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落ち着ける場所
運命の分かれ道
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もしも現実の世界に、時を戻せるドアがあったなら、あなたはいつに戻るのだろう?
出来る事なら、時空を超え 運命の瞬間に戻りたい。
誰にだって、今だ!と気が付かない運命の瞬間がある。
運命の瞬間とは、運命の分かれ道のことだ。
人は、その別れ道の片方を選んだ事にさえ気付かず、明日に進んでいるんだ。
軽く言った言葉が運命を転がしてゆくことさえある。
コロコロ転がって坂道を下り、二度と戻れず、前に進むしかなくなる。
そうして、その世界をそれなりに受け入れ、それなりに笑って過ごそうとする。
けれど、時の経過と共に、ああ、あの日のあの言葉さえ言わなければ、自分は、どんな人生を歩んでいたのだろうかと思うのだ。
たった一言で、自分の運命が決まってしまうんだ。
どんなに過去をやり直したくても、後悔したところで戻れるはずもないから、現実世界の日々を手探りで生きて行く。
それなりの人生をそれなりに楽しんで行くしかないのだ。
行き当たりばったりの人生だって上等だ!
などと、強がりを言ってみたりして。
だから、せめて柚花たちのいる世界の時を遡って戻してみよう。
…………………
海風公園の駐車場に車を止めて、智也が話している。
「俺、柚花を愛している。
柚花にも俺だけを想って欲しいと願っている。
でも、無理に繋ぎ止めても虚しいだけだものな……」
えっ?この流れは……
もしかしなくても、これは、別れの前台詞ですよね?
私が「ごめんなさい」と言ったからだ。
もしかして、これが運命を決めてしまう言葉になってしまうのか?
いいえ、私は直ぐに気がついたから、まだ、大丈夫……なはずだよね?
「いいよ。柚花は、匠海のところに行っていい!
柚花には幸せになって欲しいから、それでいい。
好きな人のところへと行ったらいい。
それに匠海は俺の大切な友人だし。
俺たちは、本格的に付き合っていたわけではないし、これからは、匠海の彼女として接してゆく。
柚花が心配しなくても大丈夫だよ。
今、俺が匠海に電話してみようか?」
智也が携帯電話を握りしめた。
とても辛そうな表情の中で、笑顔を作ろうとしているのがわかった。
これまでの私は、別れを告げられ素直に受け入れているから、今日まで独りでいるのだ。
誤解を受けたままでの別れは、何としても回避しなければ!
柚花は、智也が操作を始めた携帯電話を奪い取った。
「誤解しないで!人の気持ちを勝手に決めつけるな!
それに たっ君の気持ちだって、決めつけるな!失礼でしょう?
はぁ、はぁ。
私が……謝ったのは、あなたに辛そうな顔をさせてしまって、申し訳なかったから!それだけの事なの!わかった?」
柚花は、少々 喧嘩腰に言った。
「はあ?あんな風に謝ったら、こっちはフラれたと思うだろう?
携帯を返せよ!
だいたい、柚花は たっ君、たっ君って 呼んで、やけに仲良過ぎなんだよ!
その呼び方、やめろよ!」
智也も喧嘩腰になってしまった。
「何それ?呼び方にケチつけないで!
もう今さら直したら変だし、癖がついてしまったから、直しません」
柚花は、開き直っている。
とても、鼻息荒くなっているもよう。
「ふーん、じゃあ それはいいとして、柚花は俺のことをどう思っているの?」
「好きだよ……。
でもね、あなたって超モテモテでしょうから、いつ私を裏切るかわからないでしょ?
いつでも好きって気持ちにブレーキをかけられるように、一歩引いているの」
「そんなの好きのうちに入らない!
ブレーキをかけられるくらいなら、本当に好きという気持ちではないだろう?
匠海のことは、どうなんだよ?」
智也は、とても感情的になってしまい、我を忘れているようだ。
「好きだよ!でも、種類が違うの!
やっぱり友達と同じ好きなんだと思う。
この答えじゃ納得できないの?
納得してもらえないのなら、もう仕方がない……」
はっ、しまった!こんな風に答えたら、その先には別れが待っている……。
ここは、運命の分かれ道かもしれない。
(やばい、感情的になってしまった。
匠海を友達だというのなら、それでいいじゃないか。
柚花の気持ちを俺に向かせればいいだけだ!
