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頭脳 カールside
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「誰かから聞いた訳じゃありません。でも自分の中ではほぼほぼ確定事項だったので…」
ライと俺の執務室に着いてから数分後。
ライがあの言葉を発言した時部屋の空気が凍った。別にライにバレたのがやばいからという理由ではない…いや、それもヤバイのだが…問題はライがそれに気が付いた方法だ。
誰かがライに情報を流した可能性は0であることは分かっていた。そんなことされれば今頃とっくに騎士団内で噂になってるだろうから。
壁に耳あり障子に目あり…どんな会話も防音魔術をかけない限りいつの間にか誰かに聞かれて漏れているものだ。
だからライが自分で気が付いたんだということはすぐに分かった。それと同時に恐ろしくも感じた。
ライはまだ一年目の新人騎士。しかも最年少。成長すればもっと強く聡くなっていくだろう。今でさえこんなに頭が切れるのに成長したらどうなるのか…
今でこそまだ俺らの方が実力的にも勝っているからライを指導できるしダメ出しできる。でも俺らだっていつまでも現役な訳じゃない。当然ながら引退するしその時期は年齢的に見てもライより早いだろう。
まあ班長唯一の魔族であるラズはどうなるかはわからないが。魔族は平均年齢が俺らの何倍もあるからな。だがラズだって管轄は第六班。会う機会はあまりないだろう。
だからもし俺らが引退した後…ライと張り合える奴はいるのだろうか…
そんな考えばかりが頭を巡る。
「取り敢えず、どういう手順でわかったのか教えてくれるか?」
「はい…まず…」
ライが教えてくれた考えに成る程と納得した。確かに国内No.1の軍事力の国直属の騎士団に潜入者が入る可能性を考えない方が変か。
もしかしたら今まで言ってこなかっただけで他にも気付いてる人はいるかもしれないな。
にしても気付くスピード異常だけどな。聞けば入団一ヶ月後には気付いてたとか…速すぎるだろ。監視の意味ねぇじゃん。
「なんか…すみませんでした」
「いやライは悪くねぇだろ…再度言うがこの事は他言無用で頼む。後、協力宜しくな」
「はい。出来る限り協力します」
訓練があるからと戻っていったライを見送り俺も作業に取り組む。
にしても…
「いつまでお前らは居るつもりだ…さっさと仕事に戻れ」
先程から俺の部屋の至るところに隠れていた班長達がゾロゾロと出てくる。仕事でもないのに息を殺して聞き耳を立てる徹底ぶりに呆れる。
ライの話を聞いていたいのなら言えばいいのに。ライも別に気にしないだろ…というか盗み聞きされる方が嫌だろ。
「いや…悪気はなかったんだよ…でも気になるじゃん?」
「だから言えばよかっただろ…それにあの様子だとライも気付いてたぞ。気配消すなら完璧に消せ」
「…え、気付かれてた?まじ?てかなんで分かったの?ライ無表情で何も反応しなかったくね?」
「オーラ見れば」
「「「いやわかんねぇよ!/わかりませんよ!」」」
「…そうか?」
「オーラ見るってなんだよ…やっぱり一緒にいる時間が長いからか…?」
「…彼女が笑ってるところも泣いてるところも見たことありませんよね」
まあライは入団してきた当初から無表情だったからもう何も思わない…というか逆にライが笑顔で話してたら一回偽物を疑うと思う。
「…ライは喜と楽の感情は何となく分かりますが怒と哀は全く見ませんよね」
「「「確かに/そうですね」」」
「俺も…ライが怒ってんの一回しかねぇな」
「え、ライ怒ったんですか?」
「ああ…普通にキレてたな…相手の腕噛み千切ってたし」
「ああ…数ヵ月前の森の異常事件の時のですか?…あれ、キレてやったんですね」
「仲間思いってことがわかって少し安心したけどな…ちゃんとライの拠り所になっていたようで…」
「…わかってはいましたがカールも大分ライに甘いですよね」
「まあライはそれなりの努力をして今の実力を得ているからな…カールみたいな熱血タイプは甘やかしたくなるんじゃね?」
「そう言うお前らもライに甘いじゃねぇか」
「いいだろ~何となく目が離せないんだよ…ワンパク子供の面倒を見る親の気持ち的な」
「「「あ~わかる/わかります」」」
なんて、ライが聞いたら耳を疑うような会話をする…というかこれ、本人の耳に届かないか不安だ。
ライの今までの言動を見るにこれまでまともな生活をおくってない。
一日三回食事を取ることに驚いているのを見た時にはこっちが倒れそうだった。逆に今まで何食だったのか…聞くのも怖い。
まあそんなわけでまともな生活ではないってこと、またいつまで経っても変わらない無表情…過去に何かあったんだろうなということは容易に想像がつく。
その過去のせいかライは自分の話題をさせることに敏感だ。目の前で話すのはまだいいが、噂伝手で聞くとかなり敏感になる。
班長達にその事を話し口止めして部屋から追い出す。同じ階級だから同じぐらい忙しい筈なのに何故あんなにゆったり出来るのだろうか…
謎に思いながらも書類を捌いていく。
「にしても…グラード王国、か…」
