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ある日、突然。
立候補します!
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「総支配人……」
倉田チーフは、そう言って入り口のドアを開け、総支配人である根岸にコソコソと言う。
「根岸君、私、花嫁さんに立候補したけど、やっぱり、恥ずかしくて無理だった。ごめんね」
根岸総支配人は、えーっという顔をしたが「わかった」と小さく言った。
「うっんん、総支配人、どうぞ中へお入り下さい。会議に参加して下さい」
倉田チーフは、今度は大きな声で支配人を招き入れた。
「皆さん、総支配人も撮影に参加してくれるそうですよ」
倉田チーフの言葉を聞き、皆んなは拍手をして歓迎した。
「私は、このところ婚礼チームのメンバーになった気分でいます。
楽しい事が大好きですから、何でも手伝いますよ。
良い作品を作りましょう!
宜しく頼みます」
心強いメンバーの加入で、スタッフのやる気はより一層アップしたのだった。
「では、役決めに戻ります。
和装の花嫁を希望する人はいますか?」
改めて倉田チーフが聞いた。
「え、倉田チーフでいいんじゃないですか?」
緑川が言うと、皆も頷いた。
「あっ、私に気を遣わないでいいから、誰かやりたい人はいませんか?」
倉田チーフが言うと、支配人がすかさず言う。
「結婚式は若い人のものだけではないはずです。
年齢は関係ないです!
恥ずかしがる事はありません!
倉田さん、是非、花嫁を演じて下さい。
いいですね?」
(ちょっ、ちょっと、根岸君ってば、何を言っているのっ!若い頃と体型がちがうんだから!)
「ええー!困ったわねぇ。
じゃあ、私だけでなく他に若い人も入れないとね……」
倉田チーフは、恥ずかしそうにしながら、若い人も必要だと言った。
「じゃあ、最初にプロポーズをして成功した野村、外崎ペアも和装をすればいいじゃないですか?」
「あら、丸山さん、いい事言うわね。
そうね、それはいいわ!ねっ、野村さん?外崎さん?」
倉田チーフに、同意を求められた野村は、微妙な表情をした。
だが、外崎があまりにノリノリだったから、野村は承知せざるを得なかったのだった。
(根岸君が、私に花嫁になれと言ったからやるけど。
野村さん、軽米さんも花嫁になるわけだから、丸山さんだけ花嫁にならないのは、何だか気が引けちゃうわね)
「もう丸山さんも、和装をしちゃいなさい!
写真で表現するから、色んなタイプの衣装を披露しましょうよ。
ねっ、そうしましょう。
その方が私も花嫁になりやすいしね」
「えっ?あ、はい……いいですけど。
それぞれの新郎役はどうしますか?」
柚花の素朴な問いかけに支配人が手を挙げた。
「はい……私、新郎に……結婚した事がないので、なってみたいです……わっ、恥ずかしいなー、皆んな、どうだろうか?」
支配人は、ハンカチで額の汗を拭いている。
(ほら、言い出すのは超恥ずかしいでしょう?
私だって、花嫁をやりますって言うのは、とてもドキドキしたのよ)
倉田チーフは支配人を見て、そう思っていた。
実は、倉田チーフがCM制作許可をもらう時に、支配人からお願いされた事があった。
それは、新郎というものを体験してみたい!ということだったのだ。
さあ、スタッフ達の反応は?と心配をしている支配人と倉田チーフなのだが、皆、何と言っていいのかわからない状態なのだ。
その中で軽米が口を開く。
「賛成です。もちろん、倉田チーフの花婿さんですよね?いいと思います。
野村さんの花婿さんは外崎さんですよね?丸山さんは、誰にしますか?
この流れだと緑川さんだけど、見るからに年下だとわかりますよね?
CMは、理想のカップルにしないといけないですから、どうします?」
(うわっ!マジでショック!)
そんな風に言われてしまった緑川は、少しいじけて言う。
「えー、実際、年下ですけど!
それって僕が見た目が凄い童顔だからって事ですよね?
うわー、落ち込みます」
「緑川さん、何を言っているのっ!
あなたは、このブライダル部の代表スタッフとしてCMの主演なんですから、スタッフ役として頑張って欲しいのよ?
わかってくれるかしら?」
「えっ!僕が主演だったのですか!
知らずにわがままを言って、すみませんでした!
