ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
99 / 129
番外編

幸せをかみしめて

しおりを挟む
私、丸山 柚花 30歳。

 いや、違う、西崎 柚花 になったんだ。

 今だに、新しい苗字に慣れなくて、呼ばれても返事をしない事が多々ある。

 近頃では、仕事の時は“丸山”で通した方がいいかもしれないと感じている。

 その仕事の方は とても順調で、昨秋の合同挙式に参加してくれたお客様の関係者が、新たなお客様になってくれたりして嬉しい限りだ。


 そのことに気を良くした私たち婚礼スタッフは、次は船旅を抜きにした合同挙式フェアをやろうかと計画をしているところ。


「……さん、西崎さん!西……もう、丸山さんっ!」


「あ?はい、倉田チーフ、すみません、何でしょうか?」


「もう!あなたは丸山さんって呼んだ方がいいのかもね!今はミーティング中ですよ。
ボーっとしないで下さい」


「は、はい、すみません!」


 柚花は、またやってしまった!という顔をした。


「さて、皆さん、合同挙式第2弾の話しですけど、昨年の第1弾を思い出し、その時の反省を踏まえて、内容を詰めていきたいと思います。 明後日までに、それぞれ内容を考えてきて下さい」


 倉田チーフから宿題を出されたけれど、明後日までって、思いつくかな?


「丸、西崎さんは、主婦だから宿題を出されても、考えている暇がないですよね?」


 駐車場までの帰り道で、軽米さんが聞いてきた。
 

「軽米さん、丸山でいいよ。そうね、一応、主婦だからね。でもねー、だいたい旦那様の方が私より帰りが早いから、色々と家事をしてくれるのよ。けどね、けどね、ご飯は作れないの。
私の作る物が最高なんだって!ふふふん」


 柚花がにやけて言った。


「……あっ、そうですか。それは、ご馳走さまです……」


(心配した私がバカだったか。
それにしても、羨ましすぎる!和希さんも協力的になるのかな?)


「丸山さんが家事分担をお願いしたんですか?」
 

「え?私の方が帰りが遅い時に、洗濯物を取り込んで欲しいって言ったら、畳んで置いてくれて。で、すっごく褒めてあげたら、お風呂掃除までしてくれるようになって……」


「へえ、凄い!褒めるのがコツですね。
なるほど、参考にします」


「ちょっとだけオーバーに褒めるのよ!」

…………………

 チャポ……チャポン。


「ふぅ。うーん、この入浴剤、いい香り!
やすらぐわぁ」


 柚花は、柚色の湯に浸かりリラックスしたのも束の間、すぐ仕事の事を考える。


 第1弾の方は、ソフィア汽船社とのコラボ企画だったのよね。


 原口さん、元気にしているかしら?


 はっ、そんな事を考えている場合でない!


 昨年の合同挙式は……

……………………

 希望する方は、結局4組だった。

 あの時は、宣伝コミの大御奉仕の為、スタッフの人数に限りがあったから、ホテル側としては、少なくて良かったのかもしれない。

それは、昨年10月のある日。

「さあ、いよいよ本番です。本日は、既に花嫁支度に入っているメイク担当の吉田さん、金木さん、ヘア担当の湊さん、松本さんにも花嫁介添えを手伝ってもらいます。
 スタッフの人数が足りないくらいですが、力を合わせて良い挙式にしていきましょう」


 倉田チーフの言葉にスタッフ達は、真剣な顔で頷いた。


「では、皆さん、よろしくお願いします」


 いつものように倉田チーフが気合いを入れた。


「よろしくお願いします!」


 皆の気合いが入った瞬間だ。


 よし、お客様が笑顔になれる挙式を目指して、頑張ろう。


 今、ブライズルームで支度中なのは、50代ご夫婦の谷川様、40代ご夫婦の吉野様の奥様方で、御主人方はブライダルサロンで着替え中なのよね。


 「倉田チーフ、谷川様、吉野様のお支度状況を見てきます」


「はい、お願いしますね」


プルルルル……。


 スタッフルームの電話が鳴った。


「はい、ブライダル 倉田です。はい、はあ?今、そちらに向かいます」


「外崎さん、ちょっとフロントへ行ってきます」


「はい。何かあったんですか?」


「あ、うん、よく分からないから、行ってみるわ……」


 倉田チーフは、急いでフロントへと行ったのだった。


(この忙しい時に何事だろう?)


…………………


 ここはブライズルーム。


「まあ、谷川様、とても素敵です。御主人の支度も整っていますから、これからお写真を撮りに行っていただきます。まもなく、迎えがやって来ます」


「本当ですか?お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」


 谷川様の奥様は、幸せそうな笑顔で言ってくれたから、私も嬉しかった。


 ドレス選びの時、一時は挙式を辞めるとまで言っていたから、本当に良かったわ。


 吉野様のお支度は、どうかしら?


 柚花は、もう一つの支度部屋を訪ねる。


「わあ、吉野様、とてもお似合いです!
そのマーメイドラインドレスいいですね」


「そうですか?嬉しい。でも、背中が大きく開いているから、恥ずかしいのよ……。
少し寒いくらい……。ふ……」


 吉野様の奥様が何かを言いかけたから、柚花は何だろうと思った。


「ふ?」


「ふあっ、ふあっ、ファックショーン!」


  キツン!


「あ、イタタ……痛い!」


「吉野様、どうしましたか?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...