45 / 55
45
しおりを挟む
「うっわ!アル今日も一人!?連日雨降るじゃん!みんな傘出しとけよー!」
「・・・俺は急速に発達する雨雲か?」
午後の授業が終わり、鞄にポイポイ勉強道具を片付けていると、ピノが大袈裟に騒ぎ出す。
真剣な顔して『それとも雪か・・・?』としつこいピノの尻に遠慮なく蹴りを入れて、俺はあの深緑色の屋根の寮へ足を進めた。
いつもなら・・・、いや、"いつも"って言い方、"それが日常です"って言ってるようなもんだから何か小っ恥ずかしい。
・・・・・・・・・・・・で、話戻すと、いつもならあいつが一緒だから、転移魔法で一瞬で寮到着なんだけど。
俺は徒歩。
『危ないから』と転移魔法陣を組んだ魔石を渡されそうになったけど、そんな代物使いこなせないし、それ一つで多分城下に豪邸が建つぞ。
"御守り"だという腕輪を常に付けておくことを条件に、魔石は受け取らなかった。
あいつは不満げな顔だったけど、俺はこの歳で借金を背負いたくない。
パートナー寮は他の寮よりも遠いところに建っていて、なかなか歩きごたえがある。
こうやって歩いても、まだ見慣れたものは何一つない。新鮮な気持ちになる。
変な言い方だけど、"見慣れない通学路"だ。
大会後、あのルーク先輩(実は生徒会役員だった)の魔法は翌朝には無事解けて、俺は心底安堵した。
『コタの花みたいで可愛かったのに残念。』と微笑むのは、フィンリー・エバンズ。ちなみにコタの花っていうのは、凍えるような寒い季節に咲く真っ赤な花のこと。
『揶揄ってんのか!』って憤慨したら『?それくらい美しかったってことだけど?』とド真面目な顔で額にキスされた。
ええ。ええ。
ご想像の通り、また俺はコタの花ですよ。
・・・・・・・・・・・・ぐわぁぁぁぁああああ!
ま、まずい!また余計なこと思い出して一人悶えてしまった!
よかった!今日も!一人で!見慣れない通学路でぇぇ!
スー・・・ハー・・・(深呼吸)
よし、落ち着け俺。
是式の事で悶えてどうする。
これまであいつとの出来事で何回羞恥に耐えてきたと思ってるんだ。
「・・・・・・でも多分今日もあいつ居ないな。」
じゃあ別に悶えてもいいか。
いや、よくはない?
でも一人だしな。
パートナー部屋を覗き見るような奴居ないし。
あいつが帰ってくるまでこの俺の情けない悶え姿を誰にも見られる心配はないってわけだ。
「・・・・・・・・・一人で何やってんだ。帰ろ。」
そうだ。俺はまだ寮に帰る途中。
さっさと帰って課題やって飯食って風呂入って寝る。
平穏っちゃ、平穏なんだけど、さ。
・・・おっと、あぶねぇ。危うく悶えそうなこと言いそうになった。
気を取り直して前を向く。
石ころ蹴ったり。
野良猫に手振ったり。
そんなことしてるうちに、深緑色の屋根が見えてきた。
そろそろ気になるだろ?
何で、あいつが居ないのか。
『卒業前にどうしてもしておきたいことがあって』だとさ。
かれこれ十日ほど、あいつは寮に帰って来ない。でもちゃんと寮則に沿って申請出してるから、何ら問題はなし。
そういうところは本当ちゃんとしてんだよな。
来月には卒業式があって、四年生はほとんど授業はないらしい。
それぞれ家に戻る準備をしたり、就職先に出向く期間なんだそう。
だからかなり忙しいはずなんだけど・・・?
「・・・そんな時期にしておきたいことって何だ。」
全く気にならないと言えば、完全に嘘。
あれだけ俺をぴったりマークしていた男が突然居なくなる。俺的にはかなり平穏な生活に戻ったはずなのに。
・・・ううう・・・・・・っ!なんだこのソワソワ感は・・・っ!
