ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
46 / 129
揺れる想い

チャペルでの ひと時 ★

しおりを挟む
 柚花は、今 カレンダホテルのチャペルに来ている。


 中に入り、壇上に立ち当日のシミュレーションをしていた。


 プロポーズ大作戦の時に使用したテーブルは撤去してあるから、ベンチだけが並んでいる。


「ベンチの背もたれ脇に造花を挿せばいいかな。

 あと、祭壇はどうしようか?」


 シーンとしているチャペル内で、1人は寂しいから声に出して言ってみた。


 ブルブル、ブルブル……


 突然、携帯電話の振動がしてドキッとした。


 智也さんの先約仕事が早く終わったから、こちらに来るという連絡だった。


「丸山さん、今、何処にいますか?」

 智也は、キッチリと仕事モードで尋ねた。

 柚花がチャペルにいると答えたら、ここで待つように言われたのだ。


 それから、すぐにドアノック音がした。


 あれ、もう、来た?


「こんにちは、実は ここの駐車場から電話をしました。驚きました?」


 訪ねて来たのは、やはり智也だった。


 智也は、腕時計を確認して言う。

「はい、只今、私の休憩時間となりました。

 さあ、フレンドリーに話そうか?

 他の人がいたら無理だけど、2人きりならいいよね?」


 そんな事を言う智也に驚いた。

 キャラが違うのでは?と戸惑う柚花。


「こんな事言ったら失礼ですが、智也さんのお友達、えーと、前沢さんは、あなたの事を無口と言っていたけど、私には、そうは思えないです……。

 本当に無口なんですか?」


「えっ?俺が?無口だって?えー!

 あー、言われてみれば……女性の前では自分から話さないかも!

 でも、聞かれた事には、きちんと答えているつもりだよ。

 特に綺麗な女性なら尚更、話しかけたりしないかも……。恥ずかしいと言うより、苦手かな?」


 ぐさっ!

 
 私には、思いっきり 話しかけていると思います!


 ふーん、そういうことですかっ!


 あっ、でも私と居ても、ほとんど話さない時もある!

 もしかして、少しだけ綺麗という事でいいのかな?そうなの?


 柚花の心の声が届いたのか定かでないが、智也が付け加えて言う。


「あっ、俺は基本、食事中は話さない。

 和希たちと食事に行っても、食べている間は話さないかな?聞かれた事だけは返事をするけど。

 子どもの頃に親から、口に物が入っている時は、話さないようにと言われて、育ったからかもしれない……。

 うーん、だから、俺的には友達と普通に話していると思うよ?」


「あ、そっか、だから私には普通に接してくれるのね!あはは……」


 あはは……虚しい。お友達と言う、お言葉を頂きました!

 まっ、別にいいですよ。

 男友達が出来ただけでも良しとします。

 では、では、仕事を頑張りましょう!


「じゃあ、休憩中の智也さんには悪いですけど、こっちは仕事をさせて頂きますね」

 柚花は、智也にブーケなどの件を確認した。


「ブーケとコサージュ……てか、ブートニアとブーケトス用を俺が作ってプレゼントするけど、本人たちには、言わないで!

元彼からだなんて、変だから!」


 そう智也が言ったが、柚花は菊乃に既に伝えてあるのだった。


「ごめんなさい、菊乃さんだけには言ってあるの。

それで、ブーケトスなんだけど、そんな大切なブーケを投げられない!と菊乃さんが言って、代わりにブーケプルズをする事になったんだ」


「へえ、ブーケプルズかぁ。

 作る側としては、その方が嬉しいよ」


 智也が喜んでくれて、柚花も嬉しくなった。


「ブーケに1つだけリボンを結びつけて、女性ゲスト全員に数本のリボンの中から、1つ選んで引き当ててもらうというゲーム。


 このチャペルドア内から外へと、女性ゲストがリボンを引いて歩いて外に出てもらうくらいで、正解が判るって感じにしようかな」


 柚花が言うと、智也は盛り上がるといいねと言ったのだった。


「あ、またまた、休憩中で悪いけど、この祭壇の飾りは造花だとショボいかしら?

 ここは写真に残こる可能性が高いから、生花がいいでしょ?」


「うん、あまりゲストからは気にならない場所かもしれないけど、写真に残って後悔されたら嫌だし、ここは生花の方がいいかもね」


「そっか、そうよね。じゃあ、ここは生花の装花でお願いします」


「了解」

 智也は、笑顔で軽く返事をしてから話す。


「柚花って、いっつも他人の事に一生懸命なんでしょう?

 ストレスが溜まるんじゃない?大丈夫?」


 うわっ!異性から、こんな心配をされたのは初めてです!

 ありがとう、ありがとう!智也さん!

 いや、とても感激でございます!


「うーん、私 この仕事が好きなんだと思う。

 お客様の幸せな顔を見ていると、自分も その時は幸せ気分になれるの。

 けど、自分の事も考えているよ?

 だって、去年、智也さんに恋人のフリをしてもらって、元彼をギャフンと言わせたし!

 最近、老後の為に小銭貯金を始めたし!」


 ほら、私、自分の事も考えているでしょっ?と言うように、最後のところを特別、得意そうな顔で言ったのだった。


「もう、老後の事?何故?
 まさか、結婚をしないで、1人で生きていく!とかってヤツなの?」


 智也は、驚いて思わず聞いたのだった。


「そりゃあ、出逢いがあれば結婚をするかもしれないけど、そのきざしが見えないもの。

 縁なんて、何処にも転がっていないもの。

 行末を考えておかないとって、覚悟を決めたところなの!」


 柚花は、切実な思いを吐露したのだった。

 人に聞いてもらえて、少しスッキリした気分になった。


「あ、智也さん、そろそろ仕事に戻らなくていいの?

 後は、詳細を書面にして送ります。

 わざわざ、お越し頂きありがとうございました」


 柚花は、丁寧にお辞儀をしたのだった。


 下を向いていると、巻きリボンがコロコロと転がってきた。


「 ! 」


「あれ?智也さん、リボンが落ちてる!」


 柚花は、転がったリボンを智也に手渡した。


 ふふっ、ポケットから落ちたのかしら?


 柚花は、そう思っているが、智也はポケットから巻きリボンを取り出し、わざと落としたのだ。


「拾ってくれて、ありがとう。

 これ、丸いよね?エンだよね?

 じゃあ、エンって事にしよう。じゃあ、仕事に戻るよ!」



「?、はい、本日はありがとうございました。

気をつけて、仕事に戻って下さい」


 外に出て智也を見送り、再び、チャペルの中に戻り、何を言われたのかを考えてみる……。


 なんか、ダジャレを言ったのかも?


 残念ながら、智也が言った言葉は、今の柚花には伝わっていないようだ。


 日が暮れてきた、もう、ホテルに戻ろう!


「もうすぐ、元木様、菊乃様の婚礼式だ!

 笑顔一杯の婚礼式になるといいなぁ」


 柚花がいなくなったチャペルはシーンと静まり返っていた……。






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...