ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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さあ、始めよう!

ドキっ!プラネタリウム

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 私、丸山 柚花は、カレンダホテルでウェディングプランナーをしている、彼氏無しの もうすぐ29歳だ。


 今日は、午前中からプラネタリウム前に、智也さんと来ている。


「俺、プラネタリウムなんて子どもの頃以来だな。すっごい久しぶり!」

 
「私も 久しぶり。前に来たのは……。
あっ、だいぶ前で思い出せない……」


 嘘です。覚えています。


 あの 子持ちになっていた元彼と良く来ていました。


 あの頃、ここに はまって、1人で癒されに(昼寝)来たこともあります。


 このプラネタリウムは、昼時に“休憩して下さい”というプログラムがあるのです。


 ただ、その元彼は自分史に刻まれた過去の事として処理したから、新鮮な気持ちでここへと来ましたよ。


 智也さんが、天文に興味があるのかは知らないけど、私は、この場所がリラックスできる所だから好きだし、誘いを断るのも気が引けるから、まあ、行ってもいいかという感じで来てみたのです。


 柚花自信では、渋々 来たという設定で、ここへと来ているつもりでいる。


 だが、実際は 昨夜から服に迷い、ヘアアレンジを考え本を見ながら格闘し、今朝は出るギリギリまでメイクを頑張っていた。

 悩んだ挙句に、髪は いつもの肩までのゆる巻きウェーブを下ろし、左側だけ耳に掛けた。


 服は、淡いピンクのVネックのコットンニット、濃紺プリーツスカートにしたのだった。


 ずっとずっと悩んだ割には、超シンプルになってしまって、疲れだけが残った感じなのだ。


 それから、起床後、念入りのメイクの結果、首と顔の色が微妙に違うことになっている。


 それでも、智也にとっては超可愛く美しく見えているから、恋は不思議なものなのだ。

 
(いつも ほぼズボン姿しか見ていないから、スカートはドキッとする……。

ぶ、ぶ、Vネックがセクシー過ぎる)

 頭の中で考えていることは、ひた隠しにして、智也は言う。
 

「平日の午前中だから、空いているね。

どの辺が見やすいかな?

 ここ、中心辺りがいいかな?ここにする?」


 智也が聞いてきたから、柚花は即答する。


「あっ、ここは投影機の隣だから見にくいと思うけど、見やすいのはねぇ、向こうかな。

 ちょい北側がいいと思うけど……」


 はっ、しまった!

 馴染みの施設だよ!感が出てしまったかも……?


「……あー、よく来るの?」

 智也が即座に聞いた。


「実は、以前、ここにはまって1人で寝に来ていたの……あっ、はっ、違う、見に来ていたの……」


 うわっ!墓穴を掘ってしまった!


「寝に?って、危ないよっ!しかも、1人で無防備過ぎるでしょっ?

これからは、そんな事はしないで!
ここに来たかったら、俺を呼ぶこと!

 いい、わかった?」


「へっ?あ、まあ、来ることがあったら……」

 えーー!そんな事を言われて、ドキドキしましたけど……どうしよう。

 ……などと、柚花は思っている。

 一方、智也は、恋は盲目状態という事を地でいっている。

(ここで、眠るって?もしかして、あの無防備な イビキを他の誰かに聞かせてあげていたの?

可愛いと思われていたかもしれない……。危ないなぁ。ふー)


 こんな事を考えているのは、この世で智也くらいかもしれない。


 2人は、リクライニングの背もたれを倒し横になった。


 まだ、暗くなる前から倒すのは、早すぎると思うが、柚花は速攻で寝る準備をする癖がついているようだった。


 ドーム型の天井にあるスポットライトの明かりを見つめているだけで、眠りに誘われるのは何故だろう?


 うん?視線を感じて右隣を見てみたら、智也さんと目が合った……。


 仰向けではなく、器用に横向きになっている。


 何故、そんな態勢になっているの?


 げっ、薄明るい中でイケメンを見ると、よりイケメン度が増している気がして、背もたれを倒して寝てなんていられない!

 
 それに、その手すりに置いてある手が、今にも こちらへ飛び越えて来そうな、ギリギリラインにありますが!


「あ、まだ、椅子を倒すのが早かったかしらね?」


 柚花は、急いで背もたれを起こした。


 すると、智也は残念そうな顔をしながらも、背もたれを起こす。


「あーえっと、と、智也さんもプラネタリウムが好きなの?」


「うん?あ、和希さまから勧められて、あ、いや、前から好きでね……」


「和希さま……って、前沢さん?いつから、そんな風に呼んでいるのぉ?面白いね。そっか、前沢さんから勧められたのか。随分とロマンチストな人だよね?

てか、可愛い人なのかも?

 だって、うちの軽米さんとデートに行って……あ、内緒だったかな?

 あ、なんでもありません」


「はぁ?何だよ、言いかけただろう?」


 自然に智也の両手が柚花の両肩に置かれた。


(はっ!この姿勢は、マズイ!
 
 キスしたくなる……やばい)


  ブーーーー!


 館内に開演のブザーが鳴り響き、真っ暗となった。


(い、今だ!暗闇の中、どさくさに紛れて、えいっ!)


 ゴツン!

「あっ、痛っ!」「はぁ、痛た……」

 なぜ?暗闇で頭突きをされたの?

 智也さんが何を考えているのか、わからない。


「お静かに願います」

 すぐにスタッフが注意をしに来た。

「すみません……」

 2人は、小声で謝った。


〈柚花、ぶつかって、ごめん〉

 小声で智也が言ったから、柚花はいいよと答えた。


 プラネタリウムの内容は、ギリシャ神話と星座、四季の星座の物語だったのだが、柚花は眠るどころではなく、何故、頭突きをされたのか考えていたのだった。   


 私が何か怒らせたとか?


 智也は、自分が中学生くらいに思えて、落ち込んでいた。


 柚花にキスをしようとして、失敗したとは言えないから、このままスルーを選んでいる。


(俺、何やってんだよ……俺、れっきとした大人だし、もう、29になるのに……。それなりに女性と付き合ってきているのに……。

 恋愛大先輩の和希さま、助けて下さい)


 上映が終わり、明かりがついた。


「出ようか?」

 恥ずかしさを必死に隠し、智也が言った。


(プラネタリウムから出てから、和希の指令では食事だな)


「お昼にしようか、何か食べたい物はある?」


「うん、そうだね。うーん」

 柚花は、考えている。


「あっ、そうだ!俺が柚花の食べたい物を当てるよ!

 ……うーん、えーっと、あっ!パスタかな?」


 あ、残念、違う、うどんでした。

 でも、私は大人ですから、空気を読みます……。


「あー、ああ、そうなの。パスタが食べたい気分だったわ。

 じゃあパスタ屋さんに行きましょう」


 お店に入り注文をして待つ間に、智也さんから、軽米さんと前沢さんのデートの事を聞かれて、仕方がないから話してあげた。


 普通だったら、海でお尻を濡らしてしまったと聞いたら、笑うはずだけど。

 この人は、感心して聞いているみたい。
  
 不思議な人だわ。


(さすが和希さま、それも彼女の気を引くテクニックなのですね。

 はい、頂きました……)


 常に受け身の男が、今、手探りで恋愛をしているのだった。

 
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