ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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揺れる想い

お久しぶり。 ★

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 あっ、たっ君!

 そっか、受付を頼まれたのね。

 たっ君というのは、私が身代わり花嫁をした時の新郎、折原 匠海さんだ。


 そして、本日の花嫁 菊乃さんの元同僚で同期なのだそう。


「いらっしゃいませ。
折原さん、お久しぶりです。

 本日は、受付をするのですね。

よろしくお願い致します」


 柚花は、お客様の匠海に丁寧に挨拶をした。
 

「僕と新婦の泉沢さんが同じ会社だったから、この結婚式のゲストが僕の結婚式のゲストと被っていないか、ちょっと心配で……。

 まあ、配属先が違うから、大丈夫だと思ってはいますが……」


「そうですよね、私も そこが気になって、一応、取っておいた席次表と照らし合わせて、大丈夫だと確認しました。
 その時に、たっく、折原さんがゲストだと知ったのです……。

 えっと、ここで聞くのも何ですが、私たちの関係は、その後どういうことになっていますか?」


 この晴れの日に、聞くのは不謹慎だが今後のために、聞いておく必要がある。


「はい、会社の人には別れたと言いました」


 そっか……別れたという事になったのか……。

 そっか……。


 これは、何と言葉を返せば良いのだろう?

 たっ君は、少し寂しそうにしている。

 
「そうですか……なら、今日なんて、新しい出逢いのチャンスの場です!
 
 運命の出逢いがあるかもしれません、楽しい時間を過ごして下さいね。

 はい、こちらがゲストの名簿です。元木様側の方にも渡して下さい」


 そう話して、柚花はチャペルの脇を通り、去って行ったのだった。


(春菜に去られて、今、丸山さんにも去られた気分だ。運命の出逢い?この結婚式に そんな出逢いがあるのかな?若い娘、沢山いるのかな?いないか?

いるといいな……)



 チャペルの外に置いてあるテーブルの前で、そんな事を考えている匠海なのだった。


「あのぉ、新婦側の受付をされる方でしょうか?」

 匠海は、突然 声を掛けられた。


 匠海がいるテーブルを挟んで目の前に、二十代半ばくらいに見える可愛い感じの女性が1人立っていた。


「えっ、あっ、はい、招待された方でしょうか?

えーと、名簿……」


「いいえ、私は新郎側の受付をする者です。

 新郎、翔太兄さんの従兄妹いとこで、高橋 若菜と言います。

 どうぞよろしくお願いします」


「は、はい、こちらこそ、よろしくお願い申す。
いや、よろしくお願いします。

 新婦の元同僚、折原 匠海です。

 他の受付担当の人たちは、まだ来ていないですね。少し、早く来すぎたみたいです」


「私は、親族集合写真を撮って、急いで来たんですけど、まだ、早かったんですね」

 
 2人が、そんな事を話していたら、互いの受付相棒がやって来て、ゲスト達も訪れ始めたのだった。

……………………

「バイト君の名前は、小形君で、バイトさんの名前は、永井さんね。丸山です。今日は、よろしくお願いします。

話しは聞いていると思うけど、ブーケプルズの時に女性だけに、リボンを引いてもらうの。

それで、挙式に参加している小学生くらいの女の子も数に入れて、女性の人数を把握して欲しいの。

でも、両家の母親は抜かして下さい。

 で、倉庫にブーケプルズ用リボンがあるから、
人数分を用意してね」


 いつもは、カレンダホテルの清掃のアルバイトをしている2人が、ヘルプとして来てくれている。


 2人は、ポカンとした顔でいる……。


「あれ?説明を受けていないのかな?」


「ブーケプルズって、よくわかりません。
何ですか?」


 げっ、外崎さん、説明していないの?


「簡単に言うと、ブーケを貰う1人を決めるリボンクジ引きです。

ブーケトスの代わりにするから、女性限定でします。

でね、挙式に列席しないゲストもいるだろうから、その時にいる女性の正確な人数が重要なのよ。

 もし、リボンの方が多かったら、当たりを引いてもらえないかもしれないでしょう?

 倉庫にあるから、用意を頼みます。いい?」


  柚花が同意を求めたら、小形君が「はい、それなら説明を受けました。大丈夫です」


「ブーケなんとかが難しい言葉で、分かりませんでした。内容は、わかりました。了解です」



 もうひとつのミッションの方は、分かっているのかしら?


「じゃあ、説明を受けたのね?

 なら、手筈通りにお願いしますね」


「はいっ」小形君と永井さんは、揃って返事をしたのだった。


………………………

 
 さあ、挙式が始まる!


