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さあ、始めよう!
軽米と和希
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「おっはようございまーす!」
スタッフ専用駐車場に車を止めた私に、軽米さんが はしゃぐように挨拶をしてきた。
「おはようございます。軽米さん、随分、元気いっぱいだね。
何かいい事でもあったの?」
ニコニコしている軽米さんは、聞いて欲しそうな顔をしていた。
「えっ?あ、どうしよう、聞きたいですか?」
「聞けと言うなら、聞きましょう!」
私達は職場に向かいながら話している。
「夕べ、和希さんの車で……」
……………………
いったい軽米に何があったのか?
ちょっと時を、昨夜に戻してみましょう。
…………
軽米は、和希の運転する車の助手席にいる。
「えっ?夜なのに神社に行くの?
なんだか肝試しみたいで、怖いんだけど……今度、明るい時に行かない?」
「大丈夫だよ!あそこは、夜も明るいから。パワースポットでもあるから、行けば運気が上がるよ!」
和希は、そんな事を言い、山あいの道に入って行った。
「何だかガタガタする道路だけど?
それに対向車も来ないし、心霊スポットとかじゃないでしょうね?」
軽米は、お化けが大の苦手だったから、怖がっていた。
「えー!俺がそんな意地悪すると思う?
大丈夫だよ!俺を信じなさい!」
「うん……信じる」
それから わりとすぐに、巨木が並ぶ駐車場に着いた。
ぼんやりとした外灯に照らされているのは、和希の車のみだ。
「もしかして、肝試しをするとか……無理だからね。しませんから!」
軽米は、かなり警戒をしていた。
駐車場から鳥居までは少し暗かった。
「こわい……」
無意識に軽米の手が伸びて、和希の上着を掴んで坂道を歩いている。
「大丈夫だよ。じきに明るい所に出るから!
ほら、手を貸してごらん」
和希は、軽米の手を握って歩きはじめた。
軽米は、感激しながら歩いていたが、すぐに立ち止まってしまい、がっかりとした。
和希が言う。
「ねっ?鳥居から先は、ライトアップされて、明るいでしょう?」
「あ、本当だ。明るい。
でも、すっごい階段の数……。
これ、上がって行くのよね?
ちよっと、キツイかも……」
「せっかく来たのに!お参りしないとね。だってさ、ここ縁結びの神様がいるんだから!
ほら、行こう!頑張れ」
和希は、握った手をグイッと引っ張って、階段を上って行く。
(和希さん、男らしい感じ。
初めて会った時は、軽い人と思ったけど、けっこう誠実だし、頼もしい……)
身長があって、細身の体型の和希だが、今の軽米にはマッチョな身体つきに見えている。
和希に手を引かれて、息を切らしながら階段を上がってきた軽米は、広めの場所に来た時に ぼやいた。
「ハァ、まだ、上に階段があるの!
まだ、着かないのぉ?」
軽米が泣き言を言ったとたん、和希が握っていた手を離した。
(えっ?和希さん、怒っちゃった?)
そして、和希が軽米の前で屈んで「はい、おんぶするから乗って」と言った。
「やだ、いいよ、いいよ。歩けるから。
私、重いから、無理、無理」
軽米は、とんでもないと言って、歩いて行こうとしたら、
「俺を見くびらないで頂きたい!
これでも、智也とジムに通って鍛えているんだからね!ほら、早く」
とても恥ずかしいけれど、軽米は渋々 おんぶをしてもらうのだった。
(私の胸がこの広い背中に当たってしまっている……恥ずかしいよ。
でも、子どもに戻った懐かしい感じもある。
ゆらり、ゆらり、あったかいし、いい気分になってきたな……)
目を閉じて、幸せ気分に浸っていたら「はい、着いたよ」と言われたのだった。
和希は、軽米に五円玉を渡して、お参りをしようと誘った。
2人はお参りを済ませて、階段を下りて行く。
もちろん手は繋がれている。
「軽米さん、下の名前で呼んでもいい?」
「はい、もちろん。どうぞ」
「彩香、あやちゃん、アヤ、どれがいい?」
「うーん、彩、アヤがいいかな」
軽米は、帰りはスムーズに下りていた。
「うん、じゃあアヤ、さっきは、何をお願いした?」
「えっ?それは秘密!」
軽米は教えない。
「俺はね……。
今、一緒に来ている女性と毎年ここに来れますように!
ってね、縁結びの神様にお願いしておいた!
