ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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揺れる想い

目指せ!楽しいケチケチ婚

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「おはようございます。ハァ、ハックシュン!」


 本日は、マスク着用で出勤だ。


「あら、丸山さん、風邪をひいたの?

 今日は、打ち合わせはないわね?

 お客様に風邪を移したら大変ですから、早く治しなさい」


 倉田チーフからチクリと言われ、すみませんと答えた柚花なのだった。


 昨夜、砂浜で花火をしたから、寒くて風邪をひいてしまったのだ。


 今日は式の予定は無い、元木様と菊乃様の婚礼式の内容を考えよう。


「倉田チーフ、元木様の婚礼式の予算を出来るだけ抑えたいのですが、これを見てもらってもいいですか」


 柚花は、挙式と披露宴の大まかな見積もりを倉田チーフに見てもらっている。

 
「随分と抑えているのね。

 特に、この装花代は絞り過ぎでしょう?

 これだと、貧相になりかねないわよ。

 華やかさは、絶対に必要なことよ」


「はい、承知しています。

 新婦の菊乃様がお花屋さんと知り合いだということで、破格でお花を提供してくださるそうです。

 後程、再度 お花屋さんと交渉します。

 それと、まだ、削れる所があるのかと思って……。

 ご相談したいなぁと思っています。
 何かいいアイデアがないでしょうか?」


 柚花は、倉田チーフに協力を求めた。


「えっ?まだ、削るの?
 確か、菊乃様は最近まで海外赴任をしていたほどの人でしょう?

 そんなに経済的に大変なのかしら?」


 倉田チーフが疑問を口にするから、言うしかないか……。


「実は、2人きりで海外ウエディングを行うつもりらしいです。

 ですから、国内では低予算でという事らしいのです。

 因みに、海外ウエディングの方は、勤務先が旅行会社ですから、そちらで……」



「そうなのぉ?なんだか残念だけど、仕方がないわね……。

 じゃあ、今、手の空いている者で考えてみましょうか」


 倉田チーフが野村さんに声を掛け、楕円テーブルの方で作戦会議が始まった。


 外崎さんは、ブライダルサロンで打ち合わせ中なのだ。


………………………

「お客様の敬称は、話しやすい“さん”にさせてもらいます。

 
 それでは、お客様の情報を共有して下さい。

 新郎は、元木 翔太さん31歳、会社員。

 新婦は、泉沢 菊乃さん28歳、会社員。


 新郎が海外旅行に行った時にトラブルに遭い、駆け込んだ旅行会社にいた菊乃さんが助けたのが縁で、交際になったそうです。

 婚礼式の仮予約は、春です。

 なので、早急に準備を始めないといけません。

 それで……ご相談したいのは挙式と披露宴を何とか低予算で出来ないか!という事です」


 柚花は、野村にも装花代をケチった、いや、お花屋さんに協力を依頼した事も話した。


 その上で、更にケチる……いえ、無駄を省く事が出来ないか、一緒に考えてもらっている。


「うーん、まず、削るべきではないところは、決まっているわよね?」


 倉田チーフが、柚花と野村を見て確認する。


「はい、それは料理です。

 そこは、ケチるとゲストに満足して頂けません」


 柚花が即答した。


「丸山さん、その通りです。ここだけは譲れないですから!いいですね?

 野村さんも肝に命じておいて下さい」


「はい、肝に命じます」と野村が返事をした。

 その後、3人で意見を出し合い、大まかにではあるが、ケチる所が決まった。


 菊乃様の元彼、西崎 智也さんがお花屋さんで良かった。


 装花代って、結構、高いもの。


 格安にしてくれるという約束は、嬉しいのだ。


 柚花は、菊乃が智也の元カノであることも気にせず、むしろ好都合と考えたのだった。

……………………

 そろそろ仕事が終わるという頃、柚花が倉田チーフを見つめる。


 じぃ……。


「何よ、丸山さんっ!見つめないでちょうだい!

 あ、そんな甘えた顔をしたって、無駄よ!

 無理なものは無理!嫌ですから!

 他を当たってちょうだいね」


 プリプリする倉田チーフを見た外崎が、こっそりと野村に聞く。


「何かあったの?」


 野村と外崎は、同期入社だからフレンドリーだ。


「向こうで話すから」

 野村は、小声で言った。
 

 パタン。


 ドアを閉め、2人は通路に出て話す。


「実は、丸山さんが担当している婚礼式で、予算削減をしていて、プロの司会者を削るから、倉田チーフに司会をしてってお願いしているの。

 でも、あの状況なんだよ……丸山さんも無茶を言うよね」


(そうか、それで倉田チーフが怒っていたのか!

倉田チーフって話し上手だし、確かに司会が上手うまいだろうと思う。

 けど、もっと上手そうな人がいると思う)


「ねえ、司会を出来そうな人が他にいると思わない?」


 外崎が野村に言うと、野村は急かすように聞く。


「えっ、誰なの?それは、誰なのっ?早く言いなさいよ!」


「えー、わからない?支配人だよ!

ホテルの大勢のスタッフの前で話すから、堂々としているし適任者だと思うよ」


 外崎が言うと、野村も納得の顔になった。


「外崎さん、たまには冴えているわねっ!」

 野村はスタッフルームに入って行った。


(たまには……って、酷い。

 でも、褒められたのかな?よしっ!やったぁ)

 素直に喜び、外崎もスタッフルームに入って行ったのだった。

…………………

「なるほど!支配人は確かに司会者に向いていますね!でも……」


 柚花は考えているが、倉田チーフも同じ様な事を思っていた。


「そうね、適任者だとは思うけど、披露宴の2時間、打ち合わせもあって時間を取ってしまうでしょ。果たして、彼にそんな時間があるかしら?

 後で聞いてみるわね。

 さあ、もう帰っていいわよ。お疲れ様でした」


 倉田チーフが言ったので、私は帰ることにした。


「では、お言葉に甘えて、お先に失礼します。

お疲れ様でした」


  風邪を引いているから早く帰ろう。


 着替えている柚花に電話がかかってきた。


「あ、智也さんだ!」
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