 ゲスト達は、チャペルの中で座っている。


 新郎は、祭壇下で花嫁を待つ。


「それでは、扉を開けましたら、前にお進み下さい」


 野村は、静かに告げた。

 キィ……キィ……。

 
 チャペルの扉を開放する。


 チャペルには、優しく静かなメロディーが奏でられている。


 ベールダウンした花嫁は、父親にエスコートされ、ゆっくりとゆっくりと前に進んでいく。


 拍手の中を、幸せいっぱいの顔で歩く花嫁と、何とも表現できない寂しい気持ちを隠し歩く父親の姿があった。


 花嫁から少し離れた後方より、軽米が見守っている。


(そうです、お父様。その手を新郎へ渡して、自席に戻って下さい。それでいいです)


 軽米は、そう思いながら常に花嫁の足元に気を配る。


 柚花は、全体の様子を見守りながら、段取り通りにプログラムを進行させていく。


 外に出て、小さな声で倉田チーフに連絡をする。

「チャペルは、順調に進んでいます。

会場の方は、いかがですか?」


「司会者が緊張しているけど、なんとかなるでしょう。いざとなったら、あの人はやってくれる人だもの!大丈夫よ!

会場準備は整っているけど、ウェディングケーキがまだ、出来上がっていないみたいなの。

 そっちが、少し心配だわ。ちょっと、様子を見てくるから。じゃあね」

 倉田チーフは、電話を切ったのだった。


 げっ、マジか!大丈夫かしら?


 やだ、心配だけど、こっちも そろそろ式が終わる。


 その頃、バイトの2人は外崎に言われた事を思い出しながら、人数分のリボンを袋に入れて、リボンの先だけを袋から出した。

 次にブーケをそっと入れた。


「小形君、永井さん、ブーケの準備は出来た?

 小形君、式が終わったから、リボンが絡まないように チャペル内へ持って行って!」

「はい、外崎さん!」

 小形は返事をして、飛び出ているリボンを押さえながら、チャペル内へと行った。


「この箱を運ぶから、永井さんは僕と一緒に来て!」


「はい、外崎さん」永井も返事をして、外崎の後を追い、倉庫から外へと出て行った。


 ゲスト達は、再び扉が閉まっているチャペルの外で待機をしている。


 受付のテーブルは柚花が撤去しておき、ウェルカムボードは、緑川が会場前に運んでおいたから、チャペル前は、スッキリとしていた。


 それから、主役の2人が出てくるのを待っているゲスト達に緑川が説明をする。


「これから、女性限定 ブーケをゲットするゲームをしますが、それが終わりましたら、皆さんに手伝って頂きたいことがございます。

 女性の方は、ゲームの説明がございますから、あちらの女性スタッフの所にお願いします」


 緑川の後に柚花が言う。

「女性の方は、こちらへお願い致します。

小学生の女の子も参加できます。こちらへどうぞ」


 柚花は、手を上げて女性たちを集める。


 緑川と柚花は、男性方と女性方に分けて、説明を開始した。


 チャペル内では、軽米が菊乃にやり方を教えている。

 バイトの小形君が花嫁に袋を渡した。

 
 野村が外の様子を見に行き、軽米に連絡をする。


「スタンバイ、OKです」

………………………

 野村が再び、扉を開けると、新郎 新婦が扉の所まで、やって来たのだった。


 マイクを持った野村が全体に軽く説明をしてから、女性ゲスト(両家の母親は除く)11名にリボンをつかませて、花嫁はブーケを袋の中から、少し持ち上げて皆に見せた。


「それでは、ゆっくりと放射状に広がって歩いて下さい。

 ブーケと繋がっている方が当たりですよ」


「 ! 」「 ! 」


 バイトの小形君と永井さんは青ざめた。


「わぁ、ハズレたぁ!でも、なんか付いてる」


「あら?お風呂の入浴剤だわ、面白い」

 10人がリボンに結び付けられていた小袋を開けて中を確認していた。


 中には、カラフルボールの入浴剤がひとつ入っていたのだった。


「私のは、何にも無い!大はずれなの?」

 
 何も付いていないリボンだけを持っていたのは、受付をしていた高橋 若菜だったのだ。


 がーん、失敗した!!失敗だ……。


 だけど、何とかしないと!


 柚花は考え、大きな声で言う。


「はい、実はリボンに何も付いていない物が、当たりでございます。

 花嫁さんの幸せをより多く分けて頂けるように、菊乃様の元に留めておりました。

 では、幸せのおすそ分けを射止めた ラッキーな貴女様にブーケを贈ります。

 菊乃様、どうぞお渡し下さい」


 ブーケを受け取った若菜が嬉しそうな顔をしている。

 そこに匠海がやって来て、「良かったね」と笑顔で言っている姿を柚花は見ていた。


 ふーん、さっそくブーケの御利益がありそうだね……。


 ふーん……。


 さっ、次だ!次!次、頑張ろう!


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