あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第14章 その最終局面、本当に必要ですか?

第154話 どこまでいっても・・・

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「これでウェルシェから婚約破棄されたら僕もう生きていけないよ!」

 絶望の表情で頭を抱える主君エーリックにスレインは慌てた。

「ウェルシェ様がそのような理不尽な真似をするはずありません!」
「だけど、結婚できてもウェルシェから変態って思われ続けるんでしょ?」
「え、えーと……」

 なんとフォローしてよいか考えあぐねてスレインはすぐに対応できない。その反応が全てを物語っていた。

「うわぁん! 僕はこれからウェルシェに変態王子って汚物を見るような目で見られるんだぁ!!」
「すみません、すみません、すみません、エル様は変態王子なんかじゃありませんから!」

 大好きな婚約者に変態王子と言われるのを想像しただけでエーリックは死にたくなる。これなら廃嫡を言い渡される方が万倍マシだ。

 そう考えた途端、すんっとエーリックの表情が真顔に戻った。

「よし、王子やめよう」
「なんでそうなるんです!?」
「変態王子よりただの変態の方がまだマシじゃん!」
「そういう問題ですか!?」

 あまりの絶望感にエーリックは取り乱し、あらぬ方向へ暴走を始める。スレインはそれを止めるのに必死だ。

 ギャーギャーギャーギャーと騒ぐエーリックとあたふたするスレイン。

「ちょっと殿下、人目があるんですから、あんま騒がんでください」

 この愉快な主従エーリックとスレインが周囲の目も気にせずわちゃわちゃ騒いでいるところにセルランが戻ってきた。

「セ、セルラン、お前いったい今までどこへ行っていたんだ!」

 大変だったんだぞとスレインが恨み節をぶつけてきたが、セルランとしても遊んでいたわけではない。

「ちょい、レーキ達から情報を聞き出してたんだよ」

 先程までセルランは更衣室の前で見張りをしていたレーキ達と接触していた。当然、ケヴィンの動向について確認するためである。

「レーキ・ノモ!!」

 その人物名にエーリックが過剰反応を示した。

「そ、それで、ウェルシェは僕をどう思ってるって?」
「ケヴィンの事よりそっちですかい!?」
「最重要事項じゃないか!」

 僕は変態王子じゃない、僕は変態王子じゃない、と呟きやや壊れ気味のエーリックにさすがのセルランも引き気味だ。

「いや、姫さんはちょうど更衣室へと入っていったんで……」
「更衣室!?」

 じゃあ今シャワーを浴びているとこ、と妄想をたくましくさせたエーリックがニヘニヘ笑う。その姿に「そういうとこだぞ」とセルランは貴公子然とした外見は非常に良い残念王子に呆れた。

 だが、これではケヴィンが学園に潜入しているなどと教えたらエーリックは暴走しかねない。

 きっと、エーリックはウェルシェの傍から離れなくなるだろう。そうなればケヴィンの犯行を未然に防げるかもしれないが、それはケヴィンを排除しようとしているウェルシェの思惑から大きく外れる。

 ウェルシェの企みを知るセルランは、もうしばらくはケヴィンについて黙っておく事にした……
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