたくないし、一応、言っておくか。


「そんなー!

 先日は、仕事上の事だったので、そんなお気遣いはしなくて、大丈夫ですから。

 お気持ちだけ、頂きます」


 柚花は、本音と建前の……建前を言ったのだ。


「えー、そうなんですか?残念ですね。

 じゃあ、私は会場へ行きます。

 キャンドルのセッティング、頑張って下さい」


 智也は、あっさりと言って去って行ったのだ……。


「……」


 はっ?えーーー!


 すっごい素直な人!素直過ぎる!

 何?私、凄く損した気分!


 それから、柚花はモヤモヤしながら、キャンドルを並べていた。


 あー、腰が痛いし! 

 緑川は、まだ来ないし!


 柚花は、険しい顔つきで作業をしたのだった。


 もしも、もしも、今後、誰かに誘われたら、本音と建前の、本音の方を言う。


 決めた!自分に正直になろう!


 だから、お願い、もう一度、誘って下さい。


 

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