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1 眠れる獅子は憂鬱気味
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栄えあるアレトラール王国は今日も快晴。
その恵まれた晴れの日に突如、パァンと小気味良い音が響き渡った。
綺麗に入った、我ながら見事な平手打ち。
そう思いながら、私は目の前の男を見やる。
「何をする! 僕に、この僕にこんな仕打ちをして、許されると思っているのか!?」
「はい。許されると思っているのでしておりますが」
「なっ……!?」
なんの悪びれもなくそう告げると、相手は絶句する。
そう、許されるのだ。私はそれが許された身分にある。
たとえ相手が栄えあるアレトラール王国の、その王太子であったとしても。
底冷えする程の絶対零度の視線を王太子ハインリヒに浴びせる。
王太子はひゅっと息を鳴らして身体を震わせた。
その横では可憐な令嬢が顔を青ざめて私を呆然と見上げている。
「貴方こそ、お忘れかしら? 私は王国の北を守護する北の獅子、ガレルバレド。四代公爵ガルツェン家の娘レティーシャ・エレナ・ガルツェンだということ」
「それは……!」
「いずれは国王となられる方が朝っぱらから婚約者を差し置いてほかの女とイチャつく場面を見せつけておいて、良くもそんなにことが仰えましたわね。興醒めですわ。国王陛下たってのお願いで渋々この婚約お受け致しましたが、今日限りを以て破棄させて頂きますわ」
馬鹿馬鹿しい。この場にいるだけ時間の無駄だ。
吐き捨てるように告げ、踵を返す。
「そ、そんなこと認められる訳がないだろっ!! おい待て、レティーシャ!!」
追いすがろうとする王太子を目にもくれず、私は足早にその場を後にした。
その恵まれた晴れの日に突如、パァンと小気味良い音が響き渡った。
綺麗に入った、我ながら見事な平手打ち。
そう思いながら、私は目の前の男を見やる。
「何をする! 僕に、この僕にこんな仕打ちをして、許されると思っているのか!?」
「はい。許されると思っているのでしておりますが」
「なっ……!?」
なんの悪びれもなくそう告げると、相手は絶句する。
そう、許されるのだ。私はそれが許された身分にある。
たとえ相手が栄えあるアレトラール王国の、その王太子であったとしても。
底冷えする程の絶対零度の視線を王太子ハインリヒに浴びせる。
王太子はひゅっと息を鳴らして身体を震わせた。
その横では可憐な令嬢が顔を青ざめて私を呆然と見上げている。
「貴方こそ、お忘れかしら? 私は王国の北を守護する北の獅子、ガレルバレド。四代公爵ガルツェン家の娘レティーシャ・エレナ・ガルツェンだということ」
「それは……!」
「いずれは国王となられる方が朝っぱらから婚約者を差し置いてほかの女とイチャつく場面を見せつけておいて、良くもそんなにことが仰えましたわね。興醒めですわ。国王陛下たってのお願いで渋々この婚約お受け致しましたが、今日限りを以て破棄させて頂きますわ」
馬鹿馬鹿しい。この場にいるだけ時間の無駄だ。
吐き捨てるように告げ、踵を返す。
「そ、そんなこと認められる訳がないだろっ!! おい待て、レティーシャ!!」
追いすがろうとする王太子を目にもくれず、私は足早にその場を後にした。
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