華燭の城

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 ラウは背の高い細身ではあったが、その身体は美しい筋肉で構成されていた。
 長い黒髪が掛かるその姿に、シュリは思わず息を呑む。

 寄宿生活をしていたシュリは、同じ男子学生達と寝食を共にしている。
 もちろん男同士であり、裸を見たからと言って他意を持った事はない。
 だが今、暖炉の炎に照らされて立つラウは……。

 先の、剣の手合せの時に見せた動き。
 あれはラウの不自由な脚を補ってもまだ余る程の、この美しい肉体の成せるすべだったのだ。

 そしてその体にうっすらと残る数多くの傷跡らしきもの……。
 自分にもある、付けられたばかりの同じ傷。
 だがシュリは、その自分の傷よりも、ラウの傷の方が痛ましく、悔しく思えた。

 胸が締め付けられる苦しさを覚え、引き寄せられるように、ゆっくりとベッドから降りた。
 そしてラウを、無言のまま正面からしっかりと抱き締めていた。

 全裸で抱き合うと肌の温もりが直に感じられる。
 何故そんな行動にでたのか、シュリ自身わからなかった。
 ただ、親が子を抱くように、傷ついた幼子を慰めるように、そうしたかった。

「……幼い日に……こんなにも……。
 どれほど辛かったか……」

「もう大丈夫ですから……」

「ん……」

 その声に頷きながら、視線を落とした先……ラウの左上腕に、他の傷とは明らかに違う異形の――痣のような物があった。

「……これは……」
 それに触れながらシュリが小さく呟く。

「ああ、それは生まれついてのもの。
 傷つけられたわけではありませんし、痛みもありません。
 御心配なさらず……」

「そうか、よかった」

 シュリは一つ一つの傷をいたわるように指でなぞり続ける。
 そんなシュリを、ラウは静かに見下ろしていたが、やがてその肩に手を置いた。

「シュリ様……」

 促され、シュリがラウの足元に跪く。
 一国の皇太子が、使用人の前に跪くなどあり得ない事だったが、その姿をラウは冷静に、黙ったまま静かに見ていた。

 ラウに見つめられながら両膝を付き、シュリはラウのモノに、わずかに震える手を添えた。
 そしてラウの行為を思い出し、口を少しだけ開け、舌を出してみる。

 たった今された事……。
 ラウが自分にしてくれた事……同じようにすればいい……。
 わかってはいる。
 だが、どうしても舌で触れる事ができなかった。

 皇子と使用人。 
 いや、そんな身分以前に、同じ男のモノ……。
 同じ男の、生殖器官であり排泄器官……そんなモノを口に……。

 ラウは躊躇するシュリをしばらく見下ろしていたが、
「シュリ様、無理されなくてよろしいのですよ」
 静かにそう告げた。

 その言葉にシュリは小さく首を振る。
 
 もうラウを身代わりにはできない……。
 絶対にさせない……。
 意を決したシュリの舌先がラウのモノにわずかに触れた。

「……んっ」 
 
 ラウの小さな声がした。
 その声にシュリが顔を上げる。
 そこには自分を見つめるラウの姿があった。

 ラウも、私のこの行為で、自分と同じように感じてくれているのだろうか……。
 そう思うと、なぜか胸が熱くなった。

 そしてもう一度、今度は少し長く舌を這わせた。
 自分の肩に置かれたラウの指先に、わずかに力が入るのがわかる。

「これで……いい……のか?」
 何度かその行為を繰り返したあと、シュリが小さく尋ねた。

「ええ……次は口に含んで」
「口に……」

 シュリは一度目を閉じると深呼吸をし、そのままゆっくりと自分の口内へと運び入れた。

 柔らかな男のモノ。
 それが今、自分の口内にある。
 
 生々しい感覚にそのまま動けずにいた。
 どうしていいのか、わからなかった。
 初めての経験に戸惑い動けずにいると、段々と息は苦しくなる。
 
 それを察したかのように、ラウの手が動いた。

「ゆっくりと頭を動かして……歯を立てないように」

 そう言いながら、シュリの頭に手を添えると、前後に動き先導し始めた。

「んっ……っっ……!」

 自分の口から抽挿される男のモノ。
 思わず体中に力が入り、ラウの脚にしがみついた。

「体の力を抜いてください。
 それでは動かせません」

 そこからはもう何も考えられなかった。
 ただされるがままに頭を動かした。
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