ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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それは、突然です!

野口よ、これが私の彼氏だ!

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「こらっ、教えなさい!誰が来るのよ?」

 私は、イライラしながら電話越しに聞いた。


「実は、前沢さんが折原さんとお花屋さんに連絡をしてくれて、その頃の18時過ぎなら何日でも大丈夫なので、予約した日を教えてほしいと言ってました」

 
 あっ、2人のうちのどちらかが来てくれるのね。


「……で、誰が来てくれるの?」


「みんなで行くことになりました。

 ついでに、私も行くことになっちゃって」


  軽米がそう答えた。


「みんなって、それだと野口の手前があるから、困る!野口に彼氏を見せる目的なんだから!

 それに、見世物になるのも嫌だし!

 面白がっているでしょ?」


 柚花は、腹を立てて言った。


「丸山さん、誤解ですってば!

 面白がっていないですよぉ。

 協力しているんですよ!

 テーブルを別にしますから、女性が私1人になるから、野村さんでも誘ってもいいですか?」

 
「ダメ!野口の事を知られたくないし!

  見世物には、なりません!

 恥をさらしたくないから、皆んなで、会うのは今度にしましょう」


「えー!そんなぁ、つまんないですよぉ。

 あ、いや……わかりました。はーあ。

 じゃあ前沢さんに連絡して、皆んなで会う日を決めますよ?

 その時は、野村さんにも声を掛けますね」

 あからさまに残念がっている軽米が言った。
 

「それなら、いいよ。日にちは、任せるから」

 
 きっと、それは合コンになるのだろう。

 いいですよ、それくらい付き合いますよ!

 例え、人数合わせだろうが、親身になってくれている軽米の為だものね。


「すみません、じゃあ、話しを進めますね。

 あ、それで彼氏役ですけど、折原さんか、お花屋さんのどちらでも構わないよって、前沢さんが言っていましたから、考えておいて下さい。

 丸山さんの頼みなら、断れないはずだって言っていましたよ」


 軽米は、そう言って電話を切った。


 あっ、軽米に たっ君の偽妻をした事を言いそびれちゃった……もう言わなくてもいいか。


 彼氏役を考えてと言われても、これまでの人生で男性を選ぶなんて経験が無いし、そんなおこがましい事、できないよっ!


 それでも、柚花は日にちを決めて、決断したのだった。


 結局、軽米の合コン計画は、日程の折り合いがつかず、お食事ご招待の後になった。
……………………

 そして、とうとう その日がやってきたのだ!

 今日は、私の公休の日。


 一応、朝から身なりに気を遣い、髪型、メイクにかなりの時間を費やしている。


 昨夜は、化粧水をヒタヒタにつけてパックして、肌の状態を整えた。


 うん、化粧のノリは良い!


  今日は、洗濯もせずに ずっと鏡とにらめっこだ。


 服装は、深緑色のニットのワンピースに茶色のコート。


 アクセサリーは、どれがいいかな?


  彼氏役は、仕事帰りにホテルへと来てくれることになっている。


「何でこんなに、気合いを入れてお洒落をしちゃっているんだろう?

 いつもよりも綺麗だと思われたいんだよね……。

 誰に……?まあ、広く一般の人にかな?」

…………………

 今日は、カレンダホテルの噴水広場で、待ち合わせ。

 
「こんばんは。あれ?まだ、待ち合わせ時間前ですよね?

 私も早く来ましたが、いつからいたんですか?

 寒かったでしょう?ホテルの中で、待ち合わせをすれば良かったですね。早く中へ行きましょう」


 噴水の前で待っていた柚花に声を掛けたのは、お花屋さんこと、西崎 智也だった。


 彼は、白シャツに黒のジャケットを着て、黒のチノパンに茶色の革靴という姿だ。


 お花屋さん、カッコいい!


「あ、お花屋さん、いえ、西崎さん、お忙しいところを無理を言って、すみません。

 本日は、よろしくお願いします」

 
 柚花は、智也を指名していたのだ。


 模擬披露宴で、その場を取り繕う為に急遽、匠海と新郎新婦のモデルをしたのを 野口は知っているかもしれないから、極力、嘘がバレないように智也を選んだのだった。


 というのは建前で、智也ともう少し話してみたいというのが、本当のところらしい。


「じゃあ、打ち合わせ通りにしよう」


 実は、昨日、智也が仕事でここに来たから、柚花と打ち合わせをしておいたのだ。


「じゃあ、柚花 行こうか?」   


「うん、行こう、と、ともや……」

 きゃあ、呼び捨てしちゃった……!

 何だか、このドキドキ感、新鮮。


 手を繋ごうって言ってくれたけど、さすがに職場だから、それは断った。あー、勿体無い!
 残念。


 本当は、「俺が手を暖めてやるよ!」なんて、言われて、手を繋ぎたかったよーん。


 柚花と智也は、披露宴会場としても使う、大広間のビュッフェ会場へと入って行く。


 受付に招待券を渡したから、きっと野口に連絡がいくだろう。


 案内されたテーブルは、ステーキを焼いて振る舞う鉄板の近くだった。


「じゃあ、一緒に料理を取りに行こう」

 智也と柚花は、仲良く料理を選んで皿に盛ってゆく。


「智也、これ美味しそうだね。

 シェアして食べる?」



「いいね。じゃあ、俺は こっちの料理を持っていくよ。どれも美味しそうだね」


 柚花は、演技だと分かっていても、今、最高に楽しいのだ。


「柚花、やっぱ、これ凄く美味しいよ。

 ほら、食べろよ。あーん」


 えっ!ここは、うちのホテルだけど!

 流石に噂になっちゃうけど……。


「あーん、うん、美味しい」


 こんな体験滅多にできないものね!


 イケメンに食べさせてもらうなんて、最高の贅沢だわ!


 
「ねえ、柚花の後ろでステーキを焼いているよ。

 でね、あのシェフが焼きながら こっちをチラチラ見てるんだよね。

 もしかして、元彼なのかな?」


  えっ?後ろにいるの?


「せっかくだから、挨拶をしようか?」


 智也は、立ち上がって野口の元へと向かう。


「うわっ!待って、私も行くから!」

 あっ、野口がステーキ肉を焼いている!


 よし、見せつけるチャンスだ。


「こんばんは、野口さん。今日は、お招き、ありがとう。美味しい料理だって、彼も喜んでくれているわ」

 柚花の後に続いて、智也が言う。

「柚花、あ、丸山さんと お付き合いしている西崎 智也と申します。どうぞよろしくお願いします。

 今日は、お招き頂きありがとうございます」

 
 野口は智也の顔をマジマジと見て、「あれ?」と不思議そうな顔をした。



「こんばんは。丸ちゃんの彼氏さん、今日は沢山食べて行って下さい。

 ソースは、ガーリックとオニオンと和風がありますが、どれにしますか?」


 オニオンソースステーキが冷めないうちに召し上がれと言う野口の言葉に従い、智也が先に席に戻って行った。


 それを確認するように、野口が言う。


「この前の彼氏と違うみたいだね」


 えっ?野口は、何言っているの?
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