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81~90話
82b、私は話がもたらす影響をわかっていない
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「いらなくなるくらいなら、最初から生まなければよかったのに、って! ずっと、ずっと……っ!! …………っだから、前に聞かれた時……『家族はいない』と、言ったんです……」
……言った。
言ってしまった。
鼓動が内側からドクドクと鼓膜を揺らす。
ガルの服を掴む手は力を込めすぎて白み、じっとりと汗ばんでいる。
やっぱり、やっぱり言わないままの方がよかったのでは!?
黙ったままだって結婚はできる。
深く聞かれたくないと言えば、ガルならわかってくれたはずだ。
それでも……それでももう、言ってしまった。
ガルに隠し事をしたくなかった、なんて、そんな綺麗事ではない。
全部さらけ出して……私の過去も何もかも、その上ですべてをガルに受け入れてもらいたかった。ガルなら受け入れてくれるのではないかと、信じて期待したのだ。
「ぁ……」
無骨な親指にそっと目元を拭われて、いつの間にか涙が溢れていたことに気付いた。
優しく私に触れるガルの手は、今までと変わらず温かい。
「マヤを蔑する者がいるなど、信じられないな……。マヤ、どうか生まれてきたことを後悔だけはしないでくれ。……だが、すまない」
「なん、で……ガル様が謝るんですか……」
不安に声が震える。
「そんなにマヤを悲しませた者だというのに……俺は、マヤの親に対し感謝することしかできないんだ。どんな親であろうと俺にとって掛け替えのないマヤに、生を授けてくれたのだから」
……言った。
言ってしまった。
鼓動が内側からドクドクと鼓膜を揺らす。
ガルの服を掴む手は力を込めすぎて白み、じっとりと汗ばんでいる。
やっぱり、やっぱり言わないままの方がよかったのでは!?
黙ったままだって結婚はできる。
深く聞かれたくないと言えば、ガルならわかってくれたはずだ。
それでも……それでももう、言ってしまった。
ガルに隠し事をしたくなかった、なんて、そんな綺麗事ではない。
全部さらけ出して……私の過去も何もかも、その上ですべてをガルに受け入れてもらいたかった。ガルなら受け入れてくれるのではないかと、信じて期待したのだ。
「ぁ……」
無骨な親指にそっと目元を拭われて、いつの間にか涙が溢れていたことに気付いた。
優しく私に触れるガルの手は、今までと変わらず温かい。
「マヤを蔑する者がいるなど、信じられないな……。マヤ、どうか生まれてきたことを後悔だけはしないでくれ。……だが、すまない」
「なん、で……ガル様が謝るんですか……」
不安に声が震える。
「そんなにマヤを悲しませた者だというのに……俺は、マヤの親に対し感謝することしかできないんだ。どんな親であろうと俺にとって掛け替えのないマヤに、生を授けてくれたのだから」
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