「俺、あいつのせいでおかしくなったじゃん・・・」
「とても興味が湧くお言葉ですわね、小鳥さん。」
「・・・・・・っ、びっ、くりしたぁ・・・!」
顔をあげて前を向く。
浅緑色の瞳の女性を、この学校で一人しか知らない。
「急に声をかけてごめんなさいね。こんなところでお顔を赤くしていらっしゃる方は何処のどなたか気になってしまいましたの。」
「・・・・・・どうも、アルフレッド・ベンジャミンと申します・・・」
「あら、ご丁寧に。私はエルザ・フォアですわ。ふふ。」
「存じております・・・」
俺は廊下のど真ん中で固まっていたらしい。めっちゃ不審者じゃん。見られたのが知り合いでよかった。
「エバンズ様はまだお戻りではないのですね。」
「は、はい、そうです。あっ。もしかしてあいつに何か用事でもありましたか?」
「これっぽっちもありませんわ。丁度よかったです。では、いきましょうか。」
「ふはっ。これっぽっちもって言い方おもしろ・・・ん?いきましょうか?」
おほほ、と扇で口元を隠すフォアさんはこんな時でも上品だ。
俺がぽかん、としていると広げていた扇をパンっと勢いよく畳み、俺がさっき入ってきた寮の出入り口へと歩き出す。
「昔から"鬼の居ぬ間に"と申しますでしょう?小鳥さんに力を貸していただきたいことがありますの。」
「???はい。俺でよければ・・・?」
「・・・はあ。やはり見ていらっしゃいますわね。小鳥さん、少々お待ちくださいませ。」
「・・・・・・?」
ため息をつき外に出るとフォアさんはきょろきょろと辺りを見渡す。
そして何か見つけたようにピタッとある方向を向いて止まると、こう言った。
「少々お借りするだけですから。正当な友人付き合いです。苦情も攻撃も受け付けませんわよ。さ、小鳥さん。行きましょう。」
「・・・・・・???へい・・・?」
そっちには何もいませんよ、フォアさん。
シュバリエさんに振り回されて疲れてんのかな。(失礼)
俺で、何か役に立つならいいけど。
そして俺は、おほほ、と微笑んだフォアさんに連れて行かれるがまま馬車に乗せられ、いつの間にか近くの街に着いていた。
「・・・俺は急速に発達する雨雲か?」
午後の授業が終わり、鞄にポイポイ勉強道具を片付けていると、ピノが大袈裟に騒ぎ出す。
真剣な顔して『それとも雪か・・・?』としつこいピノの尻に遠慮なく蹴りを入れて、俺はあの深緑色の屋根の寮へ足を進めた。
いつもなら・・・、いや、"いつも"って言い方、"それが日常です"って言ってるようなもんだから何か小っ恥ずかしい。
・・・・・・・・・・・・で、話戻すと、いつもならあいつが一緒だから、転移魔法で一瞬で寮到着なんだけど。
俺は徒歩。
『危ないから』と転移魔法陣を組んだ魔石を渡されそうになったけど、そんな代物使いこなせないし、それ一つで多分城下に豪邸が建つぞ。
"御守り"だという腕輪を常に付けておくことを条件に、魔石は受け取らなかった。
あいつは不満げな顔だったけど、俺はこの歳で借金を背負いたくない。
パートナー寮は他の寮よりも遠いところに建っていて、なかなか歩きごたえがある。
こうやって歩いても、まだ見慣れたものは何一つない。新鮮な気持ちになる。
変な言い方だけど、"見慣れない通学路"だ。
大会後、あのルーク先輩(実は生徒会役員だった)の魔法は翌朝には無事解けて、俺は心底安堵した。
『コタの花みたいで可愛かったのに残念。』と微笑むのは、フィンリー・エバンズ。ちなみにコタの花っていうのは、凍えるような寒い季節に咲く真っ赤な花のこと。
『揶揄ってんのか!』って憤慨したら『?それくらい美しかったってことだけど?』とド真面目な顔で額にキスされた。
ええ。ええ。
ご想像の通り、また俺はコタの花ですよ。
・・・・・・・・・・・・ぐわぁぁぁぁああああ!
ま、まずい!また余計なこと思い出して一人悶えてしまった!
よかった!今日も!一人で!見慣れない通学路でぇぇ!
