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11~20話
15a、私のソースだったのに
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キャメルとダークブラウンで統一された落ち着いた店内。
すっきりとシンプルに魅せつつも、調度品の脚や壁に掛かった絵画の額など、さりげない部分にあしらわれた繊細な彫刻が格調高さを感じさせる。
ゆったりとした弦楽が奏でられ、ホールを行き交う給仕の所作さえも音楽に乗って流れるかのようだ。
そんな高級感漂うレストランに気後れしていた気持ちも忘れ、目の前の不思議な光景を呆然と眺める。
対面に座るグレニスの手元。
お手本のようなテーブルマナーで優雅にカトラリーが動いたかと思えば、瞬く間に皿の料理が消えていくのだ。
「わぁ……」
「ん? どうかしたか?」
「あっ、いえ、失礼しました!」
グレニスが視線に気付いたのに慌てて、パッと自分の皿へ視線を落とす。
優雅な動きに反してたちどころに分厚い肉が消えていくのが不思議で、ついまじまじと見つめてしまった。
「構わない。気になることがあるのなら、なんでも言うといい」
不快感の見えない穏やかな声に、恐る恐る視線を上げる。
「その……召し上がるのがすごく早いなぁと思いまして」
「早いか?」
グレニスの視線が空になった自分の皿を見て、ほとんど手つかずの私の皿を見て、また自分の皿へと戻った。
すっきりとシンプルに魅せつつも、調度品の脚や壁に掛かった絵画の額など、さりげない部分にあしらわれた繊細な彫刻が格調高さを感じさせる。
ゆったりとした弦楽が奏でられ、ホールを行き交う給仕の所作さえも音楽に乗って流れるかのようだ。
そんな高級感漂うレストランに気後れしていた気持ちも忘れ、目の前の不思議な光景を呆然と眺める。
対面に座るグレニスの手元。
お手本のようなテーブルマナーで優雅にカトラリーが動いたかと思えば、瞬く間に皿の料理が消えていくのだ。
「わぁ……」
「ん? どうかしたか?」
「あっ、いえ、失礼しました!」
グレニスが視線に気付いたのに慌てて、パッと自分の皿へ視線を落とす。
優雅な動きに反してたちどころに分厚い肉が消えていくのが不思議で、ついまじまじと見つめてしまった。
「構わない。気になることがあるのなら、なんでも言うといい」
不快感の見えない穏やかな声に、恐る恐る視線を上げる。
「その……召し上がるのがすごく早いなぁと思いまして」
「早いか?」
グレニスの視線が空になった自分の皿を見て、ほとんど手つかずの私の皿を見て、また自分の皿へと戻った。
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