ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
87 / 129
さあ、始めよう!

支配人の想い

しおりを挟む
 私、丸山 柚花 29歳 独身だけど、何と彼氏が出来たのだ!

 しかも超イケメンの西崎 智也さんだ。


 嬉しさはあるけれど、浮かれてばかりもいられない。


 これから互いを知り、結婚の意思を固めていくわけだけど、この先 気持ちの変化があるかもしれない。
 

 私の経験だが、元彼は付き合っているにも関わらず、好きな 女ひとを見つけてしまって、私はふられてしまった。


 そう、それは先日 偶然 会ってしまったユキなのだ。


 一抹の不安を持っている私は、取り敢えず小銭貯金は続けていくつもりでいる。


 まあ、自分のことは置いておいて。


 今は、仕事をしないとね!

…………………

 ソフィア汽船社の原口さんと婚礼衣装モデルをする事になった倉田チーフなのだが、私は気にかかることがあった。


「倉田チーフ、それで その話しを支配人は知っていますか?」
 
 柚花が聞いてみた。

 なぜ聞いたかと言えば。

支配人が倉田チーフに好意を持っている気がするから、後で知って気分を悪くされたら嫌だなと思ったのだ。


「えっ?
 
私と原口さんが婚礼衣装のモデルをすることを?

 言ってないわよ。

総支配人に言う必要は無いでしょう?」


「まあ、そうは思いますけど、うちで合同説明会をする原口さんは船会社の人ですから、モデルをする許可をもらっていた方がいいと思いますけど?」


「うーん、それもそうかしら……。

じゃあ、許可を貰いに行ってくるわね」


 倉田チーフは、総支配人室に行ったのだ。


「根岸総支配人、許可を頂きたい事がございます。今度、ソフィア汽船社との合同説明会があって……えっと、その……」


 倉田チーフは、言い出して照れている。


「どうしましたか?」

 支配人は、仕事モードで聞いた。


「実は、その当日に婚礼衣装のモデルをする事になって……」


 倉田チーフが言いかけた時に、支配人が話しを遮る。


「え、いつだっけ?私のスケジュールは合うかな?出られるかな?」


「あ、根岸君、待って!違うの!

 そのソフィア汽船社の方と私が一緒にモデルをするのよ。

 根岸君は、忙しい人なんだから、そうそう頼めないわ」


「えっ?違うの?

 倉田さん、花嫁さんになるんでしょう?

 だったら、相手は私しかいないのに!
それは、許可できません」

 
 予期せぬ返事に倉田チーフは、言葉を失ってしまう。


(えっ?えっ?根岸君?許可できないと言った?)


「ええと、計画書は ここかな?あっ、あった。この日か、おお、私は公休日だよ!大丈夫だ、私なら花婿役ができる」


「あー、根岸君、これは先方から持ち込まれた事なのよ。

 花婿役は先方の方で決まっていて、私が指名されたという訳なの。

 だから、有難いけれど変更は出来ないので、許可だけ下さい」


「は?君を指名してきた?

とにかく、うちのホテルで説明会をするなら、うちの人間でモデルをする、と先方に話して断りなさい。いいね?」


「ちょっと、根岸君!
それは、困るわ。合同企画なんだから協力をしあわないと!本当に困るの!

 や、どうしようかしら……」


 倉田チーフは、困惑の表情を浮かべて原口に何と言ったらいいのかと考えていた。


 すると、突然 支配人が言った。


「明日、君は休みだよね?会える?」

 
「え?わかったから、お願い、許可を下さい。お願いします」


 倉田チーフは、許可が下りなかったら、自分の立場が無くなる!と思い必死に頼む。


「根岸君、聞いて。
私と原口さんがモデルをする理由は、挙式をしなかった夫婦を演じる為で、年齢的に丁度いいねってことになったからなの。だから……」


「別に君じゃなくても、丸山さんでも大丈夫なんじゃないの?
 
他の人に花嫁をしてもらいなさい。

 君はチーフなんだから、進行係りをしっかりとしなさい!

それなら、許可を出しますが、どうですか?」


プシュー…………。


 倉田チーフの全身の力が抜けた音だ。


「……はい……かしこまりました……。

 根岸君の意地悪……では失礼しました」


「じゃあ、明日のことは後で連絡しておくから」

 
 部屋を出ようとする倉田チーフに支配人が言ったが、それには無言で退室したのだった。


 倉田チーフは、内心 花嫁衣装を、今度はドレスを、着られると思い楽しみにしていたからガッカリしていたのだ。


(根岸君が、こんなに意地悪だったなんて、あー腹が立つわ!)


 少々、不機嫌でブライダルサロンに入って来た倉田チーフが言う。


「丸山さん、あなたが花嫁をやってちょうだい!まったく、あんなに分からず屋だと思わなかったわっ!」


 うわっ、倉田チーフ、機嫌悪っ!


