ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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新たな展開

立ち直れない……

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 丸山 柚花、只今、彼氏募集中。

 クリスマス前までに、何とか彼氏を作って、アイツをギャフンと言わせてやる!


 携帯画面には、婚活パーティーの情報が出ている。


へぇ、街コンかぁ、女性の会費は安いんだねぇ!


 皆んな、満足をしているのかな?


 どんな口コミがあるのかしら?


 何々?美味しい料理を安く食べる目的の女性が結構いて失礼だ!って……。


 そっかぁ、それは、真剣な男性に申し訳ないよねぇ。


 うん?ちょっと待て。
 そう言う私はどうなの?
 結婚相手が欲しいの?


 それは、まあ縁があれば、見つかればいいけど、取り敢えず、その場しのぎの男の人が必要なだけなのよね……。


 あー、それも真剣に活動をしている人にとっては、迷惑だなぁ。
 

 やっぱ、婚活パーティーはダメなのかなぁ。


 柚花は、そんな事を真剣な顔で考えていた。


 ポタッ!


 あっ、携帯画面にしずくが落ちちゃった……

…………………


あれは3ヶ月前のこと。

 アパートに1人で暮らす彼の為に、私は夕食を作った。


 因みに、彼の歳は、私の1つ上だ。


 その食事を美味しいと言って食べてくれた彼を見て、私はホッとし、言った。


「秋広君が美味しいって言ってくれて、ああ、良かった!

 でもね、結婚したら、たまには秋広君の料理が食べたいから、作ってくれる?」


 そう、このひと言が、私と彼の仲を簡単に引き裂いたのだ。


「えっ?結婚するって何?

 あ、丸ちゃん ごめん。

俺は、自分よりも料理が上手な人じゃないと結婚出来ないと思う……。

 俺たち、逢うのをやめようか……」


 私は、衝撃と言う言葉では片付けられない程のショックを受けた。


 ショックのあまり、言葉も無く、ただ頷いて、エプロンを畳んで鞄に入れ、無言で部屋を後にした。


 彼は、追いかけても来なかった……。

……………………

 あの日から、私は立ち直る為に心の中で、野口を罵倒してきた。


 お前、シェフだろう!

 お前より嫁の方が料理が上手と言われたら、お前の立場がなくなるでしょ!

 お前、馬鹿なのか?


……と、こんな具合で罵倒してきた。


 そして、厨房には極力 近寄らなかった。

 用がある時は、他の者を行かせていたから、言葉を交わすことがなかった。


 そんな風にアイツを避けてきた。


 やっと立ち直れそうだったのに、アイツが私の心をコテンパンに殴り倒した。


 アイツからの渾身の一撃を受けてしまった!


 私は、今までアイツと付き合っていたと思っていた。

 今さっきまでは、そう思っていたのに。


『俺たち、ちゃんとに付き合っているって認識なかったじゃん』って、言っていた。


 と言うことは、アイツは付き合っている感覚が無かったという事だった?


 私の目から水が落ちた。


 あんな奴のために私の身体の水を使うのも、勿体ない!


水よ、出るな!


水よ、止まれ!


「丸山さん、外灯の下で何を見ているんですか?」

 
 その時、帰ろうと駐車場に来た軽米が声を掛けた。


「 ! 」


「丸山さん!どうしたんですか?

 泣いている……んですか?」


 後輩である軽米は、柚花をとても慕っており、2人は仕事の後、よくファミレスに寄って互いの話しをしている仲良しなのだ。


 このホテルの中で、唯一、野口と柚花の関係を知っている人物なのだった。


…………………

 ファミレスに移動した柚花と軽米。


 涙の理由を聞いた軽米は、激怒する。


「付き合っていなかった!なんて、ひど過ぎますね!最低男です!

 丸山さん、あの人と縁が切れて良かったですよ!」


「そうなんだけど、私に彼氏が出来たと思っていて、ちょっと面倒な事になっちゃった」

 柚花は、事の次第を話した。


「はあ?何ですかそれ!
 どうして、“お食事ご招待”という事になるのでしょう?

 もしかして、あの人に彼女が出来て、丸山さんに対して、悪いことをしたと感じ、罪滅ぼしのつもりとか?」


「罪滅ぼしなんて、考えるかしらね?
それにしても、困った。どうしようかな。

 つい、見栄を張って彼氏がいる素振りをしてしまったから、早く彼氏を見つけないといけないと思って……。

 それで、さっき婚活サイトを見ていたってわけ。

 
 彼氏の振りをしてくれる男友達はいないしね。お手上げよ」


 柚花が正直に話すと、軽米が言う。


「なら、先日、身代わり花嫁をしてあげた折原さんに、彼氏の振りをお願いすればいいじゃないですか?

 けっこう、お似合いでしたよ」



 軽米がサラッと言った。


「ダメ!お客様にそんな事を頼めないわよ!

 それに、もう、カレンダホテルには来ないだろうから、会う機会がないでしょ」

 たっ君は、結婚式の事を思い出したくもないはずだから、私がいる このホテルには きっと来ないでしょう。

 

「だったら、今日、来ていた お花屋さんに頼みましょうよ。

 きっと、またホテルに来るはずですから。

 会ったら、頼んでみましょうよ」


 軽米の提案を拒否した柚花だったが、もしも、また偶然に会うことが出来たら、頼んでみようかなぁとも思った。


「あっ!」

 突然、柚花が思い出した。


「えっ?丸山さん、どうしたんですか?」


「うん、あのね、今日、私が転びそうになった時、お花屋さんが私を抱き止めてくれたの。

 とても、優しい人なんだ。

 背が高くて、たくましい身体で、とってもいい香りがしていたんだよ。

 花の香りなのかな?
 抱かれたまま、立ったままで眠れそうな感じだった。安心感があるのかな?」


「えっ、丸山さん!抱かれた……って、表現、エロいです!

 あ、でも、丸山さん、酔うと本当にエロくなりますものね。

 それも、違うか、猛獣になりますものね?

 キス魔だから、この前だって……」

 
 軽米が柚花の忘れていた事を教えたのだった。

 
「……それって、本当のこと?

 私が、両腕を上げて、相手の肩を抱いて頬にキスしたって?

 たっ君のお友達の お花屋さんともう1人の人に?」


 クラッ!


 柚花は、蘇る記憶に目眩がするのだった。


「軽米さん!どうして止めてくれなかったの!あー、お花屋さんが私のことをどう思っているのかな?

 とんでもない女と思っているよね?

 あーぁ、最悪だぁ」


 これじゃあ、恋人の振りを頼めない……。

 どうしよう、豪華客船の会社に勤めている原口さんに頼んでみようか……。


 
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