ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
85 / 129
さあ、始めよう!

告白

しおりを挟む
 柚花は、休憩時間に軽米にメッセージを送った。

“今夜、前沢さんの所に食材を持って行っても平気かな?聞いてみて”


“聞いてみます、連絡がついたらメッセージを入れておきますね”


 と、すぐに軽米からの返信がきた。


 あんなに勝手に食材を使ってしまったから、すぐに補充しておかないと、前沢さんに悪いものね。

…………………

 休憩を終えて、ブライダルサロンに戻ってみると、野村さんがお客様と話していた。


  私の両親と同じくらいの年代に見える。

 ご夫婦なのかしら?

 もしかしたら、“初心婚式”を希望される方かしら?

 そうだったら、嬉しいけれど。


 今回の企画は、訳あって挙式が出来なかったカップルのためのものだから。


 子どもの頃、花嫁衣装に憧れた事がある人は、多いと思う。


 それでも、現実は夢で終わる方も多くいるのではないか。


 花嫁衣装を着ることを諦めた方、新婚旅行に行けなかった方へ、今なら、今がチャンスです!と声を大にして言いたい。

 
 少なくとも当ホテルは、目一杯の御奉仕をしますから!


 宣伝を兼ねて、超格安にしています。

 
 時を作って、恥じらいを捨て、思い切って、カレンダホテルにお越し下さい。

 
 野村さんと話していたカップルが帰った後、確認してみる。


「今、帰られた方々は、もしかして初心婚式をご希望なの?」


「はい、そうです。今度の合同説明会にご招待しました」

 野村がそう答えたから、柚花はとても嬉しかった。


 式は10月で旅行は11月からで、もうすぐ募集の締め切り間近だ。

 
 希望されるお客様がいるのか心配だったけれど、反響があってホッとしている。


 先日、軽米さんに担当してもらった、元彼夫妻も希望してくれている。


 合同説明会に来てくれた時は、私は平常心でいられるようにしよう。


 さあ、もうすぐ打ち合わせのお客様がいらっしゃるわ。


 通常の婚礼式の方も、しっかりと進めないとね。

…………………

  定時で仕事が終わった。


 軽米さんから連絡はきているかな?


“仕事が終わったら電話を下さい”


  柚花は、早速 電話を掛けた。


「軽米さん、仕事が終わったけど?」


「丸山さん、お疲れ様でした。

和希さんに言ったら、食材はいらないと言っていましたよ」


「あ、それはダメ。私が勝手に使ってしまったから。

 あとで、買って持って行こうと思うけど、いるのかしら?」


「ふふふ、丸山さんなら そう言うと思いました!

 私は、和希さんとデートなので……。

 あー、じゃあ、西崎さんと食材を買って、持って来て下さい」


「えっ?何で西崎さんと?」

 柚花は、1人で買い物ができるのに、不思議に思って聞いた。


「丸山さん、和希さんのアパートまでの道を覚えていますか?

乗せてもらっていたから、分からないと思いますが?」


「あ、そういえば、家までの道がよく分からないわ。

 そっか、それで西崎さんと一緒においでってことなのね」


「和希さんの家までの道順は、少し複雑ですからね。

実は、西崎さんに話してあるので連絡をしてみて下さい。

 和希さんの家で、待ってまーす。

 じゃあ、失礼します」
 

 軽米は、そう言って電話を切った。


「ちょ、ちょっと、軽米さん?あー、切れたか……」


 これから、私が智也さんに会うの?

 昨夜、私が何をしたのか覚えていないのに?はあー。


 今朝のこともあるから、会うのは恥ずかしいけど、逢いたいという気持ちもある。

 
 柚花は、早速、智也に電話をしてみた。


「柚花のアパートに迎えに行くから、帰ったら連絡をして」


 智也から言われて、急ぎ帰り、さっとシャワーを浴びてから着替え、素早くメイクをしてから、連絡をしたのだった。
 
 
 それから、数分で智也が迎えに来たのだった。


 自宅のカーポートで柚花からの連絡を待っいたのだ。

 
「智也さん、お買い物に付き合ってもらうなんて、昨日からご迷惑をかけてしまって、すみません……」

 あー、私はキス魔になったのでしょうか?

 きっと、やらかしたのでしょうね?


「気にしなくていいよ。

柚花の作ってくれた朝食が嬉しかったから、全然、平気!」


 智也さんがそう言って、否定はしないから、相当な事をしてしまったのかしら?

 聞きたいけど、恐ろしいから聞けないよ。


「どこのお店に寄って行こうか?

 和希の家の近くにスーパーがあるから、行ってみる?」


 智也に言われて、柚花は頷いた。
  

 2人きりの空間には、カーステレオから流れる曲のみで、沈黙が続いている。

 
 何か話題がないかと柚花は考えていた。

そして、CM撮影をしたことを思い出し、柚花が突然 話す。


「あっ、そうだ、先日のCM撮影の御礼をしないといけなかったわ。

 智也さんと、たっ君と前沢さんに」


 智也は、たっ君という言葉に引っかかっていた。


「たっ君?ああ匠海のことか。

 匠海と仲がいいんだね……」

 
「え、まあ、偽嫁をしていたからね。
たっ君って、つい呼んでしまうの。

あっ、たっく、折原さんは元気かしら?」


「このところ、連絡していないけど元気だと思うよ」


 そう言って、智也はスーパーの駐車場へ入って行き、車を止めた。


「あいつ、新しい出会いがあったっぽいね。上手くいくといいな」


(俺、最低だ。柚花に匠海のことを諦めさせようとしている!

 匠海、ごめん。お前も本当は好きなんだろう?

 でも、譲ることが出来ない!ごめん)


「そっか……そっか、上手くいくといいね。良かった」


 たっ君、今度こそ幸せを掴んでね。


「あれ?匠海に彼女が出来るかもしれないのに、平気なの?」


(はっ、しまった!核心をついた質問をしてしまった!

 これは、墓穴を掘ってしまったかもしれない……。

 これで、匠海への気持ちを再確認されたら、完全に失恋決定になってしまう)


「あ、うん、ちょっと前なら、先を越されてズルイとか変な事を思ったと思うけど……。

今は……何て言ったらいいのかな?

智也さんが告白をしてくれて、少し心にユトリが出来たみたいな……。

いや、恥ずかしいな。

 あのね、智也さん……

あのね、まだ告白してくれた時の気持ちが有効なのかな……?」


「えっ?ゆうこう?有効?って聞いているの?

もちろん俺は、今も、これからも 柚花 、一筋だよ」


「あ、良かった。嬉しい……。
 じゃあ、交際をお受けします……」


 柚花は、照れながら言った。


「へっ?」
 
  
智也は、そう言ったきりで黙ってしまった……。


 突然の予期せぬ展開に、一瞬 思考回路が停止したようだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...