戦争は避けたいが…そうもいかない、か。少しずつ軍事力を上げておくべきかな…戦争勃発はそう遠くない未来で起こるだろう…
ライと俺の執務室に着いてから数分後。
ライがあの言葉を発言した時部屋の空気が凍った。別にライにバレたのがやばいからという理由ではない…いや、それもヤバイのだが…問題はライがそれに気が付いた方法だ。
誰かがライに情報を流した可能性は0であることは分かっていた。そんなことされれば今頃とっくに騎士団内で噂になってるだろうから。
壁に耳あり障子に目あり…どんな会話も防音魔術をかけない限りいつの間にか誰かに聞かれて漏れているものだ。
だからライが自分で気が付いたんだということはすぐに分かった。それと同時に恐ろしくも感じた。
ライはまだ一年目の新人騎士。しかも最年少。成長すればもっと強く聡くなっていくだろう。今でさえこんなに頭が切れるのに成長したらどうなるのか…
今でこそまだ俺らの方が実力的にも勝っているからライを指導できるしダメ出しできる。でも俺らだっていつまでも現役な訳じゃない。当然ながら引退するしその時期は年齢的に見てもライより早いだろう。
まあ班長唯一の魔族であるラズはどうなるかはわからないが。魔族は平均年齢が俺らの何倍もあるからな。だがラズだって管轄は第六班。会う機会はあまりないだろう。
だからもし俺らが引退した後…ライと張り合える奴はいるのだろうか…
そんな考えばかりが頭を巡る。
「取り敢えず、どういう手順でわかったのか教えてくれるか?」
「はい…まず…」
ライが教えてくれた考えに成る程と納得した。確かに国内No.1の軍事力の国直属の騎士団に潜入者が入る可能性を考えない方が変か。
もしかしたら今まで言ってこなかっただけで他にも気付いてる人はいるかもしれないな。
にしても気付くスピード異常だけどな。聞けば入団一ヶ月後には気付いてたとか…速すぎるだろ。監視の意味ねぇじゃん。
「なんか…すみませんでした」
「いやライは悪くねぇだろ…再度言うがこの事は他言無用で頼む。後、協力宜しくな」
「はい。出来る限り協力します」
訓練があるからと戻っていったライを見送り俺も作業に取り組む。
にしても…
「いつまでお前らは居るつもりだ…さっさと仕事に戻れ」
先程から俺の部屋の至るところに隠れていた班長達がゾロゾロと出てくる。仕事でもないのに息を殺して聞き耳を立てる徹底ぶりに呆れる。
ライの話を聞いていたいのなら言えばいいのに。ライも別に気にしないだろ…というか盗み聞きされる方が嫌だろ。
「いや…悪気はなかったんだよ…でも気になるじゃん?」
「だから言えばよかっただろ…それにあの様子だとライも気付いてたぞ。気配消すなら完璧に消せ」
「…え、気付かれてた?まじ?てかなんで分かったの?ライ無表情で何も反応しなかったくね?」
「オーラ見れば」
「「「いやわかんねぇよ!/わかりませんよ!」」」
「…そうか?」
「オーラ見るってなんだよ…やっぱり一緒にいる時間が長いからか…?」
「…彼女が笑ってるところも泣いてるところも見たことありませんよね」
まあライは入団してきた当初から無表情だったからもう何も思わない…というか逆にライが笑顔で話してたら一回偽物を疑うと思う。
「…ライは喜と楽の感情は何となく分かりますが怒と哀は全く見ませんよね」
「「「確かに/そうですね」」」
「俺も…ライが怒ってんの一回しかねぇな」
「え、ライ怒ったんですか?」
「ああ…普通にキレてたな…相手の腕噛み千切ってたし」
「ああ…数ヵ月前の森の異常事件の時のですか?…あれ、キレてやったんですね」
「仲間思いってことがわかって少し安心したけどな…ちゃんとライの拠り所になっていたようで…」
「…わかってはいましたがカールも大分ライに甘いですよね」
「まあライはそれなりの努力をして今の実力を得ているからな…カールみたいな熱血タイプは甘やかしたくなるんじゃね?」
「そう言うお前らもライに甘いじゃねぇか」
「いいだろ~何となく目が離せないんだよ…ワンパク子供の面倒を見る親の気持ち的な」
「「「あ~わかる/わかります」」」
なんて、ライが聞いたら耳を疑うような会話をする…というかこれ、本人の耳に届かないか不安だ。
ライの今までの言動を見るにこれまでまともな生活をおくってない。
一日三回食事を取ることに驚いているのを見た時にはこっちが倒れそうだった。逆に今まで何食だったのか…聞くのも怖い。
まあそんなわけでまともな生活ではないってこと、またいつまで経っても変わらない無表情…過去に何かあったんだろうなということは容易に想像がつく。
その過去のせいかライは自分の話題をさせることに敏感だ。目の前で話すのはまだいいが、噂伝手で聞くとかなり敏感になる。
班長達にその事を話し口止めして部屋から追い出す。同じ階級だから同じぐらい忙しい筈なのに何故あんなにゆったり出来るのだろうか…
謎に思いながらも書類を捌いていく。
「にしても…グラード王国、か…」
戦争は避けたいが…そうもいかない、か。少しずつ軍事力を上げておくべきかな…戦争勃発はそう遠くない未来で起こるだろう…
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