ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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ある日、突然。

役を決めましょう!

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 私、丸山 柚花は、前の前の彼が結婚して子どもまでいると知り、軽く落ち込んだ。

 
 ただ、そんな私を癒してくれた のど飴のおかげで、いつもの私に戻ることができた。


「おはようございます。さあ、会議を始めましょう」


只今、カレンダホテルと原口さんの船会社とのコラボ企画が進行中。


 合同挙式後、新郎 新婦が私服に着替えている時間を利用して、カレンダホテルとソフィア汽船社のCMを上映することになったのだ。


 そこで我々は、とことん経費削減をする為に、ど素人集団でCMの企画をしているのだった。


 もちろん、出演者も関係者で済ませる気でいる。


 その配役を決めるため、今日、公休日の軽米も会議に参加している。


「役としては、洋装男女、和装男女、両親、ナレーション、サクラ若干名、着ぐるみ1 、2という感じかしら?」


 いち早く、倉田チーフの言葉に反応を示したのは、緑川だ。

(今、聞き捨てならない事を倉田チーフが言った!着ぐるみだと?)


「はい、質問です。プレゼンの時に誰も着ぐるみを描いた人は、いませんでしたけど、倉田チーフが追加したんですか?」


 緑川は、自分が着ぐるみ担当になることを危惧している。


「あー、緑川さん、ごめんなさい。
CM制作する許可を最終的に総支配人にもらいに行ったら、いくつかアドバイスをもらって、これもそのひとつなのよ。

総支配人は、あなたの天使がお気に入りなんですって……」


「ああ、やっぱり、僕なんですか?
誰でもいいと思いますけど?」

 不満しかない顔の緑川が言った。


「あら、あなたの体型だから素敵なのよ?わかる?

そして、このCMの最後の最後で登場するんですから、1番美味しい役ですよ。

外崎さんと一緒に頑張りましょうね」


 そんな事を言われた外崎も不満を口にする。


「僕は、花婿がしたかったのに、着ぐるみなんですか?

僕の顔が出ないじゃないですかっ!」


「えっ、ちゃんとに顔は、出ますから安心しなさい。

皆さん、1人で何回も出演して頂きますから!

忙しいですよ。

外崎さんも最後の最後で、登場なんだから重要なポジションです!

CMの成功の鍵を握るのは、外崎さん、緑川さん、あなた方なんですからね。

しっかり頼みますよ」


「はい、倉田チーフ、任せて下さい」

 外崎は、張り切って言い、緑川も「期待に応えられるよう、精進します」と変なスイッチが入った2人だったのだ。

 それから、倉田チーフは場面を簡単に説明して、役柄を紹介する。


 「では、最初、ナレーションで始まります。噴水広場で恋人たちの待ち合わせシーン。

これは、全員、サクラとして参加して下さい。

 ナレーター1名。

 その噴水広場で、指輪を渡してプロポーズのシーン、皆さんから祝福をされる。

 それで、このプロポーズのカップルがブライダルサロンで相談をするシーンです。ここは、大変、重要シーンです!

カップル1組とスタッフ役1名。


洋装の2人は、チャペルにて母親と花嫁、父親と花嫁そして花婿と花嫁のシーンです。あっ、忘れてたわ、それと神父役が必要ね。
洋装男女、父、母、神父。


 それと、ご要望にお応えするカレンダホテルをアピールする場面で、いくつかの和装パターンの写真を映し出します。

ここは、和装男女。

 そして、ラスト我々スタッフ一同で、締めくくりが着ぐるみ2人……」

 倉田チーフは、そう言って気づく。

 (なんだか、緑川さん、野村さん、特に外崎さんの視線が痛いくらいなんですけど、私をガン見しないで下さい)


「希望の役にならない可能性もありますが、一応、希望を聞きましょうか?

 丸山さん、ホワイトボードに役柄を書いてちょうだい」

 柚花がナレーターから書き始めていく。

 着ぐるみには、緑川、外崎の名前を書いた。

 引き続き、倉田チーフが話していく。

「ナレーターについては、後回しにします。

では、プロポーズのカップルとサロンスタッフ1名を希望する方いますか?」


「はい、はい」「はいっ」「はい」

 外崎、緑川、野村が手を挙げた。

「おっ、積極的ですね。外崎さんは、スタッフ希望ですか?」


「いえ、プロポーズをする方です!」

 外崎が先に言ったので、緑川はスタッフでいいと言い、必然的に野村はカップルのプロポーズされる側となった。


 外崎さん、顔がバッチリ映るから良かったね!おめでとう。

 緑川さんもスタッフの顔になれるよ。
 良かったね。

 野村さんも女優魂を要求される役だわ。頑張って!

 柚花は、心の中で3人を応援している。

 私の希望は、実はナレーターを狙っているのよね!

 声には、自信はないけれどナレーションって、カッコいいもの。

 あれ?軽米さん、あなたもホワイトボードのナレーターの文字をガン見しているわね?

 悪いわね、ここは、先輩に譲ってちょうだい!


「それでは、次に洋装男女なんですが……花嫁は軽米さんにしたいと思っています。

 それでですね、私たちだけで全てを演じることは無理なので、他部署から応援を頼むことにします。

フロントスタッフの戸塚さんあたりに花婿役を打診したいと考えています。

 軽米さん、いいかしら?」


「はい、やります」

(まあまあイケメンの戸塚さんかぁ、和希さんなら、気分が上がるのになぁ)


「えっと、次はね、和装の男女なんだけど……」


「倉田チーフ、花嫁両親の役が決まっていません!」


「そ、そうね、緑川さん、ちょっと後回しにさせてもらうわね。

 えっと、和装なんだけど……。
 実は、私がやりたいなぁ……とか?」


「…………」一同、沈黙が続く。


 倉田チーフは、真っ赤な顔をして、頑張って言ったのだった。


 「はい、それはいいと思います!
 倉田チーフは、着物が良く似合うと思いますから、私、賛成です」

 柚花が言うと皆も頷いた。


「ありがとう、皆んな……」

 倉田チーフは、顔はまだ赤いけれど、感激しているようだ。


(根岸君、ごめん。やっぱり無理よ!
あなたの望みは、叶えてあげられない)


「なーんてね、冗談に決まっているでしょう!言ってみただけだから……!

 もう、本気にしないでよ、あはは……」


(もう!どうするの、この空気!

根岸君、責任とってよー!)


 そんな時、何やら視線を感じた緑川が、入り口のドアを見た。

「あっ、支配人!倉田チーフ、支配人が来ましたよ。

なんか、覗いていますよ。用があるみたいですね」


「えっ、あ、じゃあ、支配人にも会議に参加してもらいましょうか、ねえ。

ちょっと、呼んでくるわね。オホホ」

 倉田チーフは、そう言って支配人の元へと行ったのだった。


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