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いざ、街へ
しおりを挟む朝起きると、気持ち良さそうなミコトが寝ていた。起こすのかわいそうなので、そっと起きて朝ごはんの準備をする。
ミコトはご飯の匂いで目が覚めたようで、少し寝ぼけていて可愛い。
「おはようミコト。」
『おはようございます…ごしゅじんさま』
二人でご飯を食べて、街に行く準備を済ませ出発することに。
『私が大きくなって、ご主人様をのせましょうか?』
「ん~、ミコト大きくなれるの?街の人驚かないかな?」
『はい、大猫なので大きくもなれます!やはり、街の人は驚きますかね?』
「念のため、なしにして歩こうかな。そんなに距離ないし、大丈夫だよ。」
『街に入るには、身分証と大銅貨5枚必要です。もしかしたら、私は獣魔登録しないといけないかもしれません。何かご主人様の獣魔と分かるものを身に付けたいのですが?』
「わかった。一先ず、リボンでも良いかな?」
首に赤いリボンをつけてあげるととても似合っていた。嬉しそうな様子が、可愛いくて頬が緩むのを感じた。
『ありがとうございます!』
「よし出発しようか。まずは商業ギルドで、その後イザナミ家の方と話し合いだね。ミコト、頑張って乗りきろうね!」
話をしながら、街道を進み5分から10分程でついた。街に入る人の列に並び、準備を待った。
「身分証を出して、水晶に触れろ。」
「はい、よろしくお願いします。」
「よし、通って良いぞ。」
身分証を渡し、水晶に触れると青く光った。その後、門番さんに商業ギルドの道を聞きお礼を言う。
「門番さん、ありがとうございます。」
「っ!こっちは仕事内容だ。良いってことよ。」
言われた通りに道を行くと目的の商業ギルドに着いた。
「こんにちは、孤児院を設立したいのですが、受付はここで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。身分証とギルドカードが必要です。」
身分証は渡し、ギルドカードはないため作成することになった。用紙に記入してカードに血をつけるみたいだ。
「記入出来ました。すみません、あとこの子一応獣魔なのですが、登録必要ですか?」
「そうですね。冒険者ギルドで獣魔登録できますので紹介状作成してお渡ししますね。」
「助かります!ありがとうございます。」
「いえ、大丈夫ですよ。それでは、孤児院設立についてですが…」
「はい、これを母から預かってます。」
ギルドの職員さんに昨日伊邪那美お母さんからの書類を渡すと、記入事項を確認された。
「はい、こちらで大丈夫ですよ。もし、孤児院で作成されたものを売りに来る場合は、また相談に乗りますよ。朝イチ以外にも、昼間に行商人が露店していたりします。なるべく治安が良い場所をおかし致しますよ。私はルーナと言います。相談がなくても、いつでも気軽にどうぞ。」
「はい、その時はよろしくお願いします。」
無事に孤児院登録ができて一安心!後は話し合いだ。そう思っていると、他のギルド職員に話しかけられる。
「サクラ様でしょうか?」
「はい、そうですが……」
急に話しかけられると不安になる。
「イザナミ様が別室でお待ちですので、お迎えに上がりました。こちらです。」
言われたように、移動すると部屋に素敵な紳士がいました。
「はじめまして、トール・イザナミと申します。一応領主をしています。」
「はじめまして、サクラ・イザナミです。こっちは獣魔のミコトですが、まだ冒険者ギルドで登録出来てません。」
「ふふっ、緊張しないで良いよ。伊邪那美様から話しは聞いているよ。孤児院を作ってくれるらしいね。私が進めるべきなのだが……申し訳ない。」
どうにかしたくてもなかなか出来ないことが多いのだろう。領主様は悔しそうに謝られた。
「領主様は忙しいでしょうから、仕方ありませんよ。無理して心身壊したら大変です!」
私は慌てて、心身が大事と伝えると嬉しそうにされた。
「そう言ってくれるとありがたいよ。なるべくサポートを行うために、私の子ども達をつけようと思う。長男のリュウは18才で、長女のアンナは15才だ。」
「リュウ様とアンナ様ですね。アンナ様とは同い年なので嬉しいです。会える日を楽しみにしてますね。」
二人共素敵な方達でしょう。
「そういえば、冒険者ギルドに行くのだったね。一緒に向かおう。歩きながら、街のことを説明しよう。その後は、教会に行こうと思う。なるべく早く、子ども達の保護をしてもらいたい。」
「ありがとうございます。あっ!孤児のポスター作ったので、貼ってもらって良いですか?」
実は朝起きた時に、数枚作っていた。商業ギルドや冒険者ギルドで貼ってもらえたら、安心と思うことを伝えたら……。
「それは、素晴らしい。教会にも貼ってもらえれば、孤児院のことが広まるであろう。」
その後は、領主様がサクッと商業ギルドや冒険者ギルドに説明してくれた。何故か私も冒険者登録することになった。子ども達に説明することができるようにと言われたけど…?うん、必要なことなはず!ちなみに、ミコトの種族の大猫で大きい姿を皆に披露してくれた。
周りは、驚いていたがミコトは誇らしげだった!