「私が ですか?どうして……って、あっ、反対をされたんですね。

あのドレスは、倉田チーフにお似合いだと思ったんですけど、残念ですね……」


「総支配人ったら、私にチーフなんだから、進行係りをしっかりやれって言ったのよ!まったく、もう!
 で、丸山さん、やってくれるわよね?」


「そうなんですか……。
はい、かしこまりました」


 また、花嫁になるのね。

 智也さんに教えた方がいいのかしら?

 仕事だから、別に言う必要もないかな?

…………………

 そして只今、翌日の昼前。


「倉田さん、こんにちは。
お休みのところ、付き合わせて悪いね」

 
「……はぁ、こんにちは。
別にぃ、いいけど……」


ハイテンションの支配人に対して、超テンションが低い倉田チーフが、待ち合わせた他ホテルで会っている。


「他のホテルの偵察には、2人連れの方が自然だから助かるよ。ありがとう」


「……うん」


 倉田チーフは、ドレスを着れなくなった事を根に持ち不機嫌でいた。


「倉田さん、あのカフェに入ろう」


 支配人は、品の良いグレーのスーツを着ていて、倉田チーフは通勤に着用している紺色のパンツスーツ姿だった。


 倉田チーフはニコリともせず、自分から話しかけようともせず、オーダーをしてからも黙っている。


「どうしたの?何か怒っているの?」


 不思議そうに支配人が聞いた。


「別に」


 超ぶっきら棒に答えた倉田チーフ。


 これには、支配人もムッときた様子だ。


「もしかして、昨日の事を怒っているの?花嫁になりたかったの?」

 
 支配人にズバリと言われ、倉田チーフは赤面しながら言う。
 

「ち、違うわよ!でも、モデルなら私よりも若い子がいいって事なんでしょう?

 ちょっと、傷つくわよ。意地悪ね」


 倉田チーフは、ぷぃっと横を向いた。


「誤解しないで。

 私が嫌だったんだ……。

もう二度と君が、花嫁衣装で他の男の隣にいるのを見たくない!

あの日、私がどんな思いで君の花嫁姿を見ていたと思う?

自分が隣に立ちたかった……あ、はっ、しまった!

いや、今のは聞かなかった事にして」

 
 思いがけない言葉を聞いた倉田チーフは、驚いて瞬きを忘れていた。


「え?根岸君……あの頃、私のことなんて眼中に無かったでしょう?

 いつも女の子達に囲まれていたし。

元旦那と交際をする時なんて、仲を取り持ったのは あなただったでしょう?」


 支配人は、過去の自分を悔やみ下を向いて言う。


「あの頃、君への想いを自分でも分からなくて、君たちが交際を始めてから気がついたんだ。馬鹿だよな……」


「そんな……。私は、あなたに勧められたから あの人と付き合い始めたのに。

あなたが言ったから……なのに」


 倉田チーフは、うつ向いて呟くように話した。


「倉田さん……」


支配人は、顔を上げた倉田チーフを真っ直ぐに見つめて、深呼吸をして話し始める。


「この先、君が花嫁になるなら 隣に立つのは、この私だけにしてほしい。

 私は、今でも 君を愛している。

 これから先も愛していくと約束をする。

 だから私の一生の伴侶となって欲しい。

 それは、無理なことなのだろうか?」


「根岸くん……。

 ああ、どうしよう……私だって……。

私も あなたの胸に飛び込んでしまいたいの。でも……。

 私、ひとりじゃないから……。

結婚は待ってほしいけど、交際なら、たまに会うくらいなら可能かな……」


「えっ!本当に?
 
 ありがとう、夢みたいだ!

 自分でも呆れるくらい、ずっとずっと好きで、諦められなくて自分が情けなかったんだ。

はぁー、喉が渇いた」


 支配人は、コーヒーカップを持ち口に運んだ。


 カタカタ。


「やだ、手が震えているわよ」


 倉田チーフが微笑みながら言った。


「そうだよ。別に告白をするつもりは無かったのに、君が冷たい態度をするから、つい 言ってしまったんだよ。

 ああ、言ってから緊張したよ。

 拒絶されて、君とギクシャクとする事だけが怖かったんだ。

 はあ、良かった。

 やっと、君を手に入れることができる。

 長い月日を待って良かった……」


「随分と お待たせ致しました。

待っていてくれて、ありがとう。

 これからよろしくお願いします」

 
 倉田チーフは言いながら、今日の服装を後悔していた。


(あ、勝負パンツを履いていません!
てか、持っていません。

 ちょっと、買ってみようかな)


 微笑みながら、そんな事を考えている倉田チーフなのだった。
 
……………………

 その夜、柚花は智也と会っていた。


 また花嫁姿になるということを、言っていいのか迷っている。

 
 智也さんが聞いたら、気分が悪くなるのかしら?


 黙っていた方がいいのかな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...