やっと掴んだのに、その手を離してしまったら、もう手の届かない場所へと行ってしまうだろう。
落ち着け、落ち着くんだ、俺)
智也は、深呼吸をする。
ふーーー。
智也は、長く息を吐いた。
「ちょっと、外に出ようか」
智也は、頭を冷やして冷静になるために、夜の海に行こうと柚花を誘ったのだ。
柚花は、智也の一歩後ろを歩いている。
2人の間には、微妙な距離感があって沈黙のままだ。
すると、突然、智也が振り向いて柚花の手を掴んで言う。
「ごめん……感情的になってしまった!柚花、本当にごめんね。
柚花の気持ちを信じるから、このまま、俺の側にいて欲しい。
許してくれる?」
手をギュッと握られた柚花も 深呼吸をしてから返事をする。
「私こそ、紛らわしい事を言って ごめんなさい。
私も 智也さんを信じるからね……」
「あー、良かった。俺、柚花を手放そうなんて思って、すぐに後悔した。
なんて馬鹿な事を口走ったんだろう!
もう、そんな事を考えないから!
離さないから、そのつもりでいて!」
そう言って、智也が柚花を抱きしめた。
苦しいくらい、ギュッとされたと思ったら、直ぐに腕が解かれて、智也がひとこと言う。
「じゃあ、帰ろっか」
アパートに柚花を送って行ったら、智也が言う。
「今日は、帰りたくない」
「今日は、帰って下さい」
柚花に 速攻で拒否され、渋々、帰って行ったのだった。
……………………
さあ、時を現時刻に戻してみよう。
仕事から帰った柚花に 連絡をしたのは智也だった。
「こんばんは、今日は行かれなくて ごめん。急病人の代わりに仕事になったんだ」
智也が言った。
「そっか、どうして来ないのか心配していたけど、仕事だったのね。
それは お疲れ様でした。CMを見れなくて残念だったね」
「うん、見たかったから残念だけど。
ブライダルフェアーでも見れるよね?
今度、柚花もお客様としていかれない?
一緒に行こうよ」
「えっ?お客様として?は?」
出来る事なら、時空を超え 運命の瞬間に戻りたい。
誰にだって、今だ!と気が付かない運命の瞬間がある。
運命の瞬間とは、運命の分かれ道のことだ。
人は、その別れ道の片方を選んだ事にさえ気付かず、明日に進んでいるんだ。
軽く言った言葉が運命を転がしてゆくことさえある。
コロコロ転がって坂道を下り、二度と戻れず、前に進むしかなくなる。
そうして、その世界をそれなりに受け入れ、それなりに笑って過ごそうとする。
けれど、時の経過と共に、ああ、あの日のあの言葉さえ言わなければ、自分は、どんな人生を歩んでいたのだろうかと思うのだ。
たった一言で、自分の運命が決まってしまうんだ。
どんなに過去をやり直したくても、後悔したところで戻れるはずもないから、現実世界の日々を手探りで生きて行く。
それなりの人生をそれなりに楽しんで行くしかないのだ。
行き当たりばったりの人生だって上等だ!
などと、強がりを言ってみたりして。
だから、せめて柚花たちのいる世界の時を遡って戻してみよう。
…………………
海風公園の駐車場に車を止めて、智也が話している。
「俺、柚花を愛している。
柚花にも俺だけを想って欲しいと願っている。
でも、無理に繋ぎ止めても虚しいだけだものな……」
えっ?この流れは……
もしかしなくても、これは、別れの前台詞ですよね?
私が「ごめんなさい」と言ったからだ。
もしかして、これが運命を決めてしまう言葉になってしまうのか?
いいえ、私は直ぐに気がついたから、まだ、大丈夫……なはずだよね?
「いいよ。柚花は、匠海のところに行っていい!
