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未来は僕らの手の中
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スピーチが書かれた原稿を持って通り過ぎようとした俺に声を掛けたのはウィニーである。
彼は可愛らしい瞳で俺を見上げて、
「もしかして、スピーチをするの?」
と、聞いてきた。その様な目で見つめられては、こちらの顔も緩んでしまうではないか。
俺は頷き、慌てて会場の奥にある台へと向かっていく。
ウィニーくんの期待に応えるためにも、俺は全力でスピーチを成し遂げなければなるまい。
俺は紙を開いて、声を震わせながらも、そこにある内容を必死に伝えていく。
真剣な顔で叫んでいるためか、周りの人々は誰もが真剣な瞳で俺を見つめていた。
俺がようやくの思いでスピーチを喋り終えた時だ。俺はふとある言葉を思い出す。
それは、俺が好きだったギャンブル漫画の主人公が好きな台詞。そして、アニメになった時のオープニングテーマのタイトルである。
全員がスピーチが終わったかと思って、喋り始めようとしたところを俺は大きな声でこちらに注目を向かせる。
そして、近くにいた人物からペンを借り、慌ててスピーチの原稿の裏にそれを記していく。
書き終わると同時に、俺は新しい元号を発表する官房長官の様な気持ちで、それを裏向けて、集まった人々に見せていく。
案の定、俺が予想していた通り、殆どの人々が首を傾げている。
何故なら、俺が紙の裏に書いたのは日本語で『未来は僕らの手の中』という言葉なのだから。
俺は全員の関心がこちらに向くと同時に、大きな声でこの言葉の意味を説明していく。
「……『未来は僕らの手の中』これは私が知っている言葉の中で最も尊い言葉です!言わなくても分かる事ではございますが、我々は未来を見る事ができず、先は誰にも分からないという状況です!我々が進む先には、もしかすれば、我々の価値観を変える何かが起きるかもしれません!ですが、一つ言えるのは我々は泣くために、そして、負けるために生まれてきたというわけではないという事です!未来が不透明なのであるのならば、我々の手で掴み取ってやろう!そのくらいの意気込みでいこうではありませんか!」
俺が拳を突き上げると、周りの令息、令嬢たちも拳を振り上げて同調の声を俺に浴びせていく。
正直に言えば、それはとても心地が良かった。
周囲の歓声に見舞われたまま、俺はスピーチを終え、頭を下げて台の上から降りていく。
その後、俺は用意されていた料理や飲み物を夢中で平らげていく。
食べるのに夢中になっていると、周りに笑顔を浮かべたサミュエルを始めとした俺の友人たちが集まってきた。
友人たちは俺に盃を向けて、『乾杯』を叫ぶ。
全員の盃が重なり合い、小刻みの良い音が部屋の中に響いていく。
そして、そのままグラスに入っていた酒を飲み干す。
あぁ、美味い。これが、勝利の美酒というものなのだろうか。
無事に破滅フラグを免れたせいだろうか、美味しい酒がいつもよりも美味しく感じられた。
彼は可愛らしい瞳で俺を見上げて、
「もしかして、スピーチをするの?」
と、聞いてきた。その様な目で見つめられては、こちらの顔も緩んでしまうではないか。
俺は頷き、慌てて会場の奥にある台へと向かっていく。
ウィニーくんの期待に応えるためにも、俺は全力でスピーチを成し遂げなければなるまい。
俺は紙を開いて、声を震わせながらも、そこにある内容を必死に伝えていく。
真剣な顔で叫んでいるためか、周りの人々は誰もが真剣な瞳で俺を見つめていた。
俺がようやくの思いでスピーチを喋り終えた時だ。俺はふとある言葉を思い出す。
それは、俺が好きだったギャンブル漫画の主人公が好きな台詞。そして、アニメになった時のオープニングテーマのタイトルである。
全員がスピーチが終わったかと思って、喋り始めようとしたところを俺は大きな声でこちらに注目を向かせる。
そして、近くにいた人物からペンを借り、慌ててスピーチの原稿の裏にそれを記していく。
書き終わると同時に、俺は新しい元号を発表する官房長官の様な気持ちで、それを裏向けて、集まった人々に見せていく。
案の定、俺が予想していた通り、殆どの人々が首を傾げている。
何故なら、俺が紙の裏に書いたのは日本語で『未来は僕らの手の中』という言葉なのだから。
俺は全員の関心がこちらに向くと同時に、大きな声でこの言葉の意味を説明していく。
「……『未来は僕らの手の中』これは私が知っている言葉の中で最も尊い言葉です!言わなくても分かる事ではございますが、我々は未来を見る事ができず、先は誰にも分からないという状況です!我々が進む先には、もしかすれば、我々の価値観を変える何かが起きるかもしれません!ですが、一つ言えるのは我々は泣くために、そして、負けるために生まれてきたというわけではないという事です!未来が不透明なのであるのならば、我々の手で掴み取ってやろう!そのくらいの意気込みでいこうではありませんか!」
俺が拳を突き上げると、周りの令息、令嬢たちも拳を振り上げて同調の声を俺に浴びせていく。
正直に言えば、それはとても心地が良かった。
周囲の歓声に見舞われたまま、俺はスピーチを終え、頭を下げて台の上から降りていく。
その後、俺は用意されていた料理や飲み物を夢中で平らげていく。
食べるのに夢中になっていると、周りに笑顔を浮かべたサミュエルを始めとした俺の友人たちが集まってきた。
友人たちは俺に盃を向けて、『乾杯』を叫ぶ。
全員の盃が重なり合い、小刻みの良い音が部屋の中に響いていく。
そして、そのままグラスに入っていた酒を飲み干す。
あぁ、美味い。これが、勝利の美酒というものなのだろうか。
無事に破滅フラグを免れたせいだろうか、美味しい酒がいつもよりも美味しく感じられた。
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ありがとうございます!
【追記】これからも、応援してくれたら、嬉しいです!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます!
作品登録しときますね(^^)
ありがとうございます!