アヤは、この願いが叶うと思う?」
そう言って、和希は軽米を見つめている。
「な、何?えっ?よくわからないよ」
軽米は、繋いだ手を離し、凄い勢いで下りて行く。
「え?アヤ、怒った?待ってよ」
そんな言葉も無視した 軽米は、さっさと車に行くのだった。
先に助手席側に立っていた軽米が、反対側に来た和希に話しかける。
「あのね……さっきの、もう一度言ってもらってもいい?」
「えー!それは無理。
これでも、やっと言ったのに。
アヤが無視したから言わない!」
その言葉にガッカリして、軽米は溜息をついた。
(さっきプロポーズ もどきをされたような?そうなのかな?
わかりにくいんだもの……)
「じゃあさあ……」
和希は そう言いながら軽米の前に来た。
「俺は、アヤが好きです。
結婚前提で、交際して下さい」
「……結婚ぜんていで?えっ?いいの?
…………ます。」
軽米は、超小さい声で返事をした。
「えっ?なんて言った?」
和希が聞き返したから、軽米が再度、返事をする。
「よろしくお願いします」
和希は喜び、軽米を抱きしめた。
「俺、心臓がバクバクしてるんだぞ!
振られるかと思った!
俺こそ、よろしくお願いします」
ぎゅうぅぅ!
…………………
さて、現時間に戻ってまいりました。
「なぁにぃ?車で どうしたの?」
柚花が興味深く聞いてみた。
「神社に行って、プロポーズされました、違うか?告白されました!」
「えーーー!告白されたの?
良かったねぇ!良かったぁ」
軽米さんが嬉しそうにしていると、私まで嬉しいよ。
「丸山さんが喜んでくれて、嬉しいです。ありがとうございます。
今度は、丸山さんの番ですよ。
西崎さんと上手くいくといいですね」
「えっ?私?私のことは心配しなくてもいいよ。
気にしなくて平気だからね。
私は、仕事を頑張るもの。
船会社とのコラボ企画を成功させるために、今は必死だから!
今日も仕事に燃えちゃうわ!」
柚花は、カラッと笑って言った。
「そういえば、丸山さん そろそろ誕生日ですよね?」
「あっ!軽米さん、思い出させないでよ!三十路手前って……あーあ。
もう!忘れていたのに!
気分が滅入ってくるでしょう!
お詫びにケーキを奢ってちょうだいね」
「ごめんなさーい。はい、ご馳走しますよ。お任せ下さい」
今の軽米なら、なんでもご馳走してくれそうだと、柚花はニヤリとしたのだった。
スタッフ専用駐車場に車を止めた私に、軽米さんが はしゃぐように挨拶をしてきた。
「おはようございます。軽米さん、随分、元気いっぱいだね。
何かいい事でもあったの?」
ニコニコしている軽米さんは、聞いて欲しそうな顔をしていた。
「えっ?あ、どうしよう、聞きたいですか?」
「聞けと言うなら、聞きましょう!」
私達は職場に向かいながら話している。
「夕べ、和希さんの車で……」
……………………
いったい軽米に何があったのか?
ちょっと時を、昨夜に戻してみましょう。
…………
軽米は、和希の運転する車の助手席にいる。
「えっ?夜なのに神社に行くの?
なんだか肝試しみたいで、怖いんだけど……今度、明るい時に行かない?」
「大丈夫だよ!あそこは、夜も明るいから。パワースポットでもあるから、行けば運気が上がるよ!」
和希は、そんな事を言い、山あいの道に入って行った。
「何だかガタガタする道路だけど?
それに対向車も来ないし、心霊スポットとかじゃないでしょうね?」
軽米は、お化けが大の苦手だったから、怖がっていた。
「えー!俺がそんな意地悪すると思う?
大丈夫だよ!俺を信じなさい!」
「うん……信じる」
それから わりとすぐに、巨木が並ぶ駐車場に着いた。
ぼんやりとした外灯に照らされているのは、和希の車のみだ。
「もしかして、肝試しをするとか……無理だからね。しませんから!」
軽米は、かなり警戒をしていた。
駐車場から鳥居までは少し暗かった。
「こわい……」
無意識に軽米の手が伸びて、和希の上着を掴んで坂道を歩いている。
「大丈夫だよ。じきに明るい所に出るから!
ほら、手を貸してごらん」
和希は、軽米の手を握って歩きはじめた。
軽米は、感激しながら歩いていたが、すぐに立ち止まってしまい、がっかりとした。
和希が言う。
「ねっ?鳥居から先は、ライトアップされて、明るいでしょう?」
「あ、本当だ。明るい。
でも、すっごい階段の数……。
これ、上がって行くのよね?