なら、精一杯、努めさせて頂きます」
倉田チーフの適当節が炸裂して、緑川は 丸め込まれ納得したのだった。
そんなこんなで会議は続き、洋装の両親役について話し合った結果は、老けたメイクを施した倉田チーフと支配人が演じることになったのだ。
それから神父役は、変装した緑川ということに決まり、チャペル内で列席するゲストを演じるサクラは、ホテルの他部署の方にお願いすることになった。
さて、いよいよ柚花の狙っているナレーター決めだ。
「はい、はい!」「はいっ!」
柚花と軽米が同時に立候補した。
「軽米さん、私は和装写真だけなんだから、これは譲ってちょうだいね。
ねっ、いいでしょっ?」
先輩である柚花から頼まれたら、後輩の軽米は弱いのだ。
「わかりましたよぉ。どうぞ」
軽米さん、譲ってくれてありがとう!
柚花は、「ご飯をおごるね」と言って、軽米の機嫌をとったのだった。
少し不機嫌な軽米が先程から気になっている事を聞いてみることにした。
「ところで、丸山さんの花婿役を決めていませんが……」
その言葉に誰もがハッとした。
「も、もちろん、か、考えているわよ!
このホテル随一の有名人、野口シェフに打診してみるわ。
とっておきのイケメンをあなたに与えましょう!待っていてね」
などと、倉田チーフが言ったから、柚花と軽米は顔がこわばった。
「あ、えっと、それは遠慮しますから。
お客様が野口シェフのお料理を楽しみにいらっしゃるかもしれませんよ?
ですので、違う方にして下さい」
柚花は必死に言ったのだった。
よりにもよって野口だなんて!
やめて下さい!
私の相手役なんて、あり得ない!
(もう、丸山さん、遠慮しなくてもいいわよ!私の交渉力を甘く見ないでね。
何が何でもイケメン花婿にするわよ)
「そう?じゃあ、まあ、遠慮しないで私に任せなさい!
では、こんなところで大丈夫かしらね?
皆さん、台本に目を通して内容を覚えて下さいね。
それぞれの仕事にもどりましょう。
お疲れ様でした。
軽米さん、気をつけて帰ってね。
お疲れ様でした」
「えっ、まだ、質問があります。
ところで、僕は どんな着ぐるみですか」
外崎が倉田チーフに聞いた。
「キューピットよ。着ぐるみを見たけど、可愛かったわよ。そうだ、2人とも撮影日は脚をスベスベにしてきて下さいね。
2人とも、期待しているわよ」
(どうやったらスベスベになるんだろう?)
ちらりとそんな事を考えた2人だった。
倉田チーフは、そう言って入り口のドアを開け、総支配人である根岸にコソコソと言う。
「根岸君、私、花嫁さんに立候補したけど、やっぱり、恥ずかしくて無理だった。ごめんね」
根岸総支配人は、えーっという顔をしたが「わかった」と小さく言った。
「うっんん、総支配人、どうぞ中へお入り下さい。会議に参加して下さい」
倉田チーフは、今度は大きな声で支配人を招き入れた。
「皆さん、総支配人も撮影に参加してくれるそうですよ」
倉田チーフの言葉を聞き、皆んなは拍手をして歓迎した。
「私は、このところ婚礼チームのメンバーになった気分でいます。
楽しい事が大好きですから、何でも手伝いますよ。
良い作品を作りましょう!
宜しく頼みます」
心強いメンバーの加入で、スタッフのやる気はより一層アップしたのだった。
「では、役決めに戻ります。
和装の花嫁を希望する人はいますか?」
改めて倉田チーフが聞いた。
「え、倉田チーフでいいんじゃないですか?」
緑川が言うと、皆も頷いた。
「あっ、私に気を遣わないでいいから、誰かやりたい人はいませんか?」
倉田チーフが言うと、支配人がすかさず言う。
「結婚式は若い人のものだけではないはずです。
年齢は関係ないです!
恥ずかしがる事はありません!
倉田さん、是非、花嫁を演じて下さい。
いいですね?」
(ちょっ、ちょっと、根岸君ってば、何を言っているのっ!若い頃と体型がちがうんだから!)
「ええー!困ったわねぇ。
じゃあ、私だけでなく他に若い人も入れないとね……」
倉田チーフは、恥ずかしそうにしながら、若い人も必要だと言った。
「じゃあ、最初にプロポーズをして成功した野村、外崎ペアも和装をすればいいじゃないですか?」
「あら、丸山さん、いい事言うわね。
そうね、それはいいわ!ねっ、野村さん?外崎さん?」
倉田チーフに、同意を求められた野村は、微妙な表情をした。
だが、外崎があまりにノリノリだったから、野村は承知せざるを得なかったのだった。
(根岸君が、私に花嫁になれと言ったからやるけど。
野村さん、軽米さんも花嫁になるわけだから、丸山さんだけ花嫁にならないのは、何だか気が引けちゃうわね)
「もう丸山さんも、和装をしちゃいなさい!
