ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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番外編2

渾身の作?

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 倉田チーフは、恒例のイベントをするというアナウンスをしている。


「……と、私どもは考えておりましたが、新郎様より ご提案がございまして、その案を実行することと、致しました」


 チャペル内は、何が始まるのかと、少しざわっとした。


「本日は、恒例のブーケトスではなく、神様にお許しを頂きまして、ブーケ争奪ジャンケン大会を行います。

ご両親様も含めて、全員参加していただけます」


「えー!ジャンケン?」


そんな声が聞こえてきた。


「尚、ブーケは皆様から頂いたお花ではなく、新郎 智也様の特別仕様のブーケなのだそうです。

新郎とのジャンケンに勝てば、プレゼントされるそうです。

さあ、どんなブーケでしょうか?
私どもも、楽しみにしております」


チャペル内は、ザワザワとしていた。


 軽米は、荷物を取りに行ったため、祭壇上に2人きりでいる柚花と智也は、コソコソ話す。


「新婦の私にも、秘密にしていたブーケって、どんなかな?ワクワクしちゃう」


「そんなにハードルを上げないでくれ!
期待しないで……。
まずい、出しにくくなった……」


「智也様、皆様、準備はよろしいでしょうか?

さあ、始めますよ。
手を上にお願いします」


智也は、右手を高く挙げ、ジャンケンの準備をする。


「じゃんけん……グー!」


智也がグーを出すと、チャペル内は勝った、負けたという、どよめきがおこった。


「勝った方が沢山いらっしゃいますね。
負けた方と、合いこの方は、お座り下さい。

では、次もお願いします。
はい、ジャンケン……」


「グー」


智也がまたグーを出したから、笑いがおきた。


「あら、まあ!新郎お父様と新婦お父様が、お揃いで残っておいでですね。

さあ、残った方々、いきますよ……。
ジャンケン……」


「グー」


 またまた智也がグーを出したから、チャペル内は盛り上がった。


「何だよ、またか!」


「ああ、負けた」


「あ、もう4人の方です。
両家お父様方は、残念、負けてしまいましたね。

では、残った方のお名前をお聞かせ下さい」


 外崎がマイクを持って、新郎側へと向かう。


そして、マイクを向ける。


「え……はい、新郎友人の杉野です」


次も新郎側だ。


「あ、友人の折原です……」


匠海は、小さめの声で言った。


その次も新郎側だ。


「叔母の歌川です」


 もう1人のゲストは新婦側で、緑川がマイクを向けた。


「は、はい、私は、ま、丸山、鯛造と申しますっ!
タイは、お頭付きの鯛で、ゾウは、造船の造です!海辺育ちです、はい!

柚花の親父おやじの弟です。
皆さん、柚花をよろしくどうぞ」


 チャペルは、笑いに包まれた。


 うわぁ、そんな事まで言わないでもいいよ!鯛造叔父ちゃん……舞い上がっちゃったか……。でも、ありがとう。


 ゲストの笑顔に手応えを感じながら、倉田チーフは、更に盛り上げる。


「鯛造様、自己紹介をして頂きまして、ありがとうございました。

それでは、今から4人のゲスト様だけで、その場でジャンケンをなさって下さい。

よろしいですか?せーのーで……ジャンケン ポン!」


「まあ、1回で勝負がつきましたね!

特別仕様のブーケを獲得したのは、新郎側の友人、杉野様です!

おめでとうございます!

どうぞ前へいらして下さい」


 大学生時代の友人である杉野は、喜んで、前へとやって来た。


「杉野様、おめでとうございます。
では、後ろを向いて、新郎とお話しをなさっていて下さい。

決して振り向かないで下さいね」


 倉田チーフが言うと、新婦側の後方席に、浅い籐籠を持った緑川がやって来た。


「では、皆様には先にブーケをご披露いたします。

ご覧下さいましたら、どうかご内密にお願い致します」


「どうぞご覧下さい。あ、内緒ですよ!」


 そう言って、少しニヤけた緑川が、新婦側ゲストにブーケを見せながら、自分の口に人差し指を立てる動作をしている。


「えっ!」「何、これ?」「真っ白!」


「あっ!はっはっはっ……」「へぇ」


 そんな言葉や笑い声が聞こえてきて、どんなブーケか知らない軽米も気になってきた。


 そして、緑川が軽米の前を通り過ぎた。


「は?何、今の?」


 思わず言葉にしてしまった軽米は、口を押さえた。


(ヤダ、あれがブーケ?なの?
もう、笑いを堪えるのが大変!)


 緑川が祭壇下に来ると、外崎が籐籠を引き継いだ。


その時、柚花もブーケを見てしまい、外崎と同時に、


「ぶっ……」となったが、お互い堪えた。


 外崎も緑川と同じように、新郎側ゲスト席を回る。


 智也さんって、けっこうお茶目だったのね……。


 倉田チーフは、ブーケを見て目が点になり、ゲスト達は口を押さえ、笑いを我慢している様子だった。


「何?西崎、どんなブーケなんだよ?
なんかさ、笑いが聞こえてる気がするけど?変な物なのか?嫌だなあ。
臭い物とかヤダからな!」


 杉野がいぶかしむ。


外崎が最後席のゲストに見せ終わると、ブーケを紙袋に入れて智也に渡す。


 智也は、杉野にゲストの方を向くように促し、目の前にブーケを差し出した。


すかさず軽米が、智也にマイクを向ける。


「はい杉野、おめでとう!

このブーケをもらった者には、サラダを作ってくれる人が現れる!という御利益があるぞ!良かったな!」


「?」


 ブーケを受け取った杉野は、考える。


「は?これ……ブーケなのか?

俺の記憶が間違っていなければ、この白い、立派なモコモコは……カリフラワーで、緑のフリフリはパセリ……?

えっ?カリ……フラワー、花?

もしかして、花のつもり?
はああ?何だそれ!ぶはっ、はっはっ」


 それから、倉田チーフの仕上げのアナウンスが始まる。


「杉野様、その通りでございます。

白いカリフラワーにグリーンのパセリを合わせ、ピンクのリボンでまとめ上げた、新郎 智也様の渾身の作だそうです。

是非、ご自宅で、お召し上がり下さい」


(倉田チーフ、初めて見たブーケなのに!打ち合わせたように話してる!
流石だなあ!)


智也は、感心していた。


「尚、そのブーケを受け取った方には、特別に……。

新郎 智也様より、新鮮葉付き大根1本と和風ドレッシングがプレゼントされます。

おめでとうございます」


「えっ、何だって?ハツキダイコン?って、何で大根?嘘だろう?重いだろう?」


「ほら、せっかくの大根なんだし、ちゃんとに食えよ!」


智也から、手提げ紙袋を受け取り、中を見る。


「ありがとう……って、小さっ!この大根、葉っぱがあるけど、すげー短いな……白い部分が俺の中指位だぞ。こんな大根があるのかぁ。
まあ、とにかく、ありがとう、今日はおめでとう!」


 杉野は、葉付き大根を取り出し、ゲストに見せて言う。
 

「皆さん、カリフラワーと小さい大根とドレッシングを頂きました!
ありがとうございました!」


 チャペル内は、盛大な拍手と笑いに包まれた。


 柚花と智也は、顔を見合わせ笑う。


柚花は、この瞬間を目に焼き付けようと、チャペル内をぐるりと見回した。


あ、披露宴会場にいるはずの野村さんが来ている。


思いっきり、拍手をしてくれている。


野村さん、ありがとう。


 それに軽米さん、緑川さん、外崎さん、倉田チーフ、仲間全員が来てくれて、盛り上げてくれて、ありがとう。


お陰様で何とか、無事に挙式が終わりました。


良かった。

…………………

 柚花と智也は、一旦ブライズルームへ戻るため、新郎新婦専用裏通路を歩いている。


ドレスの裾を持って歩く軽米が聞く。


「西崎さん、どうしてサラダの野菜が、大根になったんですか?」


「そうそう、それ、私も気になったわ!サラダと言ったら、レタスでしょ?」


「えー、丸山さん、違います。
サラダならキュウリでしょう?
大根は、煮物やおでんかと?」


「いいでしょ、別に。
大根だって、生で食べられるしね。

お、俺には、特別な野菜なんだから!」


 智也は、柚花の寝言が忘れられなかったのだ。


(きっと、結婚と言いたいところを大根と言ったのだろう)


「えー!特別?何だか、動揺しているみたいだわ……俺って言ってるし。

まあ、いいけど。

次は、披露宴だわ。
軽米さんと皆んなに、また お世話になります。

よろしくお願いしますね」


「はい。お任せ下さい」


 軽米は、張り切って返事をした。


(ああ、お腹が空いた。今日は、私たちも裏で、ステーキをご馳走になれる!
いつもいつも、外食は、うどんだし、多少、冷めていたってかまわない、久々の肉よ、牛肉よ!待ち遠しい!)


「丸山さん、披露宴、楽しみです!」


「えー、そうなの?軽米さん。
あー!今度は私が頑張る番だわ。
どうしよう、今から緊張してきちゃった……」


「頑張れ、柚花!」
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