ちよっと、キツイかも……」
「せっかく来たのに!お参りしないとね。だってさ、ここ縁結びの神様がいるんだから!
ほら、行こう!頑張れ」
和希は、握った手をグイッと引っ張って、階段を上って行く。
(和希さん、男らしい感じ。
初めて会った時は、軽い人と思ったけど、けっこう誠実だし、頼もしい……)
身長があって、細身の体型の和希だが、今の軽米にはマッチョな身体つきに見えている。
和希に手を引かれて、息を切らしながら階段を上がってきた軽米は、広めの場所に来た時に ぼやいた。
「ハァ、まだ、上に階段があるの!
まだ、着かないのぉ?」
軽米が泣き言を言ったとたん、和希が握っていた手を離した。
(えっ?和希さん、怒っちゃった?)
そして、和希が軽米の前で屈んで「はい、おんぶするから乗って」と言った。
「やだ、いいよ、いいよ。歩けるから。
私、重いから、無理、無理」
軽米は、とんでもないと言って、歩いて行こうとしたら、
「俺を見くびらないで頂きたい!
これでも、智也とジムに通って鍛えているんだからね!ほら、早く」
とても恥ずかしいけれど、軽米は渋々 おんぶをしてもらうのだった。
(私の胸がこの広い背中に当たってしまっている……恥ずかしいよ。
でも、子どもに戻った懐かしい感じもある。
ゆらり、ゆらり、あったかいし、いい気分になってきたな……)
目を閉じて、幸せ気分に浸っていたら「はい、着いたよ」と言われたのだった。
和希は、軽米に五円玉を渡して、お参りをしようと誘った。
2人はお参りを済ませて、階段を下りて行く。
もちろん手は繋がれている。
「軽米さん、下の名前で呼んでもいい?」
「はい、もちろん。どうぞ」
「彩香、あやちゃん、アヤ、どれがいい?」
「うーん、彩、アヤがいいかな」
軽米は、帰りはスムーズに下りていた。
「うん、じゃあアヤ、さっきは、何をお願いした?」
「えっ?それは秘密!」
軽米は教えない。
「俺はね……。
今、一緒に来ている女性と毎年ここに来れますように!
ってね、縁結びの神様にお願いしておいた!
アヤは、この願いが叶うと思う?」
そう言って、和希は軽米を見つめている。
「な、何?えっ?よくわからないよ」
軽米は、繋いだ手を離し、凄い勢いで下りて行く。
「え?アヤ、怒った?待ってよ」
そんな言葉も無視した 軽米は、さっさと車に行くのだった。
先に助手席側に立っていた軽米が、反対側に来た和希に話しかける。
「あのね……さっきの、もう一度言ってもらってもいい?」
「えー!それは無理。
これでも、やっと言ったのに。
アヤが無視したから言わない!」
その言葉にガッカリして、軽米は溜息をついた。
(さっきプロポーズ もどきをされたような?そうなのかな?
わかりにくいんだもの……)
「じゃあさあ……」
和希は そう言いながら軽米の前に来た。
「俺は、アヤが好きです。
結婚前提で、交際して下さい」
「……結婚ぜんていで?えっ?いいの?
…………ます。」
軽米は、超小さい声で返事をした。
「えっ?なんて言った?」
和希が聞き返したから、軽米が再度、返事をする。
「よろしくお願いします」
和希は喜び、軽米を抱きしめた。
「俺、心臓がバクバクしてるんだぞ!
振られるかと思った!
俺こそ、よろしくお願いします」
ぎゅうぅぅ!
…………………
さて、現時間に戻ってまいりました。
「なぁにぃ?車で どうしたの?」
柚花が興味深く聞いてみた。
「神社に行って、プロポーズされました、違うか?告白されました!」
「えーーー!告白されたの?
良かったねぇ!良かったぁ」
軽米さんが嬉しそうにしていると、私まで嬉しいよ。
「丸山さんが喜んでくれて、嬉しいです。ありがとうございます。
今度は、丸山さんの番ですよ。
西崎さんと上手くいくといいですね」
「えっ?私?私のことは心配しなくてもいいよ。
気にしなくて平気だからね。
私は、仕事を頑張るもの。
船会社とのコラボ企画を成功させるために、今は必死だから!
今日も仕事に燃えちゃうわ!」
柚花は、カラッと笑って言った。
「そういえば、丸山さん そろそろ誕生日ですよね?」
「あっ!軽米さん、思い出させないでよ!三十路手前って……あーあ。
もう!忘れていたのに!
気分が滅入ってくるでしょう!
お詫びにケーキを奢ってちょうだいね」
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