写真で表現するから、色んなタイプの衣装を披露しましょうよ。
ねっ、そうしましょう。
その方が私も花嫁になりやすいしね」
「えっ?あ、はい……いいですけど。
それぞれの新郎役はどうしますか?」
柚花の素朴な問いかけに支配人が手を挙げた。
「はい……私、新郎に……結婚した事がないので、なってみたいです……わっ、恥ずかしいなー、皆んな、どうだろうか?」
支配人は、ハンカチで額の汗を拭いている。
(ほら、言い出すのは超恥ずかしいでしょう?
私だって、花嫁をやりますって言うのは、とてもドキドキしたのよ)
倉田チーフは支配人を見て、そう思っていた。
実は、倉田チーフがCM制作許可をもらう時に、支配人からお願いされた事があった。
それは、新郎というものを体験してみたい!ということだったのだ。
さあ、スタッフ達の反応は?と心配をしている支配人と倉田チーフなのだが、皆、何と言っていいのかわからない状態なのだ。
その中で軽米が口を開く。
「賛成です。もちろん、倉田チーフの花婿さんですよね?いいと思います。
野村さんの花婿さんは外崎さんですよね?丸山さんは、誰にしますか?
この流れだと緑川さんだけど、見るからに年下だとわかりますよね?
CMは、理想のカップルにしないといけないですから、どうします?」
(うわっ!マジでショック!)
そんな風に言われてしまった緑川は、少しいじけて言う。
「えー、実際、年下ですけど!
それって僕が見た目が凄い童顔だからって事ですよね?
うわー、落ち込みます」
「緑川さん、何を言っているのっ!
あなたは、このブライダル部の代表スタッフとしてCMの主演なんですから、スタッフ役として頑張って欲しいのよ?
わかってくれるかしら?」
「えっ!僕が主演だったのですか!
知らずにわがままを言って、すみませんでした!
なら、精一杯、努めさせて頂きます」
倉田チーフの適当節が炸裂して、緑川は 丸め込まれ納得したのだった。
そんなこんなで会議は続き、洋装の両親役について話し合った結果は、老けたメイクを施した倉田チーフと支配人が演じることになったのだ。
それから神父役は、変装した緑川ということに決まり、チャペル内で列席するゲストを演じるサクラは、ホテルの他部署の方にお願いすることになった。
さて、いよいよ柚花の狙っているナレーター決めだ。
「はい、はい!」「はいっ!」
柚花と軽米が同時に立候補した。
「軽米さん、私は和装写真だけなんだから、これは譲ってちょうだいね。
ねっ、いいでしょっ?」
先輩である柚花から頼まれたら、後輩の軽米は弱いのだ。
「わかりましたよぉ。どうぞ」
軽米さん、譲ってくれてありがとう!
柚花は、「ご飯をおごるね」と言って、軽米の機嫌をとったのだった。
少し不機嫌な軽米が先程から気になっている事を聞いてみることにした。
「ところで、丸山さんの花婿役を決めていませんが……」
その言葉に誰もがハッとした。
「も、もちろん、か、考えているわよ!
このホテル随一の有名人、野口シェフに打診してみるわ。
とっておきのイケメンをあなたに与えましょう!待っていてね」
などと、倉田チーフが言ったから、柚花と軽米は顔がこわばった。
「あ、えっと、それは遠慮しますから。
お客様が野口シェフのお料理を楽しみにいらっしゃるかもしれませんよ?
ですので、違う方にして下さい」
柚花は必死に言ったのだった。
よりにもよって野口だなんて!
やめて下さい!
私の相手役なんて、あり得ない!
(もう、丸山さん、遠慮しなくてもいいわよ!私の交渉力を甘く見ないでね。
何が何でもイケメン花婿にするわよ)
「そう?じゃあ、まあ、遠慮しないで私に任せなさい!
では、こんなところで大丈夫かしらね?
皆さん、台本に目を通して内容を覚えて下さいね。
それぞれの仕事にもどりましょう。
お疲れ様でした。
軽米さん、気をつけて帰ってね。
お疲れ様でした」
「えっ、まだ、質問があります。
ところで、僕は どんな着ぐるみですか」
外崎が倉田チーフに聞いた。
「キューピットよ。着ぐるみを見たけど、可愛かったわよ。そうだ、2人とも撮影日は脚をスベスベにしてきて下さいね。
2人とも、期待しているわよ」
(どうやったらスベスベになるんだろう?)
ちらりとそんな事を考えた2人だった。
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