『(これでご主人様を守りやすくなる。ご主人様が気がついていない、不埒な視線を蹴散らすことにしましょう!)』
冒険者ギルドを後にして、まずはパンや野菜を購入してから教会に向かった。教会には数人の人がいた。そのうちの一人の女性にパンなどを渡し、神父様を呼んでもらう。
「神父様お久しぶりです。今日は紹介したい方がいまして…。」
領主様は細身の優しげな男性に声をかけた。
「領主様お久しゅうございます。いつも寄付ありがとうございます。紹介したい方はそちらの方ですか?」
「はじめまして、サクラ・イザナミと申します。」
「遠縁で、サクラさんの母親に頼まれてこちらに来たばかりなんです。街からすぐの場所に孤児院を作りまして、サクラさんはそこの孤児院長です。」
「そうなんですね。身寄りのない子達が救われます。神に感謝を!」
神父様に孤児院のポスターを渡し、もし、身寄りのない子がいれば引き取ることを説明した。
「最近、両親を亡くした兄妹がいまして…、呼んで参ります。」
神父様はしばらくして戻られた。3人の子どもは不安そうにこちらを見ていた。
「はじめまして、サクラです。お名前言える?」
笑顔に安心したのか、名前を教えてくれた。
「オレ…僕はカイリで「ぼく、リーク」妹の…あっ!」
「さくちゃ!」
カイリ君が兄妹の紹介をしてくれていると、妹ちゃんが抱きついてきた!かわいい!ぎゅうぎゅう。
「あわわ、すみません妹が…。ほらクゥン!こっちおいで。」
カイリ君は慌てて離そうとするがクゥンちゃんは嫌がっていた。
「にぃに、やー!さくちゃいうの」
「ふふっ、クゥンちゃんっていうのね。可愛い名前ね。一緒にお家住む?」
気持ち察知のスキルのおかげか、クゥンちゃんの言葉が分かりやすい。慣れないと聞き取りにくいのに、スラスラ分かる。
「あぃ!おうち?さくちゃのおうちにぃには?」
「うん、一緒だよ。」
「すむ。さくちゃすき」
「私もクゥンちゃん好きよ。」
二人できゃっきゃっとはしゃいでいると、カイリ君が驚いていた。
「クゥンがこんなに懐くなんて……。」
「カイリ君、リーク君もこれから一緒にお家に行こうね!荷物あるなら私のバック貸すよ?」
カイリ君にマジックバックを渡すと皆驚いていた。そんなに珍しいものでないはずなのに?
「サクラさん、人にマジックバックを簡単に貸す程流通していませんよ?」
「そうなんですね…。私は、いくつかあるので大丈夫ですし…?子どもには荷物は軽い方が良いので貸します!」
なんだか、周りは心配そうに見てきたけど、気にしない。カイリ君は弟妹を連れて荷物を準備しようとしたが、クゥンちゃんが離れないため私も行くことに。片手でだっこしてもきつくないことに感動していると、もう片方の手に小さな手が触れた。
「サクラお姉ちゃん、お家遠い?」
「ん~街からでて少し歩くかな、皆だと遠く感じるかも?」
「そっかぁ。」
3人の家に行き荷物を全て回収することができた。家はカイリ君が成人するまで、領主様が管理して下さることになった。
「サクラさんのマジックバック容量どうなってるの…?」
カイリは家にあるものが全て入ったことに驚き、疲れている様子。
「ん~?いっぱい入るのは良いことよね。」
笑って誤魔化すと、カイリ以外もため息着いた気配がした。
「すみませんが領主様、移動が大変なので、一先ず馬車を借りたいのですが…。」
「それなら、すでに準備していますよ。馬車と馬はプレゼントですよ。」
「そんな高価なもの頂けませんよ!」
その後やり取りして、結局頂くことになった。
そして昼食に良い時間になり、領主様オススメの屋台でご飯を食べて、孤児院に行くことにした。
応援ありがとうございます!
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