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11~20話
20b、今日も暑くなりそうだなー
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「っ、ぼーっとしていて申し訳ありません! 鍛練お疲れ様です!」
慌てて横に置いていたワゴンに向き直りはちみつレモン水を注ぐ。
「かまわない。体調はどうだ?」
手渡したゴブレットがグレニスの口元へと運ばれていくのをじっと見つめかけ……バッと顔を背けた。
「おっ、お陰様ですっかりよくなりました!」
「……それにしては様子がおかしい気もするが」
「元からですっ!!」
追及を逃れたいあまり食い気味に答えれば、グレニスは私の無礼を気にしたふうもなく空いた左腕を広げた。
「元気なら何よりだ。ほら」
「…………し……つれい、しま、す……」
心で葛藤しながらも、抗いきれない香りの魔力に吸い寄せられて一歩、一歩と進み腕の中に収まる。
ぎゅっと抱きしめてくる逞しい腕、熱い身体、立ち上る野性的な香りに、ドッドッドッドッと胸が早鐘を打ちだす。
昨日のアレは勝手な妄想だったのだから!
実際は見舞いに来てくれただけなのだから!
変に意識するな、私!!
よし、ひとまず深呼吸で気持ちを落ち着けよう。
すぅぅぅぅっ、……すぅぅぅぅぅっ!
うん。今日もグレニスの香りは最高だ。
「んぷっ」
抱きしめる左腕にぐっと力が籠ったかと思えば、グレニスは右腕だけを伸ばし空のゴブレットをワゴンに戻した。
慌てて横に置いていたワゴンに向き直りはちみつレモン水を注ぐ。
「かまわない。体調はどうだ?」
手渡したゴブレットがグレニスの口元へと運ばれていくのをじっと見つめかけ……バッと顔を背けた。
「おっ、お陰様ですっかりよくなりました!」
「……それにしては様子がおかしい気もするが」
「元からですっ!!」
追及を逃れたいあまり食い気味に答えれば、グレニスは私の無礼を気にしたふうもなく空いた左腕を広げた。
「元気なら何よりだ。ほら」
「…………し……つれい、しま、す……」
心で葛藤しながらも、抗いきれない香りの魔力に吸い寄せられて一歩、一歩と進み腕の中に収まる。
ぎゅっと抱きしめてくる逞しい腕、熱い身体、立ち上る野性的な香りに、ドッドッドッドッと胸が早鐘を打ちだす。
昨日のアレは勝手な妄想だったのだから!
実際は見舞いに来てくれただけなのだから!
変に意識するな、私!!
よし、ひとまず深呼吸で気持ちを落ち着けよう。
すぅぅぅぅっ、……すぅぅぅぅぅっ!
うん。今日もグレニスの香りは最高だ。
「んぷっ」
抱きしめる左腕にぐっと力が籠ったかと思えば、グレニスは右腕だけを伸ばし空のゴブレットをワゴンに戻した。
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