柚花には幸せになって欲しいから、それでいい。
好きな人のところへと行ったらいい。
それに匠海は俺の大切な友人だし。
俺たちは、本格的に付き合っていたわけではないし、これからは、匠海の彼女として接してゆく。
柚花が心配しなくても大丈夫だよ。
今、俺が匠海に電話してみようか?」
智也が携帯電話を握りしめた。
とても辛そうな表情の中で、笑顔を作ろうとしているのがわかった。
これまでの私は、別れを告げられ素直に受け入れているから、今日まで独りでいるのだ。
誤解を受けたままでの別れは、何としても回避しなければ!
柚花は、智也が操作を始めた携帯電話を奪い取った。
「誤解しないで!人の気持ちを勝手に決めつけるな!
それに たっ君の気持ちだって、決めつけるな!失礼でしょう?
はぁ、はぁ。
私が……謝ったのは、あなたに辛そうな顔をさせてしまって、申し訳なかったから!それだけの事なの!わかった?」
柚花は、少々 喧嘩腰に言った。
「はあ?あんな風に謝ったら、こっちはフラれたと思うだろう?
携帯を返せよ!
だいたい、柚花は たっ君、たっ君って 呼んで、やけに仲良過ぎなんだよ!
その呼び方、やめろよ!」
智也も喧嘩腰になってしまった。
「何それ?呼び方にケチつけないで!
もう今さら直したら変だし、癖がついてしまったから、直しません」
柚花は、開き直っている。
とても、鼻息荒くなっているもよう。
「ふーん、じゃあ それはいいとして、柚花は俺のことをどう思っているの?」
「好きだよ……。
でもね、あなたって超モテモテでしょうから、いつ私を裏切るかわからないでしょ?
いつでも好きって気持ちにブレーキをかけられるように、一歩引いているの」
「そんなの好きのうちに入らない!
ブレーキをかけられるくらいなら、本当に好きという気持ちではないだろう?
匠海のことは、どうなんだよ?」
智也は、とても感情的になってしまい、我を忘れているようだ。
「好きだよ!でも、種類が違うの!
やっぱり友達と同じ好きなんだと思う。
この答えじゃ納得できないの?
納得してもらえないのなら、もう仕方がない……」
はっ、しまった!こんな風に答えたら、その先には別れが待っている……。
ここは、運命の分かれ道かもしれない。
(やばい、感情的になってしまった。
匠海を友達だというのなら、それでいいじゃないか。
柚花の気持ちを俺に向かせればいいだけだ!
やっと掴んだのに、その手を離してしまったら、もう手の届かない場所へと行ってしまうだろう。
落ち着け、落ち着くんだ、俺)
智也は、深呼吸をする。
ふーーー。
智也は、長く息を吐いた。
「ちょっと、外に出ようか」
智也は、頭を冷やして冷静になるために、夜の海に行こうと柚花を誘ったのだ。
柚花は、智也の一歩後ろを歩いている。
2人の間には、微妙な距離感があって沈黙のままだ。
すると、突然、智也が振り向いて柚花の手を掴んで言う。
「ごめん……感情的になってしまった!柚花、本当にごめんね。
柚花の気持ちを信じるから、このまま、俺の側にいて欲しい。
許してくれる?」
手をギュッと握られた柚花も 深呼吸をしてから返事をする。
「私こそ、紛らわしい事を言って ごめんなさい。
私も 智也さんを信じるからね……」
「あー、良かった。俺、柚花を手放そうなんて思って、すぐに後悔した。
なんて馬鹿な事を口走ったんだろう!
もう、そんな事を考えないから!
離さないから、そのつもりでいて!」
そう言って、智也が柚花を抱きしめた。
苦しいくらい、ギュッとされたと思ったら、直ぐに腕が解かれて、智也がひとこと言う。
「じゃあ、帰ろっか」
アパートに柚花を送って行ったら、智也が言う。
「今日は、帰りたくない」
「今日は、帰って下さい」
柚花に 速攻で拒否され、渋々、帰って行ったのだった。
……………………
さあ、時を現時刻に戻してみよう。
仕事から帰った柚花に 連絡をしたのは智也だった。
「こんばんは、今日は行かれなくて ごめん。急病人の代わりに仕事になったんだ」
智也が言った。
「そっか、どうして来ないのか心配していたけど、仕事だったのね。
それは お疲れ様でした。CMを見れなくて残念だったね」
「うん、見たかったから残念だけど。
ブライダルフェアーでも見れるよね?
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