スー・・・ハー・・・(深呼吸)
よし、落ち着け俺。
是式の事で悶えてどうする。
これまであいつとの出来事で何回羞恥に耐えてきたと思ってるんだ。
「・・・・・・でも多分今日もあいつ居ないな。」
じゃあ別に悶えてもいいか。
いや、よくはない?
でも一人だしな。
パートナー部屋を覗き見るような奴居ないし。
あいつが帰ってくるまでこの俺の情けない悶え姿を誰にも見られる心配はないってわけだ。
「・・・・・・・・・一人で何やってんだ。帰ろ。」
そうだ。俺はまだ寮に帰る途中。
さっさと帰って課題やって飯食って風呂入って寝る。
平穏っちゃ、平穏なんだけど、さ。
・・・おっと、あぶねぇ。危うく悶えそうなこと言いそうになった。
気を取り直して前を向く。
石ころ蹴ったり。
野良猫に手振ったり。
そんなことしてるうちに、深緑色の屋根が見えてきた。
そろそろ気になるだろ?
何で、あいつが居ないのか。
『卒業前にどうしてもしておきたいことがあって』だとさ。
かれこれ十日ほど、あいつは寮に帰って来ない。でもちゃんと寮則に沿って申請出してるから、何ら問題はなし。
そういうところは本当ちゃんとしてんだよな。
来月には卒業式があって、四年生はほとんど授業はないらしい。
それぞれ家に戻る準備をしたり、就職先に出向く期間なんだそう。
だからかなり忙しいはずなんだけど・・・?
「・・・そんな時期にしておきたいことって何だ。」
全く気にならないと言えば、完全に嘘。
あれだけ俺をぴったりマークしていた男が突然居なくなる。俺的にはかなり平穏な生活に戻ったはずなのに。
・・・ううう・・・・・・っ!なんだこのソワソワ感は・・・っ!
「俺、あいつのせいでおかしくなったじゃん・・・」
「とても興味が湧くお言葉ですわね、小鳥さん。」
「・・・・・・っ、びっ、くりしたぁ・・・!」
顔をあげて前を向く。
浅緑色の瞳の女性を、この学校で一人しか知らない。
「急に声をかけてごめんなさいね。こんなところでお顔を赤くしていらっしゃる方は何処のどなたか気になってしまいましたの。」
「・・・・・・どうも、アルフレッド・ベンジャミンと申します・・・」
「あら、ご丁寧に。私はエルザ・フォアですわ。ふふ。」
「存じております・・・」
俺は廊下のど真ん中で固まっていたらしい。めっちゃ不審者じゃん。見られたのが知り合いでよかった。
「エバンズ様はまだお戻りではないのですね。」
「は、はい、そうです。あっ。もしかしてあいつに何か用事でもありましたか?」
「これっぽっちもありませんわ。丁度よかったです。では、いきましょうか。」
「ふはっ。これっぽっちもって言い方おもしろ・・・ん?いきましょうか?」
おほほ、と扇で口元を隠すフォアさんはこんな時でも上品だ。
俺がぽかん、としていると広げていた扇をパンっと勢いよく畳み、俺がさっき入ってきた寮の出入り口へと歩き出す。
「昔から"鬼の居ぬ間に"と申しますでしょう?小鳥さんに力を貸していただきたいことがありますの。」
「???はい。俺でよければ・・・?」
「・・・はあ。やはり見ていらっしゃいますわね。小鳥さん、少々お待ちくださいませ。」
「・・・・・・?」
ため息をつき外に出るとフォアさんはきょろきょろと辺りを見渡す。
そして何か見つけたようにピタッとある方向を向いて止まると、こう言った。
「少々お借りするだけですから。正当な友人付き合いです。苦情も攻撃も受け付けませんわよ。さ、小鳥さん。行きましょう。」
「・・・・・・???へい・・・?」
そっちには何もいませんよ、フォアさん。
シュバリエさんに振り回されて疲れてんのかな。(失礼)
俺で、何か役に立つならいいけど。
そして俺は、おほほ、と微笑んだフォアさんに連れて行かれるがまま馬車に乗せられ、いつの間にか近くの街に着いていた。
300
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる