あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第13章 そのラブコメ、本当に必要ですか?

第147話 やっぱり最後は・・・

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「やっぱり負けるのは悔しいよ。そう思うのは自然な事だから、泣いたっていいんだ」

 ウェルシェは自分の頬に当てられたエーリックの手に自分の手を重ねた。

「エーリック様……」

 見つめ合うウェルシェとエーリックは互いに優しく微笑みを交わす。

「ありがとうございます……お陰で元気がでましたわ」
「いや、ウェルシェの力に少しでもなれたなら嬉しいよ」

 少し明るさを取り戻したウェルシェの微笑みはいつもより柔らかいようにエーリックには見えた。

 なかなか良い雰囲気ムードである。

(これはもう少し行けちゃうんじゃない? このまま行けちゃう? 行っちゃう?)

 この恋人ムードにエーリックはスケベ心を出した――もっと強く抱きしめて巨乳を堪能しようかな、と。

「お取り込み中のところ申し訳ございませんが……」

 だが、レーキが二人を引き剥しにかかった。
 ウェルシェは次の競技が控えているからだ。
 
「お着替えの時間がなくなってしまいます」

 ジョウジもそっとウェルシェに耳打ちした。

「あっ!?」

 一気にウェルシェの顔に血が上る。

 試合を終えたばかりで、自分が汗だくの競技服のままだと今さらながら気がついたのだ。

「わ、私、こんな汗臭い格好で……も、申し訳ございません!」

 なんたる乙女にあるまじき醜態!

 頬に手を当てれば羞恥心に顔がカァッと熱くなっているのが分かり、ウェルシェはますます恥ずかしくなって顔を両手で覆った。

(何で? どうして? 私、私……もう! もう! もう!)

 ウェルシェはもう恥ずかしさに内心でもだえまくりだ。

(こんなみっともない姿ばかりエーリック様に晒して……ああ、もう!!)

 今日のウェルシェはホントに失態の連続だ。
 穴があったら入りたい気持ちが良く分かる。

「だ、大丈夫だよ、良い匂いだったからさ」
「淑女の汗の臭いを嗅がないでくださいまし!!」

 エーリックの無神経な追い討ちフォローがウェルシェにもをえぐった。あまりの羞恥心にウェルシェは顔を両手で隠したまま頭をブンブン振る。

「でもホント良い匂いなんだよ」

 そこへボソッと呟いたエーリックエロリックの余計な一言がとどめとなった。

「エーリック様!!!」
「ご、ごめん!」
「もう、エーリック様なんて知りません!」
「あっ、ウェルシェ!?」

 珍しくウェルシェに非難の声をかけられエーリックは慌てふためき謝ったものの、いよいよ居た堪れなくなったウェルシェは顔を隠したまま走って逃げた。

「お、お待ちください!」
「一人になるのは危険です!」

 護衛のレーキとジョウジが慌てて走り去るウェルシェを追った。

 そして、ウェルシェの「もう知りません!」にショックを受け、エーリックは彼女の背中を呆然と見送ったのだった。
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